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《書評》SF小説

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“テクノロジーが社会と個にどのような作用を及ぼすのか、そして社会はテクノロジーをどのようにかたちづくるのかというダイナミクスのもつ面白さ”
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2024年4月の記事一覧

ひとりぼっちの宇宙交流『中継ステーション【新訳版】』クリフォード・D・シマック

『中継ステーション』は『デューン 砂の惑星』(雑誌連載版)とカート・ヴォネガットの『猫のゆりかご』などを押しのけて、1964年のヒューゴ賞長編小説部門に選ばた小説で、錚々たるメンツを下した当時の傑作です。 著者のクリフォード・D・シマックはアメリカのウィスコンシン出身で、緑の裾野が広がる大自然のなかで生まれ育ち、新聞記者をしながらSF小説も執筆していたという人物です。 『中継ステーション』もかれの生まれ故郷であるウィスコンシンが舞台の小説で、SFとは似つかわしくない、牧歌的

これは読むドラッグであrrrrrrr。『ソフトウェア』『ウェットウェア』ルーディ・ラッカー

そもそもラッカーとの出会いは、伊藤計劃先生が影響を受けたサイバーパンクの作家の一人ということで、いつか読みたいと思っていたのが始まり。 それが去年の年末くらいに、岡山の丸善で、ゲリラ的に開かれていた古本市でたまたま、『ソフトウェア』と『ウェットウェア』を見つけ、購入。読んでみたというわけです。そのときの古本市の様子を写真に撮らなかったのは一生の不覚。テンション上がりますよねー古本市。 他にもハヤカワ文庫を探してストルガツキーの『波が風を消す』なんかも発見。ラッカーもストルガ