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マンガ体験記

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洋の東西を問わず、マンガ、コミック、バンド・デシネ、なんでも読んだ感想をここに置いておきます。
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#マンガ感想文

鶴田謙二をよむ

鶴田謙二先生のマンガは『おもいでエマノン』のコミカライズがもっとも有名でしょうか。 イラストレーターとしても活躍していて、SF小説の表紙を多く手がけていますから、SF好きのあいだで認知度が高い作家ですね。 急遽『Spirit of Wander』の新装版が発売されることを知り、このタイミングで、鶴田謙二作品をこのさい一気に読もうと決意し、あわてて新作旧作、まとめて買った。 今日はマンガをざっと紹介したり、感想したり。 Spirit of Wander『Spirit of

マンガ体験記『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』

F先生の提唱するSF(すこしふしぎ)は、ルーツをたどれば、ロバート・シェクリィやフレドリック・ブラウンといった欧米作家によるショートショートの作風にもとめられるのでしょう。 SF短編を読みはじめる前のぼくの印象は、短いページで奇想天外なアイデアを紹介するような、そんなマンガを想像していた。 しかしその思いとは裏腹に、アイデアを超えて、人間の本質をつく巧みな展開に目をみはった。いくつかの短編は、信じられないほどよくできていると思う。 すべての作品を紹介すると膨大なものになっ

マンガ体験記『龍子』エルド吉水

最近ビビッときたマンガがあったので、みんなにも読んでもらいたく記事で共有。 〈出版事情〉フランスから日本へエルド吉水の『龍子』は、2010年に作者が自費出版したマンガで、その後2016年にフランスで出版、さらに逆輸入という形でリイド社のトーチWebが掲載、2023年、日本で出版が果たされたというやや特殊な漫画。 フランスからの逆輸入という形では、ジャンプ+の『リヴァイアサン』、ヤンマガの『虎鶫』など、AC メディア社の「キューン」なんか個人的に存在があって、東京に出版社が

マンガ体験記 『三日月よ、怪物と踊れ』 藤田和日郎

まずこの『黒博物館シリーズ』、現在『スプリンガルド』と『ゴーストアンドレディ』、そして本作『三日月よ、怪物と踊れ』が出てますが、藤田先生の最高傑作だと思ってます。少年サンデーにおける達成が『うしおととら』『からくりサーカス』なら、青年誌に書かれた漫画のなかでは、この『黒博物館』シリーズが最高傑作。 『月光条例』と『双亡亭壊すべし』に物足りなさを感じているところがあったのですが、この『黒博物館』こそ藤田和日郎の現在なのだと言いたい。 藤田先生の漫画はわかりやすさを心がけるあ

マンガ体験記『銃夢』『銃夢 Last Order』木城ゆきと

今回はようやくマンガについて語るぞ!  どういうフォーマットで書こうか悩んでいたのですが、ぶっつけ本番の探り探り。 記念すべきマンガ回第一作目は木城ゆきと先生の『銃夢』『銃夢 Last Order』初読レビュー。 サイバーパンク好きなので気になっていました。実写映画も悪くなかったし。 本編画像を掲載しますが、法律に則った引用を遵守します。 というか何か言われたら消します……。 著者について木城ゆきと先生は67年生まれで、世代的にはオタク第二世代なのではないかと思います。『