カタールW杯ヨーロッパ予選観戦メモ【第8節】

第8節!残り3試合ですね。

北マケドニア×ドイツ

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この試合で突破を決められる可能性があるドイツは北マケドニアと対戦。前回対戦で不覚を取った借りを返し、文句なしのストレートインといきたいところ。もちろん2位争いに向けて北マケドニアも負けられない。

この試合もドイツはSB片上げの3-4-2-1だが、この試合で上がったのはいつもと逆の左SBラウム。右SBを上げていた時は左WGに突破力のあるサネが入っていたがこの日はハフェルツなのでそれなら右のニャブリに幅を取ってもらった方が良いということなのだろう。


一方の北マケドニアはエルマスを最前線に残した4-4-2気味でスタート。右SHのコスタディノフがラウムに付いて下がり5-3-2気味になることも多かった。
前節のルーマニアのようにアグレッシブにボールを奪いに行く姿勢は見られなかったものの、前に出ていかない分ブロックの堅さは北マケドニアの方が上だったように思う。その分攻撃はロングカウンター中心となるが、突破力のあるエルマスを起点とすることで中々の威力。3センターに加えて攻撃大好きなアリオスキも素早くサポートに出てくるため前線が孤立して奪い返されてタコ殴りという様相にはなっていなかった。

ドイツも前半は攻めあぐね、決定機は前半アディショナルタイムのヴェルナーのシュートがポストを叩いたシーンくらいではなかっただろうか。前半はスコアレスだったが、北マケドニアはある程度手ごたえを得ていたのではないかと思う。

しかし、後半立ち上がりに北マケドニアの最終ラインからの縦パスが引っかかってしまい、そこからドイツのカウンターが炸裂して先制。北マケドニアは攻撃時の高いサポート意識が仇となってしまい、カウンターに対応するのが2CBのみという状態になってしまっていた。
北マケドニアの堅いブロックに対する解決策を提示する前に点を取れてしまったのでドイツは無理せずボールを保持して試合を進め、70分と73分にヴェルナーの連続ゴールで試合を決定付ける。
70分のゴールもドイツのクイックリスタートからであり、北マケドニアは詰めの甘さが出る形となってしまった。前半はドイツの攻撃をきっちり抑え込み、後半勝負に持ち込めていただけにこの展開は残念。次節アルメニアとの直接対決を制した上でルーマニアの取りこぼしに期待するやや厳しい展開となる。
一方のドイツは他会場の結果を受けてストレートイン一番乗りが決定。北マケドニアに1敗したものの、フリック体制となってからは常に安定した戦いぶりを見せた。残り2試合でムシアラやアデイェミといった若手が存在感を示せればさらに盤石となるのではないだろうか。

気になった選手

ティモ・ヴェルナー(ドイツ)
外し過ぎと言われつつ実は欧州予選では5試合5得点と好調をキープ中。流れの中でWGの位置でもプレーできるなど組織の一員として確実に機能している点がここまで重用される理由なのかもしれない。こういうチームでは「絶対的なストライカーではない」ことがプラスに作用するのかな、みたいなことを考えさせられる、見ていてとても面白い選手だ。

試合結果
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選
グループJ 第8節
北マケドニア0-4ドイツ
@トシュ・プロエスキ・アレナ
【得点者】
ドイツ:50' カイ・ハフェルツ、70’, 73'  ティモ・ヴェルナー、83’ ジャマル・ムシアラ

ルーマニア×アルメニア

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3位と4位の直接対決。ドイツの1位がほぼ決まったといっても良いこのグループにおいて、残る1枠を争うチーム同士のこの試合はまさしく天王山といえるだろう。

アルメニアのいつもの4-4-2に対しルーマニアは4-3-3を選択。アンカーのマリンを使いながら噛み合わせをずらしにかかるが、アルメニアは2トップがアンカーを挟み込むようにパスコースを遮断して前進を阻害。さすがにこの重要な試合ではしっかり2トップを起点に守ってきた。
マリンが最終ラインに落ちると放置してIHへのコースを消し、ルーマニアのサイド展開にはSHが縦切りで前進させないという形。これ自体はうまく機能しており、ルーマニアは15分頃までうまく前進できていなかった。

