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cheer for "SELECTION PROJECT" #11 セレプロアニメ第8話「心の本当の音色」感想

「それが灯の望み…。誰かの、希望になるために…」

誰一人欠けることなく1次審査と2次審査を突破した9人。
しかし最終審査の課題として突き付けられた現実はあまりにも残酷だった。
そして鈴音と玲那はある一つの真実と向き合うことになる――。

ということでセレプロアニメ第8話の感想です。

※記事中の画像はSELECTION PROJECT公式サイトより引用しています。
※ややこしくならないよう劇中のオーディションは「SELECTION PROJECT」、現実のコンテンツ全般は「セレプロ」表記にしています。

お品書き

1.第8話の見どころ

①9人がオーディションにどう向き合っているかのスタンスがより明確に
②初めて描写された花野井家の家族事情
③Bパートの水野さんの演技で胸が打たれます

2.交錯

9人から2人を投票によって脱落させる――。
5日後の投票に向けて1次審査のユニットごとに相談タイムが設けられた。

このゲームには必勝法がある

「Splasoda°」では凪咲による必勝法が提案されたが他3人は談合を拒む。
凪咲は自分の「あざとキャラ」という設定がマイナスに働くことを危惧していたのだ。さすがに候補者同士となると上辺の姿だけではごまかし切れないと思ったのだろう。

「GAPsCAPs」の詩と栞は自分の得意分野で勝負することを望んでいるらしいが、まこは割り切れていないようだ。特にまこは普段からユニットメンバー以外の候補者に対しても気を配っている様子が多かったのでなおさらである。

「Suzu☆Rena」の二人は改めてオーディションと向き合う決意を固める。
目標である天沢灯と同じステージまであと一歩。

昼食時。ドライな詩もさすがに食欲が無いらしくデザートのさくらんぼを野土香に譲っていた。というか野土香だけが平常運転である。

栞も珍しく物憂げな表情

お互いの腹の内を探り合う殺伐とした雰囲気。なぜチアーズの投票ではなく候補者間の投票なのか…。
玲那は「プロ意識を持つため」ではないかと予想するが、果たして運営の意図はどこにあるのだろうか。

その後、投票に際し個別にインタビューを受けることに。
広海、栞、逢生の順にスケジュールは消化されていく。それぞれ思うところはあれど自分なりに最終審査に向き合っているようだ。

「Splasoda°」の活動を経て自分らしくいることの大切さを知っている逢生

夜。寮の廊下にて翌日のスケジュールをチェックする鈴音。そこに鉢合わせた凪咲はインタビューの内容を気にしているらしく落ち着きが無い。使える手は全て使う、というのも彼女らしい。
台本を考えるという凪咲を見送った後、鈴音はちょうど入浴に向かうらしいまこと野土香に誘われ一緒に風呂場へ。どうやら胸の傷をメンバーに隠すことはやめたようだ。第6話でのナーバスな彼女と比べると憑き物が落ちたような明るい表情だと思う。

3.灯火

同時刻。玲那は自室で姉の天沢灯に想いを馳せていた。
その折、自宅から何やら荷物が届く。母に電話をかけ荷物について聞くと中身は天沢灯に届いた手紙らしい。ファンレター…ではない。母が言うには今の玲那に必要なものらしいが…。

荷物の中には手紙が入っていた。その中に見覚えのある封筒。そう、2次試験の最中に玲那が鈴音に渡したもの。
ドナーの家族へ手紙を書いてみてはどうかと鈴音に話したときのものだった。

手紙の内容は明らかに鈴音が書いた文章だった。ドナーへの感謝の言葉。そして、彼女の夢の話。
「わたしには小さい頃からの夢があります。大好きな歌を歌って、自由に踊ることです」

玲那は外にいた鈴音を見つけ心臓移植の時期について確認した。
当然鈴音がその出来事を忘れているはずはない。3年前の6月11日。
それは天沢灯が事故に遭った日でもあり、彼女の心臓が、誰かの希望となった日でもあった。
衝撃の事実を知り、思わず鈴音の前から走り去る玲那。

翌日。インタビューの収録は玲那から始まった。さすがの玲那も前日の件があり体調が優れないらしい。
そんな彼女を心配したのか鈴音がインタビューを見学しに来たのだが、玲那は収録の延期を申し出る。この時の玲那は普段から考えられないほど不安定で、鈴音の気遣いを全て突っぱねてしまう。

インタビューは玲那の番を飛ばし、凪咲、鈴音と続く。そういえば凪咲は本当に台本を作ったのだろうか?
夕食時になっても玲那は食堂に顔を出すこともなく浜辺で鈴音のインタビュー動画を見ていた。鈴音が言っていた「みんなに希望を与えられるような存在になれたら」という言葉は、まさしく天沢灯が貫いた生き方そのものだった。
それが、玲那の心に突き刺さる。

玲那を探しに来た鈴音を前にまた逃げ出そうとする彼女だったが、その時に例の手紙を落としてしまう。
それを見て心臓の提供者が誰であるかを察した鈴音。もう玲那も事実を隠すことはなかった。
それどころか勢いのまま胸の内に渦巻いていた感情を吐き出していた。

「どうして、あなたがここにいるの?!」

「鈴音さんがここまで勝ち上がれたのって、本当にあなたの実力?!」

「あなたの中にお姉ちゃんがいたからじゃ…お姉ちゃんの力があったからじゃないの?!」

玲那の抱いていた自負は「天沢灯の正当な継承者」であったことだろう。
妹としてずっと姉を見て育ってきた。華やかなアイドルとしてだけではない。人には見せない孤独な少女としての姿を知っている。そして今も姉と同じ場所に立とうと努力している。

しかし目の前に、もしかしたら自分以上に「天沢灯」になれるかもしれない存在がいる。
姉の心臓を胸に宿し、姉と同じ志を持っているというのだ。
天沢灯と同じステージに立つべきはどちらなのか…。

玲那の叫びは嫉妬とも悲しみともつかないような、感情の塊だった。
結局それ以上言葉を交わすことなく玲那は走り去ってしまう。

二人の涙は止まらない。
きっと同じ人のことを想って泣いているはずなのに、彼女たちの心はすれ違う。


実は自分の外見に自信があるらしい広海