冥土ノ土産

ボカロP様、日頃から応援して頂いている皆様、ありがとうございます。

2016年6(ロック)月22(ジジィ)日にワーナーミュージックジャパンより
アルバム「冥土ノ土産」をリリースさせて頂くことになりました。

みなさんのお陰としか言いようがありません。
本当にありがとうございます。

今までにもこういったオファーは何度かありましたが、失礼ながらその度にお断りさせて頂いておりました。
CDリリースを目標に歌ってみたを始めたわけではなかったのもありますし
ブリキノダンスを歌った動画がとても伸びているのを見た企業様が勘違いされていると思ったからです。

コメント等を見る限り、私にはCDリリースを望まない声も多くあり
動画での数字がいくら増えてもそれは売上枚数に直結しない、少なくとも他の歌い手様と比較して売上を予想するのは危ない、といった話をさせて頂きました。

大抵の方がそこで理解してくださいましたが、それでも何度も連絡くださったのがワーナーの方で
私が何を言っても「大丈夫です。島爺さんのお好きなようにやって頂いて構いませんので。」という姿勢を崩していただけませんでした。

いつも通り断るつもりでしたが、何度かメールのやり取りをする内に色々考えるようになりました。

1
私は以前バンド活動をしており(今はしておりません)、メジャーでCDをリリースすること、というのが目標の1つでした。
相当な時間を音楽に捧げながらも、よくある話ではありますが、挫折しました。
その夢が(少々形は違いますが)今なら叶うのか、という思いがまずありました。

2
現在、ニコニコ動画でたくさん聴いてもらえている状況でも私の両親はとても喜んでくれているのですが
ワーナーのような大企業からCDがリリースされるとなったらもっと嬉しいのでしょうし
これも親孝行になるのかな、という思いもありました。

3
企業様からリリースのお誘いを受けるほどにニコニコ動画内で知名度を上げられたのは
私の歌唱云々よりも活動スタンスが、いわゆる「昔ながらの歌い手」に近い形として認識され、好まれ
当時、界隈で燻っていた「アンチアイドル歌い手」のような空気の中でカウンター的な存在として扱われたから、といった部分が大きいのだろうと私自身は分析しています。

要するに「歌」以外の部分で評価されているのだろう、と。
その所為か他の歌い手様を貶すようなコメント等も見かけるようになり、どうしたものかと悩んでおりました。

周りからどのように見えているのか分かりませんが、私自身は歌い手にせよボカロPにせよ「こうあるべき」といった縛りをつけるべきでは無いと考えています。
お金稼ぎであろうが、出会い目的であろうが、完全プロ志向であろうが、完全趣味志向であろうが
たくさんの人間が集まらない限りイレギュラーな面白い存在は出て来ないと思っているからです。
もちろん犯罪などは論外ですのでその都度糾弾すべきですが、可能な限り間口は広げた方が良いと考えます。

今まで通りの活動スタンスを続けている限り、上記の私の考えを、私を応援してくれているリスナーさんが否定している形が続くというジレンマを常々感じておりました。

若干のジレンマを抱えつつも今まで通り活動を続ければ、たくさんの人に聴いてもらえる。
一方、リリースすればそういった価値観のリスナーさんは離れていったりアンチになったりするにせよ
純粋に私の歌を好んで聴いてくれている方のみが応援してくれるのかもしれない。

どちらを選ぼうか、という迷いもありました。


4
将来ボイストレーニングやボーカルディレクション等を含めた教室のようなものを開けたらいいなと思っており、目下勉強中なのですが
もしそれが実現できたとしたら、メジャーでCDリリースという経験により教えられることの幅が広がるかもしれない
という思いもありました。


5
以前このブログに「ライブ予定はありません。家庭の事情等ありまして、そういった活動はおそらくできません」と書きました。
ワーナーさんとの話で一番大きかったのはここかもしれません。

