資料:3月30日衆議院消費者問題特別委員会「マルチ問題」文字起こし

”日本共産党の本村伸子議員は30日の衆院消費者問題特別委員会で、特定商取引法の問題を取り上げました。インターネット通販はクーリングオフ制度が使えず、マルチ取引被害では自死者が出るなど「法律に穴があることは明らかで、これ以上被害を出さないために抜本的な法改正が必要だ」と訴えました。”

30日の衆院消費者委、マルチ被害について大変興味深い質疑だったので文字起こししました。2021年に全国の消費生活センターに寄せられたマルチ取引に関する相談件数は約8000件。そのうちの約25%が家族など契約当事者以外からのご相談、とのこと。
残念だけれど、その多くは問題解決に至っていないと思うのだけれど。この答弁からは、その問題を消費者庁担当大臣は認識していないようすですね。

以下、文字起こしです。

 本村議員
「連鎖販売取引、マルチ取引の被害も深刻です。22歳の女性の方が大学の同級生とその知人から「月利6から8%、今しかない」など勧誘され、消費者金融から150万円借り、違法投資グループに投資をし、そして直後に不信感を抱いて、返金を求めましたけれど拒否をされ、奨学金の借金350万円もあり、追い詰められ、自ら命を絶つという事件がありました。このグループは新会員を集めると高配当を受け取れるという、マルチ商法の手口であったと報道されています。こういう連鎖販売取引、マルチ取引による悲しい事件を二度と起こさせないためにも、日本弁護士連合会の皆さま方から、疑わしいマルチは営業させないよう、国による登録など事前審査を求める声があります。こうした声にこたえて、マルチ取引、被害の防止対策を強化すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。」
 河野大臣
「いま委員からご指摘がありました痛ましい事件については、それはもう金融商品取引法違反事件でありますから、特定商取引法の規制以前として、こらは違法事案でございます。行ってはならないものでございます。まずそう申し上げた上で、特定商取引法に基づく連鎖販売取引に関しましては、消費者庁としても、最近SNSを悪用した勧誘、あるいは迷惑勧誘などを伴った行為を行った連鎖販売取引業者を処分するなど、法律に違反する事実がある場合は、法律に基き厳正に対処してきているところでございます。加えて特徴的な勧誘の手口を示して消費者に注意喚起を行うなど、引き続きこの連鎖販売取引による消費者被害の防止に努めてまいります。今、委員からご提供いただきました連鎖販売取引の登録制度でございますが、ひとつは登録ということになりますと、審査しなければなりませんのでかなりの行政コストがかかります。行政コストとその効果が見合うのか若干疑問でございます。またこの、登録を認めるとですね、登録に伴って国が特定の連鎖販売業者に事実上のお墨付きを与えることになるんではないか、つまり、「国の登録を受けたマルチです」みたいなことになるのがある面わかりきっているといえばわかりきっておりますので、連鎖販売取引に関してあまりいい案ではないんではないのかなぁと思っております。規制は普段の見直しを行うべき、でありますから、消費者庁としては引き続き被害者の状況などを注視しながら、適切に対応すべきところはやってまいりたいという風に思っているところでございます。」
 本村議員
「マルチ取引の会員のご親族の方々からも、家庭崩壊などの被害の声が寄せられております。マルチ取引会員のご親族から、いろいろ、会員の方が洗脳されて、忠告に耳を傾けてもらえないですとか、借金の問題ですとか、そういう被害がございます。親族のみなさまから、相談に対する公的な専用の窓口を設置をして、実態把握、相談を行っていく必要があると考えますけれど、見解をうかがいたいと思います。」
 河野大臣
「マルチ取引に関して、ご家族が心配されている、あるいは影響が出ているというのは、そうしたことが問題になっているのはよく承知をしているところでございますが、全国の消費生活センターで専門知識を持った相談員が相談の対応をしているところでございまして。今おそらくですね一番マルチ取引に関して詳しいのは、その全国の消費生活センターの相談員さんなんだと思うんです。ですから、公的な専用窓口を設置をといってもですね、地域地域の消費生活相談員さんを差し置いて、他の専用窓口を作ってもあんまり専門性が高まるという風には思えないですね。国民生活センターによりますと、マルチ取引について2021年でございますが、約8000件の消費生活相談が寄せられておりまして、そのうちの約25%が家族など契約当事者以外からの相談になっております。ですから消費者庁として、委員がおっしゃるように家族がまず、より簡単に相談をできるようにするように消費者ホットライン「188」この「188」の周知に努めてですね、各地の消費生活センターにおける丁寧な相談対応ができるように相談センターに繋げられるように、そこをまずしっかりやりながら、消費生活相談の充実強化を図っていきたいという風に思っているところでございます。」
 本村議員
「PIO-NETの情報にはマルチ商法のですね、ご相談がたくさんあるわけです。先ほど件数も大臣からご答弁ありましたけれども、そのご相談をしっかりと分析をして、どうやったら未然に防ぐことができるのかと、ぜひ分析をして政策に活かしていただきたいと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。」
 河野大臣
「特定商取引法につきまして、昭和51年に制定されました。それ以来この悪質商法あるいは消費者被害の動向を注視しながらこれまで随時の改正を重ねて強化されてきた法律でございます。最近では令和3年に法改正をいたしまして、送り付け商法というようなものについては令和3年に施行し、詐欺的な定期購入商法については、昨年施行されたところでございます。規制に関しては不断の見直しを行うべきというふうに思っておりまして、消費者庁としては引き続き、悪質商法、消費者被害、この状況を注視していきたいと思っておりまして、関係者と広く意見交換、情報収集をしていきたいと思っております。特に最近は専門誌の記者さんたちが深く広範囲に情報を集めて、消費者庁にも様々な形で情報共有をしてくださっていたりということもございますので、消費者庁としてもしっかり検討、対応してまいりたいというふうに思っております。」
 本村議員
「特商法の抜本的改正を求める全国連絡会という皆さま方も、今、国会議員に向けてさまざま情報提供をしていただいたり、ご要請をされているわけでございます。名だたる消費者団体の皆さんが入っている連絡会の皆さんが、特商法の抜本的改正が必要なんだとおっしゃっているわけですから、法律に穴があるということは明らかでございまして。やはり被害者の方々を救済するためにも、被害を出さないためにも、さらなる特商法のですね改正が必要だと考えております。一刻も早く議論を深めるためにも、検討会するべきだと考えますけれども大臣いかがでしょうか。」
 河野大臣
「先ほど申し上げましたようにこの法律、令和3年に改正をしておりまして、令和3年に施行したものもあれば去年施行された部分というのがございます。それから今年の6月1日から施行される部分もあると承知しておりますので、まずこれまで改正された部分をその効果をみなければいかんと思っておりますが、その間なにもしないというわけではなくて先ほど申し上げたように様々な情報を集めるということは消費者庁もやっておりますし、消費者団体あるいは消費者関係の専門誌、いろんな方からの情報提供をいただいているところでございますので、そうした情報をしっかり分析しながらしかるべく対応を考えてまいりたいと思っております。」
 元村議員
「ぜひ議事録の残る形でですね、検討会を早急に開いていただきたいということを強く求めて質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。」

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=54479&media_type=