毎週水曜日午前0時の足音

つい最近あるきっかけがあって思い出した、母から聞いた怖い話を他SNSに外部保存目的で落しておいたものをこちらにも投稿。


母は霊感があるらしく、結構色々な体験をしているようだ。

これは母が高校生の時の話。

母が昔住んでいたある家はいわくつきだった。毎週水曜日午前0時に母の部屋の天井から廊下の上、そして階段を「ぎっぎっ」と下りて母と祖父の部屋の前を通り過ぎる足音が聞こえていたそうな。
もちろん母の部屋の上に部屋はなく、部屋の近くに天井に上る階段もない。不動産屋からも屋根裏があるといった説明は受けていなかった。
しかし小動物ではなく、「人」が一段一段階段を下りて、廊下を歩いていく足音を母と祖父は毎回聞いていたそうだ。

その時にばっちり目が覚めてしまうことと、足音、人が歩いていく気配が少しの間する他には別に被害もないし、週に1日数分だけの事だから、とあまり気にはしていなかった。まぁなんとなく気味が悪いなーとは思っていたそうだが。
割愛するが、その家は他にも色々なことが起こり過ぎて 「まぁ、足音くらいならいっか」と思ったらしい。

ある日、何の気なしに祖父が廊下の掃除ついでに天井を眺めていると、天井の隅の方にほこりまみれの錆びた金具がついていて、外れそうな部分があることに気がついた。
金具をなんとか外してみると、予想通り収納階段が出てきた。
階段を上ってみると、なるほど「ぎっぎっ」と音がする。祖父はやっぱり聞こえてくる音はここの音なのだなと思った。

上った先にはやはり、屋根裏部屋があった。そしてそこには古ぼけたマットレスがあった。
薄暗くて埃っぽい屋根裏部屋の真ん中あたりにポツンと取り残されたマットレス。ただの前住人の忘れ物だとしても人生であまり出会いたくない状況だっただろう。

祖父はピンと来た。「ああ、あの人のなのか」と。

ちょうどマットレスがあったのは母の部屋の上。足音の開始点。
祖父はこのマットレスを見た時に不思議と「もやもやした男の人がこのマットレスから起きあがり、階段まで歩いて、階段を下り、母や祖父の部屋の前を歩いて行く」といった情景が自然と頭に浮かんだらしい。
 
で、どうしたかというと…祖父はそのマットレスを捨てた。

もうかなり昔の話とはいえ、お祓いとかしないで普通にゴミとして捨ててしまっていいのか、とこの話を母から聞いた私が怖くなった。確かにそうするしかないかもしれないにしても、それからもその家に住む人間の心情的に何かしなくて大丈夫だったのか。
私なら無理。絶対その後も怖い。

結局、それからは足音はしなくなった。
マットレスを片づけたことによって彼の居場所が無くなってしまったからいなくなったのか、マットレスに彼がくっついて行ったのか…。

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