CDリリースは決定していますが、その後にライブ等のいわゆるアーティスト活動は決まっておりません。
リリースイベントとして日帰りバスツアーは決まっていますが、この1日のみです。

(「インストアライブかトークショー的なものをしてくれ」とお願いされたのを
「『演者』と『客』できっちり分かれた状態でやるのは性に合わない。
少ない人数でどこかへ行って遊んで、最後にアンプラグドな弾き語りで終わる、というのはどうか」
と提案したところ、それがほぼそのまま通ってしまった形です。
まさか通るとは思っていませんでしたが、面白いので当日は全力で楽しもうと思います。)

また「家庭の事情」の一部であった認知症の祖父(私のことではなく、リアル祖父)が亡くなったため
以前よりは生活に余裕ができたのも関係なくは無いです。


6
私自身にミキシングまでを任せてもらえるとのことで、「歌とミキシング、どちらも認めてもらえた」という喜びと
「大好きな曲のパラ音源(mix前の楽器毎のファイル)を聴ける!」という喜びがありました。
CDがリリースできることよりもパラ音源からいじらせてもらえることの方が正直嬉しかったような気もします。


CDを作るにしてもテーマが無いなぁ…と考えていた時「冥土の土産」というタイトルを思いつきました。
爺が使いそうな言葉だから、という理由ももちろんあるのですが
3で書いたように、リリースすることでリスナーさんがいなくなったとしても「これが作れたんだから悔いは無い」と思えるような作品にしよう、という意味です。

上の1~6までを念頭に置きつつ、このタイトルを思いついたことが決定打となり
CD化の話をお受けしようと決心いたしました。

以上が「オファーがあってから決断までに考えたこと」です。


タイトルが決まってからは収録曲等、割とすんなり決まったように記憶しています。

当初、書き下ろし曲はどなたにもお願いしないつもりでしたが
ナナホシ管弦楽団様にはこれまでの活動の経緯上、頼むべきだと思い、無理を言って作っていただきました。

結果送られてきたのが先日投稿した「OVERRIDE」で、初めて聴いた時点で想像以上の出来に笑ってしまいました。

無駄を削ぎ落とし、私の歌がよく映えるようなアレンジにしてくださっていました。
歌詞も私のことをちゃんと考えて書いてくれているのが理解でき、とんでもないテンションの上がりようだったのを覚えています。
全部お任せしようと思い余計な注文をせず、「速いのを」としか言わなかったのに
全て分かって頂けていたようでただただ嬉しかったです。

タイトルの「OVERRIDE」も「命令を無視する」とか「くつがえす」「無効にする」という意味で
「誰が何と言おうと自分の信じる道を進んでいく」といった力強さを感じるので好きな単語です。

(先日のニコ生が終わった後に気づいたんですが
その「OVERRIDE」がちょうど投稿82作目だったようで本当に驚きました。
偶然にしては出来すぎてる気がしますが、狙ってやったことではありません。)



収録を許諾して頂けた作者様、アーティスト様、事務所の方々、本当にありがとうございます。
おかげさまで満足できる作品ができそうです。

CD化を望んでいなかったリスナーさんには申し訳ないと思っています。
意に沿えず、すみません。

やりたいようにやったお陰で人が集まってきてくれたのだから
やりたいようにやった所為で人が離れていくのも道理かもしれないと、今は思います。

今まで支えていただきありがとうございます。

CD化を望んでいた方、喜んでくれてありがとうございます。
しかし、今後は動画が荒れるだろうと思います。申し訳ありません。

歌唱のみで人を惹きつけられるよう、もっと精進いたします。


「ブレない爺さんが好きです」と言われても、振り返ってみればずっとブレ続けてきたようにも思いますし
「媚びない選曲が好きです」と言われても、「媚びない選曲が好きな人たち」に媚びているような気もしていました。

「思うがままに生きるというのは難しいことだ」と勉強させて頂いた4年半でした。
今後ものんびりマイペースに勉強させていただきます。
よろしくお願い致します。

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