公開シナリオ『慎ましい夢』

テーマ『郵便局』で書きました。
自分でもちょっと引きました。

登場人物
女1
女2
男　

女1　これで一旦配達完了。今年も怒涛の郵便ラッシュだったなぁ。
女2 ありがとうございました。
女1 年末年始ずっと働いてくれてありがたいけど、すこしは休みたいとかないの？
女2 人と人のつなぎ、橋渡しになれてるのが好きなんです。
女1 うんうん。
女2 メールで送るのは簡単かつミスは少ないですけど、味気ないところもありますしね。
女1 郵便局員になるべくしてなったのね。
女2 私には夢がありますから。
女1 へぇ。ちなみになんなの？
女2 そんな、大した夢じゃないんです。
女1 謙遜しなくても。
女2 いえいえ、本当に。叶わなくてもしょうがないです。
女1 口に出していけば叶う願いもあるっていうから。
女2 じゃあ、いいますね。
女1 さぁ、どうぞ。
女2 切手を舐める仕事に就きたいんです。
女1 …は？
女2  金額の足りない手紙に切手をはったり、糊付けの弱い切手をなめて補強する。それを1日中する。それだけでいいんです。あはっ。なんかちょっと、照れるなぁ。
間
女2 あ、もちろん、新しい切手を貼る瞬間にも立ち会いたいです。おめでとうの気持ちも込めて懇切丁寧に仕事するつもりです。どうです、くだらないでしょ？
女1 くだらない上に恐怖しかない！！
女2 え？
女1 郵便物をなんだと思ってるの！
女2 だから、メールだと切手がないから味気ないって。
女1 本当に味の話をしてたの！？　大体そんな仕事あるわけないでしょ？
男　なんだ、まだいたのか？
女1、2 あ、お疲れ様です。
女1 ちょうどよかった。ちょっといってやってください。彼女変な話を…
男　聞こえたよ、油舐め一族の家系だったのか。
女2 ご存じでしたか！
女1 知らない設定が増えた！！
男　行燈がなくなり、舐めるものとして切手に変わり久しい。君の目指す職業、舐め師は100年に1度募集がかかる。それが今年だ。大変な道のりだが、覚悟はできてるのか。
女2 元より承知です。
男　よし、切手の貼り方から徹底的に指導するぞ！
女2 はい！　ついていきます。
女1 なんだこれ！！