cheer for "SELECTION PROJECT" #13 セレプロアニメ第10話「ただ 歌いたくて」感想
オーディションに挑戦する理由を見失ってしまった玲那。
そんな彼女を脱落させるために投票すべきか迷う候補者たち。
「何のためにアイドルを目指すのか」その問いへ9人が出した答えとは?
ということでセレプロアニメ第10話の感想です。
※記事中の画像はSELECTION PROJECT公式サイトより引用しています。
※ややこしくならないよう劇中のオーディションは「SELECTION PROJECT」、現実のコンテンツ全般は「セレプロ」表記にしています。
お品書き
1.第10話の見どころ
①この投票結果を予想できた視聴者は果たしていたのかな?
②アニメ全13話のうち今回までプロローグと言ってもいいです
2.女子、三日会わざれば刮目して見よ
8月31日。夏休みの終日。
鈴音は自室――と言っても寮の自室ではなく、自宅の自室のベッドで目覚めた。
これが何を意味するかはここまでストーリーを追ってきた視聴者ならすぐに察しがつく。
しかも鈴音は玲那と会う約束をしているようである。ということは当然玲那もセレクションスタジオを出ている、ということだ。
玲那に会うため電車に乗る鈴音だったが乗客が今回の「SELECTION PROJECT」について話していることを聞いてしまう。
彼女らの話の内容からしてどうやらかなりショッキングな結果だったらしい。まあ候補者同士で脱落者を決めるなんてことをすれば当然の感想ではある。
東京都内の恵比寿駅前にて合流する鈴音と玲那。第9話の後半から玲那は「鈴音」と呼ぶようになったらしく、二人の雰囲気からしてみてもずいぶんと心理的な距離が近づいたようである。第2話で鈴音に皮肉を言っていた頃がもはや懐かしい…。
二人が向かった先は玲那の自宅だった。そこは同時に天沢(花野井)灯の自宅でもある。
姉の仏壇の前に座り鈴音を紹介する玲那。鈴音としては憧れの人であり命の恩人でもあるということで、二重の意味で感慨深い瞬間だっただろう。
玲那は天沢灯グッズを鈴音に譲ることを申し出るが、「灯ちゃんガチ推し」を自称する鈴音は全てのグッズを持っているらしい。
(そうだね黄金の像とかあるよね…ってそんなわけあるかい!)
「SELECTION PROJECT」の結果について話す二人。玲那は今後エールを送る側になると言うが、やはり歌いたい理由を無くしてしまった、あるいは始めから持っていなかったと思っているのだろうか。
ここからは鈴音と玲那以外の7人について描写される。地元に一度戻ったらしい彼女たちは再び旅立つようだ。まるで第2話のリプレイのように見えるが確実に何かが変わっている。
地元の後輩との食事でたこ焼き屋…ではなくオシャレなクレープ屋を選ぶ広海。
送り出す母親に優しく微笑み返す凪咲。
ダイエットをやめて身も心もハイカロリーに生きると宣言する野土香(そもそもダイエットしてないような)。
両親に改めて金メダルを目指すと告げる逢生。
マネージャーでもある母親に一人で行くと諭す詩。
社会勉強がてら初めて新幹線に一人で乗るらしい栞。
子離れならぬ弟妹離れをしつつあるまこ。
夏休みの様々な出来事を経て、9人はそれぞれに変わりつつあった。
3.誰がために音は鳴る
さて、最終審査前の投票は結局どういう結果だったのだろうか。ここでその時の状況が描写される。
表示された画面によると、なんと9人全員に1票ずつ入っていた。脱落2名が決まらない場合は後日再投票というルールらしいが、候補者たちは自分の意志は変わらないと口を揃える。
つまり全員が自分に投票したということである。
玲那を除く8人が「誰も欠けて欲しくない」という意思表示をしたということだ。
結果として番組の運営は「全員失格と判断した」と発表した。9人が一致団結して(実際は違うが)真っ向からルールに異を唱えている子たちを問答無用で失格にしたら視聴者やスポンサーからクレームが来そうなものだが…。
食堂で番組を見ていたサニーさんとスーツ姿の男性。彼は第9話で既に姿を見せていたスミパンダの中の人(CVではない)こと、おしるこジュンである。
今回の「SELECTION PROJECT」が思いもよらぬ結果に終わってしまったことを惜しんでいるようだ。
驚いているのは関係者だけではない。
北関東予選の決勝で鈴音と戦った小野花梨と酒田彩乃、そして渡米した来栖セイラ。彼女たちもオーディションの結果に対しそれぞれ思うところがあるようだ。
4.The song must go on
再び場面は花野井家を訪れた鈴音に戻る。
