街の中で

今両親が住んでいる地域は割と歴史があるらしく、古い建物があったり、古い木や道があったりする。
初めてそちらに行った時、母に街の中の探索に付き合ってもらった。
駅の裏からそれなりに大きな通りをテクテクとご飯を食べる予定のお店まで歩いていた時の事。

車道側に私、内側に母と並んで街をうろうろした感想を話しながら歩いていた。
すると、母が急に斜め後ろに車道側によろけた。びっくりして支えると「あんた、今腕引っ張ってないよね…?」と言われた。
若干私の方が歩くのが早いので、私は母より少し前の方を歩いていた。どう考えても後ろに引っ張れるわけがない。
そして若干振り返り気味に話していたから、そのあたりは私の視界に入っているはずだけどもなにも落ちてないし、誰もいなかった。
2人してちょっと顔を引きつらせながら「さ、さっさと行こう!」と足早にその場所を去った。

その後、ご飯を食べながら。
「さっきので思い出したんだけどさ、この街のデパートでるよ」「マジで!?さっき行ったとこ!!?」
引っ越してきてちょっとしたあと、母はそのデパートに何の気なしに入ってみたそうだ。そこの本屋で本を眺めていて、ちょっと奥まった漫画・ライトノベルコーナーまで本の背表紙を眺めながら歩いていたそうだ。
気になってた漫画を探しながら歩いていると、お目当ての物を見つけたのでちょっと手に取って眺めた。
すると、隣に若い男の人が立ったようだった。
母は本の裏表紙を眺めながら、ちょっとした違和感に気付く。隣の人、凄く背が高くないだろうか。
目線だけ動かして隣を見ると、さっき感じた人影の体はない。見間違えか、と思い斜め上の方を見ると、居た。
金髪の前髪から鼻にかけての部分だけ2m位の所に浮かんでいたそうだ。
母は何食わぬ顔で本を戻し、帰ったらしい。オチは無い。

私はこの地域の治安の悪さと運転の荒さがリアルに怖い。
今まで転々としてきたけど、ここがワーストだわ…。

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