髪の毛の色


私は現在、とある薬局の事務員をしている。
紆余曲折あってフリーター期間からそろそろもう一回ちゃんと就職しないとな、と思って1月に転職した。もうすぐ1年が経つ。

転職する前、前職を辞めてすぐ、私は髪の毛を染めた。前職に勤めていた時から唐突に髪の色を明るくしたくなって、毛先とかインナーカラーを赤とか青とか紫とかにしていた。接客業で人前には立つが、帽子に髪の毛を仕舞うのでバレないしいいだろうとこっそり染めていた。辞めてすぐにブリーチして金髪にした。
色々な都合があってすぐに髪の色を戻したけど、今でもやっぱり明るくしたいなぁと思ってしまう。ピンク色や銀髪にできなかったことは正直今でも心残りである。

髪の色をバンバン変えていた時からずっと同じ美容師さんに担当してもらっている。たまたまホットペッパーで見つけた美容院で出会った。私は人見知りなので美容師さんとの会話に毎回困ってしまう。愛想と人当たりは良いので話しかけられれば適当に答えるが疲れるなぁと思っていたし、根が陰キャでオタクなので人間として当たり前な世間話がうまくできない。ただカラーを上手くいれてくれるし行きやすいからという理由でその美容室自体には何度か足を運んでいた。3度目くらいにその今担当してもらってる美容師さんに会って、いまいち具体的に覚えていないが話をしながらめちゃくちゃ笑ってしまったのは覚えている。勝手にフィーリングが合うなぁと思ってしまったのでそれから毎回その人に担当してもらって、何度目かで予約がしやすいからと連絡先を交換して、現在自分のお店を持つことになったからとそのままお店も変えて現在もお願いしている。多分もう3~4年くらいにはなるだろう。彼は今通勤中にradikoでラジオをよく聴いているらしく、先日美容院に行った際にかまいたちのヘイタクシーの話をした。フィーリングが合うなぁと思った数年前の自分に間違いがなかったと思った瞬間である。予約のLINEを入れるとかまタクのスタンプで返してくるので「めっちゃファンやないか」と1人でLINEに向けて突っ込む変な人になってしまった。彼曰く、山内さんの刈り上げを刈り上げてみたいらしい。髪の毛切らせてくださいとメールを送ろうかなと少し話していたが、ラジオだと様子が分かりづらいから送れないとも話していた。何かの奇跡でこの記事が関係者の目に入ったりしないだろうか。無理だな。話が逸れすぎた。


髪を染める時、どうしてもこの色にしたいという思いがなければなんとなーく相談しながら決めている。今はこんな仕事だからあんまり明るくできないんですよねー、と言うとじゃあこの辺にしましょうかと割とギリギリを攻めた明るさを選んでくるのでちょっとドキドキしながらそうしましょうと言っている。先日は攻めすぎて上司に怒られてしまった。

そうして髪にぺたぺた染色剤を塗られている時にこんな話をした。

「自分達の世代がもっと年寄りになったら、髪の色とか自由になったりしませんかね」

本当にそうだなぁと思った。
どこか刷り込みのようにこういう仕事をしている人の髪の毛は暗くなければいけないと思っている。よく言われるTPOと言うやつだ。TPOとか言えばそうしなくちゃいけないと思ってしまうし、皆がそうならそうしなければいけないと思ってしまう。
しかし私個人の考えとしては他人の髪の毛の色が何色だってどうでも良い。役所の人の髪の色が金髪だろうが赤髪だろうがちゃんと仕事をしてくれればどうでも良いし、交番のお巡りさんがえげつない剃り込みをしていようが助けてくれたり話を聞いてくれるならなんだって良いと思う。

ちゃんとした人かそうじゃない人かという判断基準としてTPOを守れるか、というのがあるのは分かる。周囲の輪を乱さない。今ここで自分に何が求められているのか。とか色々。
個性を求めると宣いながら没個性に徹しさせる矛盾しかない社会なので、仕方ないよなぁと思いながら低賃金で馬車馬の如く働く日々であるのだが。

この根本の価値観は世代が変われば変わるのだろうか。
金髪とかピンクとか赤とか青とか紫とかに髪の毛を染めて左手にタピオカを持ち右手に持ったスマホでインスタ用に自撮りをしている自分達以下下の世代も歳を取って社会に揉まれて絞り尽くされてしまったら上記の社会のルールを若者に強いるようになってしまうのだろうか。
美容師さんと話しながらなんとなくそんな事を考えてしまった。


私は基本的に他者のことはどうでも良いと思っているのだが、
世界や世間の大多数は他者が自身の価値観に伴って動いていないとどうしようもなく腹が立つのだなぁと思った。









私はど田舎の出身なのだが、田舎のヤンキーというのは総じて優しいものだという持論がある。
私が豆粒の用に小さい子供だった時に家の種蒔きや田植えをする時には手伝いに来ていた近所の金髪のにーちゃんがとっても優しいにーちゃんだったので、私が髪の色に大してどうでも良いという考えを抱いたり人は見た目じゃないのになぁと思うのも結局は刷り込みや自身の価値観であると言われればそうなのであるのだが。

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