書評『心の仕組み』スティーブン・ピンカー
そもそも手に取るきっかけは伊藤計劃の小説『虐殺器官』に端を発する。解説のあとがきで、作中のバックボーンとなる理論として紹介される文献の一つに、スティーブン・ピンカーの『心の仕組み』があったからだ。ずっと読みたいと思っていた本だったので、念願である。
ピンカーが試みるのは、人間の“心”ーその様々な機能の、科学的な説明である。
知覚、推論、感情、人間関係、芸術、宗教それらがなぜ、人間に備わっているのか、何の役に立っているのか。ピンカーが武器とするのは、『心の演算理論』と『ダーウ