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追悼 筒美京平 名曲集(音楽評論家・萩原健太さん)

フォーリンラブ・バービーがお送りするTBSラジオ「週末ノオト」。

2020年10月17日の放送では、10月7日に亡くなられた偉大なる作曲家・筒美京平さんの追悼企画を、音楽評論家の萩原健太さんをお招きしてお送りしました。

筒美さんと面識もある萩原さんに、1960年代から1990年代まで年代別に1曲ずつ選曲いただき、その偉大な功績と共に名曲をお送りしました。

選曲のテーマは、
『洋楽っぽくて、リゾートっぽくて、でもどこか切ないメロディ。夏の終わりの風景にとても似合う4曲。』

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◆1960年代「 渚のうわさ / 弘田三枝子 」

1967年7月リリース。作詞:橋本淳

もともとレコード会社の洋楽のディレクターとして働いていた筒美さん。その後、独立し、プロの作曲家として活動をスタート。

当時の日本の音楽シーンは、どこか切なさが漂う歌謡曲が中心でしたが、その中にあって、アメリカやイギリス、フランス、イタリアあたりの明るい洋楽の曲に、日本語の歌詞を乗せて歌う「訳詞ポップス」も流行り始めていたそうで、その訳詞ポップスを作ることができる作曲家として、筒美さんは注目を浴びることに。その偉大なキャリアの初期の頃に生まれたのがこの楽曲。


◆1970年代「 真夏の出来事 / 平山三紀 」

1971年5月リリース。作詞:橋本淳

1970年に入ると、尾崎紀世彦「また逢う日まで」、南沙織「17才」、麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」など、筒美さんの作品は大ヒットを連発したわけですが、筒美さんの特徴の一つとして挙げられるのが、洋楽の音楽性を日本のポップスに取り入れる上手さ。ロックなど様々な音楽性を見事に融合させてきましたが、その中で、R&Bの要素を取り入れたのがこの楽曲。

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◆1980年代「 夏のクラクション / 稲垣潤一 」

1983年7月リリース。作詞:売野雅勇

80年代に入ると、大瀧詠一さん、細野晴臣さん、松任谷由実さんなど、ロックやフォークの世界から出てきたアーティストが歌謡曲の歌手に楽曲提供というパターンが増えましたが、その一方で、筒美さんのような歌謡曲のトップソングライターがニューミュージックのアーティストに楽曲提供という逆転現象も。その代表曲がこの楽曲。


◆1990年代「 八月の恋 / 森高千里 」

1991年6月リリース。作詞:森高千里

もはや「筒美京平」という一つのジャンルが出来上がった90年代以降の日本の音楽界。それまで自分自身で作曲していたアーティストも、筒美さんとの仕事を熱望。井上陽水さん、中島みゆきさん、小沢健二さんなど続々と。その中の一つがこの楽曲。

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自分がやりたい音楽をアーティスティックに追い求めてるのではなく、売れる曲、「金の匂いのする」曲をいかに作れるか、そういったある種のゲームに勝利することが筒美さんの作曲家としての矜持。

当然、音楽のインプットも怠らず、全米TOP40を全部聴き、常にアップデート。単純に洋楽のカッコよさを追求するのではなく、その良さを、日本人に受け入れられるにはどうすればよいかと考え、作曲されていたそうです。

結果、大ヒットを連発。

でも、全部が大ヒットなわけでもなく、その大ヒットの間にある中ヒット・小ヒットの作品にそこ、込められた大事な想いもあるんだとか。
そうやってヒットをつなぎ続け、大ヒットへ。

でも売れればいいのではなく、筒美さん曰く、音楽には“”が大切。

その品が、筒美作品を、どんなに時を経ても色あせない、日本人が愛してやまない楽曲にしてるんでしょうね。

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今回ご紹介いただいた4曲を含め、萩原健太さんの筒美作品プレイリストが、下記からご覧いただけますので、こちらもぜひ。

以上、2020年10月17日の週末ノオト、音楽評論家・萩原健太さんとお送りした「追悼 筒美京平 名曲集」でした。

TBSラジオ『週末ノオト』は、毎週土曜13:00-14:55放送中。
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