書評『千の顔をもつ英雄』
この本を初めて読んだのは専門学生だったころで、ストーリーテリングの指南書の一環として読もうとしたのを覚えています。ハリウッドの三幕構成と合わせて、物語の基本骨子のようなものを解読したくて手に取りました。
しかし本書はお手軽な脚本術のハウツーなどではなかった。神話のメタファーを読み解き、そこに隠された本質を浮かび上がらせ、自己と世界とを調和させる術を教える。そういった本なのではないだろうか。
著者キャンベルがこころみたのは、フロイトやユングの精神分析を援用し、神話の象徴を読み