我死にたまふことなかれ
社会人になって始めて体調を崩した。
彼女と阿佐ヶ谷の街並みをブラブラして、その後新宿で大好きな友人と食事をして、
最高で最高な最高すぎる休日の最後に頭痛と吐き気とだるさに襲われたのだから笑ってしまう。
おそらく原因は抹茶ラテだ。
あんなに飲んだ時は美味しかったのに、緑色の泥が体内からきれいに吐き出されていくのを見て、それは体調も悪くなるわと思った。
抹茶ラテに罪はないけれど、もうしばらく飲むことはないだろう。
さて、こんなことをダラダラ書きたいわけではない。
トイレに一晩中こもって緑色の泥を吐きながら、思ったのだ。
まだまだ死にたくないと。
絶対に死にたくないのだ。
塾のアルバイトを卒業して、みんなから色紙や手紙をもらったあの日。
もし不慮の事故にあって死んでたとしても、俺はたぶん満たされてた。
高校で不遇な時間を過ごした少年が、青年になって、同じようなそれぞれ葛藤を抱えた中高生に向き合い、充実した時間を過ごしました。めでたしめでたし。
なんとスッキリしたストーリーだろうか。
それでもエンドロールは流れることなく人生は続いて、渋谷のサラリーマンごっこを今では器用にこなしてやがる。
23年間生きてきて、出会えてよかったと心から言える人にたくさん出会ってきた。
一緒にいて「好き」の一言では言い表せない感情で自分を包み込んでくれる彼女ができた。
けれど。それでもこの23年間でエンドロールを流すわけにはいかないと今では思えるのだ。
全然満足することなんてできない自分がいることを嬉しく思うのだ。
おじいさんおばあさんになっても連絡を取り続けたい人がいる。
まだ見ていない遠くの景色を見に行きたいと思う自分がいる。
1人ではなく、彼女という他者の横にいたいと思う。
毎日20回くらい自分の人生にあきらめてるけど、そんなん関係なく、満たされてなんかいない今の自分がいる。
俺たちのターンだ。俺たちの時代だ。
まだまだ死ぬわけにはいかない。
何かを成し遂げた後は清々しく散ってやんよ。
そんな大言壮語を吐きながらも、
まだまだ体調が回復してない自分に対して、
疲れたと自分に正直になれてる自分を褒めながら、
横になる。
緑の泥も、大言壮語も、吐き続けてやる。バカ野郎。
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