クリスマスに 思う事

クリスマスは、嫌いです。


私は、中学卒業後 学校(高専)のあった福島県のいわき市に引っ越し暮らし始めました。
最初は、寮。その後 弟と二人で 暮らすことになりました。
弟を養うため 生きるために さまざまなことをしました。
文字通り 餓死の現実を身に感じながら、夕餉のともしびをうらやましく思い、街角の
果物屋さんの山に積まれた果物をいつか食べることができる時が来る日を夢見て、生きていました。
クリスマスは、苦手でした。
華やいだ食に満ちた街。その中を...
家庭教師でいただいたパンを抱いて、弟の待つ傾いた郊外のアパートに小走りで帰る。
おなかの中で 腹いっぱいに飲んだ水が 揺れて、澄んだ音を立てる。
生きていることが もっとも苦い気持ちにさせるのが 毎年やってくるクリスマスでした。
東京に出て、自分以上の厳しい境遇の人たちが、たくさんいることを知りました。
そして今も、たくさんの子供たちが、このクリスマスの歌を耳をふさいで 過ごしているはずです。

10代後半に 誓ったこと。
遠くに 揺れる蛍日のような夕餉のともしびを見つめながら、黒くうねって流れる河の上のコンクリートの橋にもたれながら、誓いました。
強くなる。絶対に生き延びる。
自分と同じような人間を助けることのできる力を身に着ける。

クリスマスが来ると、いつも思うのです。
まだ、自分は何もしていない。何もできていない。
事業の成功の先にある自分の責務を 幻にしないために
本当の夢をかなえるために
もうしばらく 生かせていただこうと。

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