第70回 環境計量士(濃度関係)試験 過去問解説【環化 問21~25】

【環化】の問21~問25の解説です。
なお、解説文は著者の見解であり、経済産業省公式のものではないことを予めご了承ください。
問題文と選択肢の著作権は経済産業省に帰属します。
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/23_kakomon.html
また、解説文の著作権は著者が保有しており、著作権法を含む各種の法律によって保護されています。私的使用や引用など、著作権法を含む各種の法律上で認められている場合を除いて、著作権者の許諾なしに、これらの著作物を転載・複製・印刷・配布・放送・公衆送信・翻訳・販売・貸与などを行なうことはできません。

試験概要

出題傾向・おすすめの勉強方法は私のブログで紹介しています。
https://www.syoboi-rikei.info/entry/2020/02/22/213904

問21

元素の性質とその関係性に関する次の記述の中から、正しいものを一つ選べ。

1 基底状態にある原子から電子を取り去って無限に遠ざけるために必要なエネルギーを電子親和力という。
2 同じ族に属する炭素(₆C)とけい素(₁₄Si)の第1イオン化エネルギーを比較すると、けい素のほうが小さい。
3 同じ族に属する酸素(₈O)と硫黄(₁₆S)の電気陰性度を比較すると、硫黄のほうが大きい。
4 アルゴンを除く第3周期の元素の原子半径は、原子番号の大きい元素ほど大きい。
5 窒素(N)の原子半径は、その陰イオン(N³⁻)のイオン半径よりも大きい。

(解説)
1 誤り。
「電子親和力」とは、ある原子(または分子)に電子を1つ与えたときに放出されるエネルギーのことです。電子を取り去るために必要なエネルギーは「イオン化エネルギー」です。
電子」に対する「親和力」なので、フリーの電子を近づけた際にどれだけ与えやすいか、というイメージで覚えるといいかと思います。
なお、希ガスのように最外殻電子が埋まっている状態が最も安定な状態なので、あと1個電子があれば安定になれるハロゲン原子(フッ素、塩素など)は電子親和力は大きくなります。
逆に希ガスは最外殻電子がすでに埋まっているので、電子親和力はほぼ0となります。

2 正しい。
「第1イオン化エネルギー」は電子を1つ取り去るために必要なエネルギーです。電子親和力と逆の発想で、電子を1つ失うことで安定な希ガスと同じ電子配置になることのできる、1族元素(アルカリ金属類)であれば、第一イオン化エネルギーは少なくて済みます。

本問では同族元素の比較ですが、この場合は原子番号の大きいものほどイオン化エネルギーは小さくなります。
原子の周りに存在する電子はマイナスの電荷を帯びており、原子核内のプラス電荷を帯びた陽子によって捕捉されています。
第一イオン化エネルギーを考えるとき、取り去られる電子はもっとも捕捉の弱い最外殻に存在する電子ですが、炭素(₆C)の最外殻電子はM殻、けい素(₁₄Si)の最外殻電子はL殻です。
中心から遠く離れたL殻のほうが陽子による捕捉が弱いため、けい素の方が第1イオン化エネルギーが小さくなるというわけです。

ここから先は

3,302字 / 6画像
文字数制限のある市販の問題集よりも詳しい解説を心掛けています。

令和元年12月に行われた第70回環境計量士試験の【環化】全25問を解説していきます。 ほかの科目については別マガジンにて、準備ができ次第公…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?