思い出 答辞

卒業式の答辞
学生会長の僕が、話すために 壇上に上がる。
大きなどよめき、会場がざわめく。仕方ない。
僕の学生服は 上も下も ぼろぼろさ。5年間一着だもの。
髪は 思い出せない。下着も上下とも 落下しないのが不思議なくらい原形をとどめていなかった。
5年間、手洗いの結果。
恥だとは おもていなかったよ。
良く生き抜いたと言う思いで壇上にいたかな。
当時、学生運動の末期。
それなりに 羽ばたいた事言ったのだと思う。

それと これから 東京に行くんだと言う緊張感があった。
全く 社会を知らない男。5年間、その閉ざされた小さな地域で、
只生き抜く事しか知らない20歳の文字通り世間知らずの男。

東京は 恐怖、戦いの場だった。

布団をもらった。うれしかった。

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