しかしここから動き出すのが早いのが見事だった。IHがサイドの底に降りてWGが中に入り、SBが高い位置を取る旋回をスムーズに披露。アルメニアSHの守備基準はSBへの人意識がかなり強かったようで、これで一気にプレスラインを下げられてしまう。
アルメニアを押し込むことに成功したルーマニアはCKからミトリツァが決めて貴重な先制点をゲット。その後も前に出てきたアルメニアのプレッシャーを回避してミトリツァが決定機を迎えるなど優位に試合を進め続けた。

一方のアルメニアは4-4-2でのプレッシング以外に有効なカードを持っていない様子。ボールを保持しての可変もほぼないため、IHを上げたルーマニアの4-4-2プレスにあっさり捕まってしまいボールを前に出すことができず。オンターゲットはCKからの1本のみと寂しい試合内容となってしまった。
HTで一気に3人交替するなどなんとか状況を打破しようとする姿勢は見えたがチームとしての手札の少なさを補うには至らず。残り試合は北マケドニアとのデスマッチ→首位のドイツという考えうる限りもっとも厳しい組み合わせ。アイスランド、リヒテンシュタインへの取りこぼしが響きそうな様子だが、奇跡の逆転はあるだろうか。

一方のルーマニアは大きな大きな勝ち点3を獲得。アイスランド、リヒテンシュタインの下位2チームとの連戦に勝てば自力でプレーオフ進出を決められる。現時点ではもっともプレーオフに近いだけになんとしてもこの位置を死守したい。

気になった選手

ヤニス・ハジ(ルーマニア)
ドイツ戦でのゴールから突破力があることはわかっていたが、この試合ではIHの位置に入ってもスムーズなプレーを見せて対応力の高さを見せた。「ゲオルゲ・ハジの息子」で終わらないだけのステップアップに期待したい。

試合結果
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選
グループJ 第8節
ルーマニア1-0アルメニア
@ゲンチャ
【得点者】
ルーマニア:26’ アレクサンドル・ミトリツァ

アイスランド×リヒテンシュタイン

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2位争いから置いて行かれて相当難しい状況に置かれたアイスランドと、可能性が潰えたリヒテンシュタインの一戦。両チームとも中々モチベーションを保つのが難しそうだし、見てる方も難しい。

そしてリヒテンシュタインはいつもの5-3-2撤退を見せる。アイスランドは無理をせず大外の低い位置からのクロスを中心に3センターを揺さぶるところから入ろうとするが、19分に早くも大外クロスからソールザルソンが合わせて点を取れてしまった。この大外クロス爆撃に耐えられないのがリヒテンシュタインの撤退守備の辛いところ。
ドイツのように真面目に地上から崩しに来てくれる相手ならスペースを狭くしてそこそこ凌げるのだが、雑に放り込まれると割と脆いというのはルーマニア戦でも見えたリヒテンシュタインの弱点と言えるだろう。5-3-2撤退するならここは整備必須だと思うので、なんとか修正して残り2試合で1ポイントでも獲得して見せてほしい。

一方先制点によってリスクを冒す必要のなくなったアイスランドはシュート28本を記録するなど押し込み続けて4得点。リヒテンシュタインが退場者を出したこともあって終盤は余裕の展開であった。
一応2位とは5ポイント差であり、2連勝した上でアルメニアと北マケドニアが直接対決で引き分ける、ルーマニアがリヒテンシュタインに勝てないなど条件が揃えば逆転できるが、可能性は限りなく低い。マネジメントが難しそうな中、プレーオフ争いを盛り上げる存在となれるだろうか。

気になった選手

アンドリ・ルーカス・グジョンセン(アイスランド)
以前にも紹介したエイドゥル・グジョンセンの息子さん。この試合では1ゴールだったが、これをアシストしたスヴェイン・アーロン・グジョンセンは実の兄。兄弟で代表というのも珍しいのにしかもレジェンドの息子というのはかなり珍しい経歴である。兄弟で父親を超える活躍を見せられるだろうか。

ちなみにアイスランド代表にはビャルナソンが2人いるが、この2人は特に血縁関係はないっぽい。北マケドニア代表にいる2人のリストフスキは兄弟らしい(Wikipedia調べ)。俺は何に時間を使っているんだ。

試合結果
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選
グループJ 第8節
アイスランド4-0リヒテンシュタイン
@ゲンチャ
【得点者】
アイスランド:19’ ステファン・ソールザルソン、35’, 79' アルベルト・グドムンドソン、89’ アンドリ・ルーカス・グジョンセン

第8節を終えての順位表はこちら。

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