cheer for "SELECTION PROJECT" #14 セレプロアニメ第11話「少しだけど 少しずつ」感想
自らの意志で「SELECTION PROJECT」からの脱落を選んだ9人。
「9-tie」として自分たちがやりたいことをやるアイドルグループを目指すことになったが、事はそう上手くいかないようで…。
ということでセレプロアニメ第11話の感想です。
※記事中の画像はSELECTION PROJECT公式サイトより引用しています。
※ややこしくならないよう劇中のオーディションは「SELECTION PROJECT」、現実のコンテンツ全般は「セレプロ」表記にしています。
お品書き
1.第11話の見どころ
①OP映像で流れるカットの真の意味がついにわかるように!
②この世界は彼女たちを全肯定しているわけではないのです。
③それでも進むと決めた9-tieの歌声は迷わない。
2.VOICES
玲那が抱えていた迷いも晴れて、9人は正式に「9-tie」としての活動を開始した。
最初の路上ライブは東京都内…かと思いきや大宮駅前のペデストリアンデッキだった。都内でやらなかったのは場所の使用許可が出なかったからだろうか?
リーダーの広海が道行く人たちにアピールするものの、立ち止まってくれる人は全くと言っていいほどいない。しかし何やら怪しいスーツ姿の男性が彼女たちを遠巻きに気にしているようだが…。
「9-tie」としての初ライブを終えカラオケ店に場所を移すが、盛り上がれるような雰囲気ではない。
恐らくオーディション時に何十万ものエールを獲得していたことから、自分たちも多少なりとも知名度があると踏んでいたのだろう。しかし「SELECTION PROJECT」を離れた彼女たちはただの素人集団としてしか思われていないということだ。
当然メンバーの中にも焦りを抱く者は出てくる。詩は個人のSNSアカウントでライブ動画をシェアすることを提案するが、その方法については既に話がついていたようだ。彼女たちをフォローしているのは「SELECTION PROJECT」を通して得たチアーズであり、期待に応えることができなかった自分たちがチアーズに頼ることはできない――という結論である。
とは言え1次審査でもそうだったように、現実的な判断ができる詩はさすがの芸歴といったところだろう。
ここからはまさに自主レーベル活動と表現すればいいだろうか。
自分たちでチラシを作るところから始まり、ライブハウスにチラシを置かせてもらえないか頼んで回る(それにしても鈴音・玲那・栞の中学生組でライブハウスに突入するとか度胸あるな…)。そして路上でのチラシ配りも欠かせない。
本当に少しずつ効果が表れ始めるが、一方でせっかく作ったチラシが道端に捨てられているなど現実は優しくなかった。
とはいえそこでめげないメンバーたち。
詩は子役時代の知名度を活かして「子供探偵」によるファンサービス(「この謎!ぴーんときちゃった!」可愛い)。
凪咲は「SELECTION PROJECT」の視聴者へあざとさ全開のアピール。
ファン獲得に試行錯誤していた彼女たちのところへ思わぬ来訪者が現れる。
それは前話でも少し登場した小野花梨と酒田彩乃だった。大宮駅前で北関東予選ぶりに彼女たちと再会することになった鈴音。
親しげに接するメンバーたちだったが、二人の反応は芳しくない…というより辛辣なものだった。
何しろ二人は…というより二人をはじめとした数万人のアイドル志望者たちはきっと憤っているのだ。鈴音たちが選んだ「SELECTION PROJECT」からの辞退という結果に対して。
鈴音と玲那を除く7人はホテルに戻ったのち自分たちの選択が本当に正しかったのか改めて自問する。そしてどれだけ多くの少女たちが「SELECTION PROJECT」に憧れていたのかを実感していた。
同じ頃、帰宅したと思われていた鈴音と玲那は大宮駅前でビラ配りを再開していた。玲那曰く、地方組はバイトをして交通費や宿泊費を工面しているから自分が頑張らねばという気持ちのようだ。
そう考えるとお嬢様の栞と子役での稼ぎがある詩はともかくとして、他の5人は金銭的に相当な苦労があるのではなかろうか。その栞と詩に関しても家族の理解を得るのは並大抵のことではなかっただろう。
そんな彼女たちの決意や覚悟が水面に奔る波紋のように広がり、関わってきた人たちの心を動かしていく。
3.夢へのアンコール
場面は変わりオフィスビルの一室。おしるこジュンが手土産を片手に話す女性は…もはや濁す意味もないがセレクションスタジオにいた女将ことサニーさんである。しかもかなり重役であることが伺える。
ジュンは「9-tie」に対し思い入れがあるからか協力を進言するが、サニーさんはあくまでも傍観する方針らしい。
翌日。地方組7人は路上ライブ前にファーストフード店で食事中。広海が激を飛ばすものの(このシーンの広海の表情が髪で隠れて見えないところが上手い表現だと思う)、メンバーの間に漂う迷いや不安は晴れない。
そんなメンバーたちの胸中を代弁するかのように言葉をこぼしたのは凪咲だった。
「SELECTION PROJECT」を辞退したのはもちろん自分たちの意志ではあるが、反面、オーディションを勝ち抜いていく中で獲得していたエール数から考えれば自分たちだけでももっと上手くいくはずという打算めいたもの。そんなアテが外れてしまった以上、みんな後悔しているのではないか――?
