弱音

弱音を吐いてはいけない。そう思ったのはいつからだったか。

「常に強くあれ」
「人に弱い部分はみせるもんじゃない」

いつしかそんな言葉が頭から離れなくなっていた。

悲観的な言葉を吐けば周りの空気がよどむのが目に見えた。悲観主義の少年は言葉が漏れないよう丁寧に丁寧に心にふたをする。

傷つかないように。誰も傷つけないように。

でもときどき言葉が漏れて人を傷つけてしまう。そのたびに少年悲観的になる。自分の存在を消してしまいたくなる。

誰のために傷ついているのか。誰のために傷つけているのか。

きっと保身のため。自分が傷つくのが怖くて自分を傷つける。

矛盾だろうか。一般的にみたらそうだろう。

ただ少年にとって、自分が傷つくことよりも人が傷つくことが怖かった。

そんな少年は青年になった。心にふたをしたまま。

青年は苦しみ続ける、悩み続ける。

いつか救われるときは来るのだろうか。

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