天木翔の詩(うた) 1/4
17才・冬
眠ることは、死ぬことだと
その時 あなたは、言った。
街を彩る果物屋の店先を
憎悪を込めて通り過ぎ、
クリスマスの季節に耳を塞いで過ごす。
飯場の仮小屋の煙にむせて
うどんを飲み込み
思考を停止して、アスファルトを敷く。
夕げの灯が切なくて、
橋の欄干にたたずみ、
黒く光る河を見る。
空腹で目がかすみ、
すべてを忘れて眠りたい。
その時 あなたは、言った。
眠ることは 死ぬことだと。
考えることをやめたら、
今を見つめることをやめたら、
おまえに 何が 残っているのかと。
人は、いつか必ず、
耳を塞ぎ、
眠ってしまいたくなるような季節(とき)が、
やってくる。その時にまた、
あなたの声を思いだそう。
眠ることは、死ぬことだと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?