むしろそんなことを言ってしまう凪咲が一番不安がっているのではないかとツッコミを入れられるが、今はオーディションの時とは違う。誰かが恐れで立ち止まってしまっても手を差し伸べる者、背中を押してくれる者がいる。「9-tie」はそういうチームになりつつあった。
さらに彼女たちを元気づけたのはたまたま近くの席にいた女子学生二人組の些細な雑談だった。スマートフォンで「9-tie」の動画を見ていた二人は口々に言う。「可愛い!みんなレベル高くない?」「この衣装わたし好きかも!」
自分たちの努力が届いていたことを知った7人に広がる喜びと安堵。野土香は思わず泣きだしてしまうほどだ。
片や電車で大宮駅に向かう玲那の前にも同年代らしい女性二人組ファンの姿が。「天使って実在するの?!」という感嘆がオタクあるあるといったところか。
SNSにUPされていた動画を見て玲那に声をかけたらしいが、それに応じる玲那の表情がとても柔らかく彼女の成長を感じられる一幕だ。
とあるバス停で「9-tie」の動画を見つめる小野花梨。
彼女は自分が乗るはずのバスが来ても画面から目を離すことなく見入っていた。表情はわからないが一体何を感じたのだろうか…。
路上ライブの待ち合わせ場所に早く着いた鈴音に連絡してきたのはアメリカにいる来栖セイラ。どうやらレッスンの合間のようだ。渡米後も「SELECTION PROJECT」の動向を追っていたらしく「9-tie」の動画もシェアしたとのこと。
セイラは小野花梨と酒田彩乃のようにオーディションを辞退したことを責める様子はない(もちろん自分も辞退しているからということもあるだろうが)。一応渡米前に「本選で優勝してほしい」と鈴音に言ってはいるのだが、セイラが望んだ本質はそこではない。
セイラが望んだのは、鈴音が歌を続けること、そして生まれ変わった彼女と勝負することだ。
多くのオーディションを経験してきたセイラにとって「SELECTION PROJECT」は目標に至るための道の一つでしかない。鈴音が辞退という選択肢を選ぶことができたのもセイラの姿を見ていたからだろう。
鈴音にとって天沢灯とは別の意味で大きな影響を与えたのが来栖セイラという少女なのである。
さて、様々な告知活動を経て迎えた今回の路上ライブは何と多くの観客が集まっていた。まさに人だかり、と言っていいほどである。
観客の中には小野花梨と酒田彩乃の姿も。花梨は「勘違いしないで。別に応援に来たわけじゃないから」と、まさか令和の時代にこんなテンプレなツンデレあるか?と言いたくなるほどのセリフを言い放つ。
路上ライブは「SELECTION PROJECT」2次予選で披露した「Naked Blue」を経て(曲の権利関係どうなってるんだ)、ついに最後の曲へ。
曲前のMCで9人がそれぞれ自分の想いを語る。よくよく考えてみると鈴音たちは「SELECTION PROJECT」を辞退して以降、こうして自分たちの気持ちを直接ファンに伝える機会はほぼ無かったのではないだろうか。
オーディションや共同生活を通して育んだ関係性、「9-tie」に対する思い入れ、ファンへの感謝…。後ろ盾も無ければしがらみも無い、ただひたむきに夢へ邁進する少女たちの言葉。
それら全てが紡がれたのが、彼女たちが作った新曲「いつか かなう 夢」。
遠く離れた場所にいる家族や友人が配信で見守る中、路上ライブは大盛況となった。それに伴い「9-tie」のアカウントフォロワー数も一気に6万弱まで増加していた。
批判的だった花梨や彩乃も直接パフォーマンスを見たことで考えが変わったらしい。改めて「9-tie」を応援するファンとなってくれた。
そんな感動的な場面に突如カットインしてくる男性の声――。そこに登場したのはおしるこジュン。相変わらず陰から見守ってくれていたようだ。しかも彼が言うには「9-tie」のアカウントを最初にフォローしたのはジュン自身だったらしい。ただの古参ファンじゃないか…。
ジュンは単に路上ライブを見に来たわけではなく、事務所の社長からとある提案を預かってきていた。それはなんと、『9人全員の「SELECTION PROJECT」本選への復帰』。
特別審査――プロデビューを賭けたファイナルステージ。合格条件は200万エールの獲得。(そもそもそんな視聴者数いるのか?という疑問もあるが)鈴音たちは迷うことなく即答する。
「やらせてください。今までエールを送ってくれた人たちに、もう一度みんなで歌を届けられるなら、断る理由なんてありません!」
かくして9人は数か月ぶりにセレクションスタジオに戻ってくることとなった。変わらず彼女たちを迎えてくれるサニーさん(事務所にいたのでは…?)。
最終審査に向け一致団結する9人だが、「……おや!?すずねの ようすが……!」
一部の界隈でやたら人気のある二人。「9-tie」に差し向けられた刺客ポジションかと思ったらそんなことはなかったぜ