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インドネシアへの想い③夫編

海外駐在するビジネスマンとして、最初にやらなければならないことは、何か?
私にとって、それはゴルフの練習でした。
なぜなら、ジャカルタに駐在するビジネスマンが人間関係を構築するには、休日のゴルフが最も確実な方法だからです。

しかし、私の場合もともとゴルフが大嫌いで、日本では一度もやったことがありませんでした。
そのため、お客様主催のゴルフコンペに参加するためには、打ちっぱなしの練習が必須でした。

練習を始めて2ヶ月くらい経った頃、日本の本社から重役が出張でジャカルタへ来ることになりました。
その重役はゴルフが大好きで、私のコースデビューに付き合ってくれることになったのです。

しかしながら、まだドライバーの練習をしていなかった私は、7番アイアンよりも長いクラブを使うことができません。
この7番アイアンが、あとで身の毛もよだつ惨劇を引き起こすことになろうとは・・・

(ドライバーと7番アイアン)

スタート前、1番ホールのティーグランド付近で素振りをしていたときです。
私の振った7番アイアンのヘッドが、グランドの土を深くえぐり取ったのです。
(ゴルフの専門用語でいう「ダフる」、このときはそんな言葉の存在さえも知らなかった)

運の悪いことに、その土は重役の顔面めがけて、一直線に飛んでいきました。
またたく間に、重役の顔面は砂のシャワーを浴びる羽目になったのです。

さらに運の悪いことに、前日は大雨が降ったらしく、その砂は水分をたっぷり含んでいたのです(つまり泥)。

鼻の穴や口の中に吸い込んだ泥を「ペッペッ」と吐き出す重役。
慌てふためきオロオロする私。

純白のポロシャツが茶色の水玉模様に変わったことに気づいた重役。
頭が真白になってオロオロする私。

顔がユデダコのように真っ赤に変色していく重役。
血の気が引いて顔が真っ青に変色していく私。

「顔に泥を塗る」という比喩がございますが、上司の顔に本当に泥を塗ってしまった方はいらっしゃいますでしょうか?
もしもこれが戦国時代であったなら、私は迷うことなく切腹をしていたことでしょう。

(水玉といえば草間彌生さん。ご著書「水玉の履歴書」より)

大嫌いだったゴルフ。
泥にまみれた壮絶なコースデビュー。

この体験から1年半が経ち、私は初めてスコア100を切ることができました。
今ではゴルフが大好きです♡

ハートは柔軟性のある筋肉です。

(決して浮かれているわけではありません。これも仕事のうちなのです!)

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