カタールW杯ヨーロッパ予選観戦メモ【第5節】

カタールW杯ヨーロッパ予選観戦メモ【第5節】

代表ウィークは大忙し!日本代表のことを考えている時間はないぜ!

ドイツ×アルメニア

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ここまで無敗で勝ち点10のアルメニアと、北マケドニアに不覚を取って勝ち点9のドイツの対戦は注目の首位決戦。

立ち上がりから右SBのホフマンを押し出して3-4-2-1のような形でボールを保持するドイツに対し、アルメニアは4-4-2でミドルゾーンに構える選択。北マケドニア戦と同じ、いわば普段通りの姿でドイツに挑んだもののこれが怪しさ満点。左SHがホフマンについて下がるまでは良かったものの、そのスペースに進出してくるズーレやキミッヒを止められず。2トップやDHは距離感が遠く、ドイツのパスルートを全く制限できなかった。

序盤からやすやすとゴール前まで侵入され続け、6分にコンビネーションで抜け出したニャブリに決められあっさりと決壊。最終ラインにきちんと5人が揃っていたにもかかわらず誰一人ニャブリについていけなかったあたり、引いた時の脆さを感じさせた。

さらに10分過ぎからはドイツのビルドアップ隊にプレッシャーをかけようとしたのか右SHのバルセグヤンが中途半端に前に出て戻らないようになり、DHのグリゴリヤンとの間に縦パスを何度も通されることに。2トップ脇を起点にサネへ展開して崩す形でドイツが2点目を奪うと、いよいよドイツのボール保持は止まらなくなる。ピッチのあらゆる場所からなすすべなく配置で殴られ続けるアルメニア。前半で4失点を喫したと知った時は驚きだったが、試合を見てみれば4失点くらいが妥当とも言える内容だったのではないだろうか。
前節でドイツと相まみえたリヒテンシュタインは5-3-2のベタ引きでドイツに対して過剰とも言えるリスペクトを示したが、今節のアルメニアはあまりにも普段通り過ぎたと言える。

もちろんこれはドイツのボール保持の的確さとアタッカー陣の質あってのこと。北マケドニア戦ではもうちょっとスペースを消せていたと思うが概ね同じ方針で守り切れたわけなので、ここまでこっぴどくやられるとは想定していなかっただろう。

アルメニアもボールを奪えば前線の技術とキープ力を活かして敵陣までボールを運べはするのだが、単発のロングカウンターだけで点を取れるほどドイツは甘くなかったし、点を取ったところでどうにかなるスコアでもなかった。

後半に入ってアルメニアもSHのポジショニングを整理し、ミドルゾーンからのプレッシングが少しずつ効き始めたが時すでに遅し。開始早々に生まれたホフマンのゴラッソはアルメニアの心を折るには十分だった。
後半ATには代表デビュー戦となるアデイェミにもゴールが生まれたドイツが6-0の大勝。格の違いを見せつけてグループ首位で予選を折り返すこととなった。

気になった選手

アントニオ・リュディガー(ドイツ)
ボール保持では変則3バックの中央としてアルメニア守備陣の間に縦パスを入れまくり、カウンターを食らえばそのパワーとスピードで潰す。欧州サッカーの最高峰で日常を過ごす彼にとってそこまで難しい仕事ではなかったのかもしれないが、この試合を危なげないものにした立役者の一人ではないだろうか。
ボールが持てても前線の質が足りなければ得点を奪えないし、最終ラインの質が足りなければ相手のカウンターに屈してしまう。そのような悩みを抱えるチームが世界中にごまんとある中、ドイツがそうならないのは彼のような個人能力の高い選手が支えているからなのだと感じられる働きだった。

試合結果
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選
グループJ 第5節
ドイツ6-0アルメニア
@メルセデス・ベンツ・アレーナ
【得点者】
ドイツ:6' 15' ニャブリ、35' ロイス、44' ヴェルナー、52' ホフマン、90+1' アデイェミ

アイスランド×北マケドニア

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現在3ポイントで突破に向けて黄信号のアイスランドと、アルメニアに分けて連勝がストップした北マケドニアの一戦。序盤はお互いに4バックで噛み合ってボールが進まない展開。アイスランドは4-1-4-1だがヨハンネソンやビャルナソンが上がっていき4-4-2のようになるためお互いの配置はほぼ噛み合っていた。ルーマニアやアルメニアならロングボールを蹴ってしまうところかもしれないが、この両チームはボールを保持したそう。特に北マケドニアは序盤にセットプレーから先制したのに特に意に介さずボールを持ちたそうにしているのが面白かった。ということでお互いに噛み合わせをずらす動きを始める。

アイスランドはGKを積極的に使うことで解決を図った。GKと2CBに3センターの1枚を加えたひし形で北マケドニアの2トップによるプレッシングを無力化し、高い位置に上げたSBからのクロスでゴールに迫る狙いが見えた。

一方、北マケドニアは左SHのエルマスが降りてくるという手段を採用。こちらもSBに高い位置を取らせ、2CBとエルマスでアイスランドのプレスをかわす。さらにこの日は2トップの一角に入ったバルディがライン間で受けて内外のレーンをうまく使い分けていた。