玲那の自室にいた鈴音のスマホに広海たちからメッセージが届く。一度地元に戻った彼女たちは東京を目指して出発していたということだ。
まこは新幹線なのだし西日本組の逢生、広海、栞と順番に合流していくのかなと思ったらそんなことはなかった。(名古屋で栞と合流したらしい)
都内のカラオケ店で再会した9人は広海をリーダーとして活動していくことにしたようだ。その活動とはズバリ「SELF IDOL PROJECT」。次週からアニメのタイトルが変更になった瞬間である。オーディション番組の枠組みの中ではなく、自分たちがやりたいことをやるというのが活動目標らしい。
玲那はアイドルとしてではなくメンバーをサポートするために参加するとのことで、今後の方針や活動内容など具体的なプランをスラスラとプレゼンしていた。姉の活動を見ていたことで業界に詳しかったりするのだろうか。
呆気にとられる8人に構うことなく玲那が提案した内容は「路上ライブをするために自分たちのオリジナル曲を作ること」だった。
オーディションの1次審査で組んだユニットをそのまま活用する形で「作曲はGAPsCAPs」「振り付けはSplasoda°」「作詞はSuzu☆Rena」と役割分担を行った。
全国各地に散らばるメンバーが頻繁に集まることはできないことから、ここからの作業は基本的にオンライン上でのやり取りになる。
各々が自分の割り振られた役割を果たすために試行錯誤を重ね、ようやく曲や振り付けが完成したのは鈴音のスマホ画面によると10月3日のようだ。つまり全員が東京に集合してから1か月以上かけて(当然学校にも通いながら)作り上げたということである。
地方組が東京に来ることの負担を考えても並大抵の覚悟でできることではない。
ということで都内の公園(代々木公園?)でパフォーマンスの練習をする8人。玲那は相変わらず見守る立場だがまこはそんな彼女のことを気にしているようだ。
練習後ハンバーガーショップでユニット名について相談する鈴音と玲那。二人が出した案は「9-tie」。「cutie」と「9人の縁(tie)」のダブルミーニングということらしい。
玲那としては実際に歌うのは8人だから「9」という意味を込めることに否定的だが鈴音はあくまでも「9人」にこだわっていた。恐らくそれはこの場にいないメンバーも同じだろう。
彼女たちの今の活動は「SELECTION PROJECT」で誰も欠けて欲しくないと思った結果なのだ。
自宅に戻った玲那は録画していた練習時の動画を見返していた。9人全員で作った自分たちの曲。「いつか かなう 夢」。
玲那の頬には自分でも気づかないうちに涙が伝っていた。フラッシュバックする姉の姿。玲那が自覚したもの。それは――
帰り道を歩く鈴音のスマホに玲那からの着信が入る。玲那は今の自分の気持ちを話し始めた。
玲那がアイドルを目指したきっかけは間違いなく姉と同じステージに立つことだった。それは他の誰にも立場的に理解できないが故に、彼女の努力は苛烈で孤独なものだっただろう。
しかし「SELECTION PROJECT」の審査を通して誰かとぶつかったり、悩んだり、悲しんだり、時に笑い合ったり、そんな経験が玲那の宝物になっていた。
自分自身の心から湧き上がる感情を自覚した瞬間こそが、玲那にとっての本当の始まりだったのだ。
そして鈴音は玲那の本質にいち早く気づいていた。玲那が本心から歌が好きだと思っていなければ、1次審査や2次審査のライブは成功しなかっただろう。
「一緒に歌おうよ。みんなもそのつもりだよ。――ほら!」
自宅へ戻る途中だと思われた鈴音は1人でいるのではなかった。なんとホテルに戻ったはずの7人も一緒にいて、玲那のマンションのそばに来て玲那を呼んでいた(ご近所迷惑待った無し!)。
慌てて外に飛び出してきた玲那にまこから衣装が手渡される。この衣装は栞がデザインしたらしくいつも通りのドヤ顔である。
「玲那ちゃん、今、何がしたい?」
「歌いたい。――歌いたい!みんなと一緒に!」
鈴音の問いかけに迷うことなく答える玲那。
いや、問いかけというのは少し違うだろうか。きっと鈴音は玲那の答えを知っていた。よって玲那の言葉を促した、というのが正しい表現かもしれない。
とにもかくにも、これにてようやく本当の意味で「9-tie」結成となった。
きっと彼女たちの未来は明るいはず…そんな予感に影が差す一場面。
「PRODUCTION SELECT」という企業ビルの一室にて重役らしい女性が「9-tie」のSNSアカウントを見つめていた。
この女性の声どこかで聞いたような…??(すっとぼけ)
灯ちゃんマジック(物理)