第70回 環境計量士(濃度関係)試験 過去問解説【環化 問11~15】

【環化】の問11~問15の解説です。
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試験概要

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問11

遷移金属の錯イオン(ア)~(エ)について、下線部(ここでは太字にしてます)の原子の酸化数の大きい順として、正しいものを15の中から一つ選べ。

(ア)[CrO₄]²⁻ (イ)[Fe(CO)₄]²⁻ (ウ)[NiBr₄]²⁻ (エ)[Cu(CN)₃]²⁻

1 (ア)>(イ)>(ウ)>(エ)
2 (ア)>(ウ)>(エ)>(イ)
3 (ア)>(イ)>(エ)>(ウ)
4 (イ)>(ア)>(ウ)>(エ)
5 (イ)>(ア)>(エ)>(ウ)

(解説)
錯イオン(または錯体)は遷移金属と、配位子と呼ばれる化合物からなる物質です。一般的には、金属イオンに対し、配位子が一方的に電子を提供して結合します(配位結合)。そのため、配位子の酸化数は0以下、金属イオンの酸化数は0以上の値を取ることが多いです。
配位子の酸化数は決まっているので、下記のような良く出るものはしっかり覚えておきましょう。

H₂O 酸化数0
NH₃ 酸化数0
CO 酸化数0
Cl⁻ 酸化数-1
Br⁻ 酸化数-1
I⁻ 酸化数-1
CN⁻ 酸化数1
OH⁻ 酸化数-1
O²⁻ 酸化数-2

あとは、(金属の酸化数)+(配位子の酸化数)=(錯イオンの酸化数)となるように、金属の酸化数を求めるだけです。

(ア)[CrO₄]²⁻
(Crの酸化数)+(Oの酸化数「-2」×4個)=(錯イオン‐2)より、Crの酸化数は+6です。

(イ)[Fe(CO)₄]²⁻
(Feの酸化数)+(COの酸化数「0」×4個)=(錯イオン‐2)より、Feの酸化数は-2です。

(ウ)[NiBr₄]²⁻
(Niの酸化数)+(Brの酸化数「-1」×4個)=(錯イオン‐2)より、Niの酸化数は+2です。

(エ)[Cu(CN)₃]²⁻
(Cuの酸化数)+(CNの酸化数「-1」×3個)=(錯イオン‐2)より、Cuの酸化数は+1です。

大きい順に並べると、(ア)>(ウ)>(エ)>(イ)となります。よって正解は2

(イ)の鉄イオンがマイナスになるというのは違和感がありますが、この錯イオンはテトラカルボニル鉄(-Ⅱ)イオンというもので、金属の酸化数がマイナスになる特殊なものです。

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文字数制限のある市販の問題集よりも詳しい解説を心掛けています。

令和元年12月に行われた第70回環境計量士試験の【環化】全25問を解説していきます。 ほかの科目については別マガジンにて、準備ができ次第公…

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