お互いに工夫が見える展開だったが、よりうまくいっていたのは北マケドニア。2トップが背中でMFへのコースを消しながら2CBに素早く寄せるプレッシングが機能していたこと、そしてバルディの存在で崩しにバリエーションが生まれていたことが差を作っていたように感じる。アイスランドは前進した後にやることが右SBのサエバルソンからのクロスぐらいしかないのが寂しかった。

じわじわと北マケドニア優位で試合が進んで行き、54分にアイスランドのパスミスを奪ったアリオスキがそのまま持ち上がって決めて2点目。アイスランドはたまらず60分に3枚替えを敢行する。

この3枚替えは配置の変更というよりはメッセージだったのだと思う。60分までのアイスランドは可変4-4-2でのプレスがはまらなければさっさと撤退してしまうことも多かったが、この3枚替えを機に敵陣の深いところまで出ていくようになる。当然リスクはあるし、現に北マケドニアに自陣深いところまで容易に侵入されるようになっていた。それでもやるしかないというメッセージ。交替直前に客席から聞こえたヴァイキングクラップも、選手たちを奮い立たせたのではないだろうか。

アイスランドが前線で奪えるようになる一方で北マケドニアにもチャンスが訪れるオープンな展開となったが、賭けに勝ったのはアイスランドだった。78分にFKのこぼれ球をCBのビャルナソンが押し込むと、84分には替わって入ったばかりのアンドリ・グジョンセンの代表初ゴールで一気に同点。かつての英雄の息子が決めたゴールで試合は振出しに戻る。

その後も両チームにチャンスが訪れるが、アイスランドはグジョンセンがGKのかぶったクロスを処理できず、北マケドニアはチュルリノフのヘッドがライン上でクリアされた。

結局2-2のまま試合は終了。互いの狙いと対策が見え、終盤は気迫が前面に出た充実の試合だったが、両者にとって満足とはいかない結果になった。

気になった選手

エリフ・エルマス(北マケドニア)
前節はアンカーだったバルディを前線に起用したことで発生するビルドアップどうする問題を解決。前線でタメを作る仕事もこなし、引き続き存在感を示した。北マケドニアはバルディ、エルマス、アリオスキの3人が支えているなーというのがここ2試合での印象。ちなみにまだ21歳で、所属はナポリ。既に十分凄い経歴だが、さらなるビッグクラブでの活躍も期待できる。

試合結果
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選
グループJ 第5節
アイスランド2-2北マケドニア
@ラウガルタルスヴェルル
【得点者】
アイスランド:78' ブリニャル・ビャルナソン、84' アンドリ・グジョンセン
北マケドニア:11' ヴェルコフスキ、54' アリオスキ

ルーマニア×リヒテンシュタイン

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ここまで全敗のリヒテンシュタインと、アイスランドとのデスマッチを制してなんとか上位に食らいついたルーマニアとの対戦。

リヒテンシュタインは前節ドイツ相手に披露した堅固な5-3-2をこの試合でも採用し、早々に撤退の構えを見せる。ホームのルーマニアは自然とSBが高い位置を取った。サイドチェンジをSBが受けてWBを引き出し、その裏に走るWGに渡して起点を作る形を多用。最終的にはWGかSBからのハイクロスが多くなっていた。

これはリヒテンシュタインの狙い通りかと思っていたら11分に右からのクロスのこぼれ球を左SBのトシュカが蹴りこんでルーマニアが先制。さらに18分には左WGのハジが上げたクロスに大外でマネアが合わせて2点目。リヒテンシュタインとしては撤退して構えたのに正攻法の大外クロスで2失点というあまりにも厳しい立ち上がりとなった。

さらにリヒテンシュタインはこの後も前からのプレッシングに移行するわけでもなく撤退を継続。ドイツに1-0で負けているのとは訳が違うので、ここで出ていかないということは本当に5-3-2撤退からのロングカウンター以外の手札を持っていないのかもしれない。ルーマニアのカウンター対応も万全というわけでもなく、リヒテンのロングカウンターからアタッカーとCBが2vs2みたいな状況はあったがシュートに持ち込めず。リヒテンの見せ場は37分のFKで見せたサインプレーくらいのものであった。

後半には長身のオスペルトを投入して前線で起点を作ろうとするも焼け石に水。90分間の多くをボールを持って敵陣で過ごしたルーマニアが危なげなく勝ち点3を掴んだ。

気になった選手(?)

カテリーナ・モンズール(主審)
いや選手じゃないやんけ!という話なのだが、この試合の大きなトピックの一つだと思うのでご紹介。この試合では主審のモンズールさんをはじめピッチ上の審判チームはすべて女性だった。僕はこのことはTwitterで見て知っていたのだが試合を見るまで忘れていて、気付いたのは前半30分くらいだった。まあそれくらいに無難に裁けていたということでひとつ。
もともと荒れにくい部類の試合だったと思うけど、大きなトラブルなく終えられて良かったなーと思います。

試合結果
FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選
グループJ 第5節
ルーマニア2-0リヒテンシュタイン
@スタディオヌル・ナツィオナル
【得点者】
ルーマニア:11' トシュカ、18' マネア

今節を終えての順位表はこちら。

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