カタールW杯グループA第1節レビュー 「カタール×エクアドル」

はしがき

こんにちは。かんだ(@syukan13)です。
この企画は #ワールドカップアーカイブ化計画 の分析記事となります。48人でグループリーグ全48試合のレビューを書きましょう!という企画です。詳細はこちらから。
そういうわけで開幕戦、カタール×エクアドルのレビューをお届けします。スタメンは以下。

カタールは3-1-4-2。3バックから丁寧なビルドアップを志向するカタールのイメージ通りの配置、アジアカップで日本を倒した時の印象も強いです。一方のエクアドルは4-4-2。お互いにミスマッチが生じる場所があるわけで、そこをどう使っていくのかが問われることになります。

カタールにボールを与えないエクアドル

開幕戦だからということでもないでしょうが、試合はロングボール合戦からスタート。カタールはGKアルシーブの怪しい対応から先制点を許しかけますが、オフサイドに救われます。
状況が落ち着いてくるとボールを保持して試合を進めたのはエクアドル。DHのメンデスとカイセドのうち1人を最終ラインに降ろして保持を安定化し、フリーになりやすいサイドの底を使ってビルドアップする場面が多く見られました。

噛み合わせ的にフリーになるSB

エクアドルのSBがボールを持った時、カタールはIHかWBが出ていきたいところですがWBはエクアドルのSHにピン止めされて出ていけず。IHはエクアドルのDHとSBのどちらを監視するか迫られることになります。エクアドルはこの位置でボールを落ち着けて前進の機会をうかがうシーンが非常に多かったですね。SHとのコンビネーションで前進を図ったり、カタールが前に出てきたら2トップへの長いボールで前進を試みたり。

エクアドルの可変はメンデスのサリー以外にもカイセドが左SBの位置に入ってエストゥピニャンが上がるパターンや、バレンシアがSHの位置まで降りてくるパターンもあり、カタールは誰を基準に守備をすればいいのか迷っている感じでした。
カタールはエクアドルの最終ラインに対して強いプレッシャーはかけて来なかったので、詰まったら容易にやり直せるのもエクアドルの保持をやりやすくする要因だったでしょう。前半のカタールはエクアドルのビルドアップ隊を前に中央を通さないことで精いっぱいという雰囲気でした。

位置的優位は速さで潰す

保持率で劣る展開となったカタールでしたが、ボールを持てるようになれば位置的優位を活かして前進を試みます。3バックの左右の選手が持ち運んでエクアドルの1stラインを超えていき、中央の数的優位を活かしてボールを前進させようとします。

それに対するエクアドルはサイドのCBがボールを持った際に2トップの片方がアンカーへのパスコースを塞ぎ、もう片方がCBにプレスバックして後方へのパスコースを遮断します。これによってカタールはエクアドルがやっているようなやり直しができなくなり、前方に縦パスを出すか長いボールを蹴るしかなくなっている感じでした。

そして、前に進むしかなくなったカタールが出す縦パスはエクアドルDHのスライドやCBの迎撃で潰されることになります。そこからのカウンターではカタールのアンカー周りのスペースで起点を作って素早く前進していました。エクアドルの2得点はいずれもカタールのビルドアップをひっかけて中盤を通過して生まれましたね。
このカウンターもかなりスムーズに行われていたので、エクアドルはカタールのネガトラを狙って準備はしていたのだと思います。
カタールとしてはボールを落ち着かせられると考えていたはずのの中盤を逆にカウンターの起点にされてしまったのは苦しかったですね。配置で優位を取っていても強度が足りなければそれを活かせないというあたりに現代サッカーの厳しさを感じました。

ボール保持は落ち着けど……

35分までに2失点を喫したカタールは何とかボール保持を立て直すためにFWのアフィフが降りてきてボールを受け始めます。

これによって中央にボールを落ち着けられるようになり、ボール保持を安定させることができるようになります。ただし、その分前線に人は少なくなってしまうためゴールに迫る回数はさほど増えていませんでした。
また、エクアドルのボール保持を阻害することもできていなかったため、主導権を取り戻すには至らなかった、という感想です。後半の開始からはカタールがWBを上げてプレスに行く場面もありましたが、エクアドルが長いボールをうまく使って回避。サルミエントを入れたあたりからエクアドルが保持で試合を寝かせ、カタールにほとんど良い場面を作らせないままタイムアップとなりました。

雑感

カタールからボールを取り上げて持ち味を発揮させず、ボールを持たれても逆にカウンターの起点にしてしまうエクアドルの強さが光りました。四局面全部できて強度がある、モダンな強さを持ったチームでしたね。決して奇をてらったことはやっていませんが、全員が状況に応じたプレーを選択できるクレバーなチームという印象でした。個人的にはブライトン3人衆が揃い踏みとなるシーンを見られたのも嬉しかったです。

一方のカタールは磨いてきたはずのボール保持をさせてもらえず、強度の低さが露呈される展開となってしまいました。ハイプレスやネガトラ防御が装備されていなかったことでエクアドルに無限にボールを持たれてしまい、自分たちの強みすら見失ってしまった印象です。
真剣勝負の場がなかったことが響いたのか、今後どう強化していくのかなどいろいろな疑問のよぎる敗戦となりましたが、とにかく目の前の試合に向けて立ち直る必要がありますね。セネガルに勝てないとゲームオーバー濃厚なので、何とか意地を見せてほしいところです。

ということで、カタール戦のレビューでした。今後も色々な方が試合レビューを上げてくれると思いますので、ぜひそちらもお楽しみください!それではまた。       

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