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《書評》SF小説

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“テクノロジーが社会と個にどのような作用を及ぼすのか、そして社会はテクノロジーをどのようにかたちづくるのかというダイナミクスのもつ面白さ”
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2024年1月の記事一覧

書評『シティ5からの脱出』バリントン・J・ベイリー

これも去年からちょっとずつ読んでいた本の感想です。 読み途中の本は綺麗さっぱり年末に消化してこそ、気持ちのよい日の出が拝めるというのに……。 今年は2024年。ちょっとSFっぽい響きで興奮する。 せっかく年を新たにしたんだから、アイコンも変更。藤子不二雄先生っぽいミァハに。 「ねえトァン“地球はかいばくだん”って知ってる……」 「知らない、なに……」 「銀河を吹きとばすことができる破壊兵器。大災禍以前は、こうした秘密どうぐが平然とデパートで売られていたの。気がむけばセカイをほ

書評『冷たい方程式』トム・ゴドウィン他

あけましておめでとうございます! 新年初読書というわけではなく、年末あたりから読み進めていた本の感想になります。本年もよろしくお願いいたします。 本作『冷たい方程式』は元々1980年にハヤカワ文庫から「SFマガジン・ベスト1」として出版された50年代欧米SFのアンソロジーで、そのなかの『冷たい方程式』があまりにも有名かつ人気になったため、新たに収録作品を組み直し、復刊したというのが本書です。といっても内容は『冷たい方程式』とアシモフの『信念』しかかぶっていないので、全く別物