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風花によせて

’70年代フォーク・ニューミュージックの鉄板曲でも全然そうでない曲でも、今でもなお心の片隅に息づいていて、ひょんな時に出て来るあの歌この歌をもう一度思い返して聴いています(そんなコーナーだっけ?)の続き。

その⑤「風花によせて」
山本コウタロー作詞 森一美作曲
    歌 ウイークエンド
(LP「DAY&NIGHTいつも君のことを」)


先日の金曜日の朝、
お天気がとてもいいのに細かい雪の粒が舞い、ゴミ出しに行く道を歩くと少しカリカリした。これってもしや、風花(かざはな)…?

あとからお客さんが「今朝、何十年ぶりかで風花を見ましたよ~」と言うので「やっぱり!そうでしたよね~」と盛りあがって、密かに感動していた。

風花を知っているそのおねえさんは北関東出身かしらん?
と、ふと思う。
私の勝手な風花のイメージは北関東、群馬とか栃木なのだ。

風花という言葉を初めて知ったのが「風花によせて」という歌の題名からだった高校生の時に、ラジオから流れたその言葉があまりに美しく聞こえて思わずノートにメモしてしまったことがある。
それはウイークエンドのコウタローさんでも板さんでもないメンバー、森一美さんがピアノを弾きながら歌っていた。一美さんは一度聴いた曲はすぐピアノで弾けるという人で、当時の私はピアノを自由自在に弾きこなせる人にすごく憧れていたので(谷山浩子さんのことも然り)それだけで森一美さんが好きだった。
そして、その一美さんが宇都宮出身ということもあり「風花によせて」は漠然と栃木あたりのイメージがしていた、ただそれだけのことである。

その10年後くらいに私はひょんなことから埼玉の北東部に移り住んで、冬になると北からは赤城おろし、東からは筑波おろしが吹きまくる、何気にここも「からっ風地帯」だと知った。
でも、まわりに風花の話をする風流な?人がいなくて(ていうか吹くのは強烈な北東風ばかりで冬はみんなウンザリしてる)実際に冬のお天気の良い日に雪が舞うこともなかったから(気がつかなかっただけかもしれないけど、多分冬は強風に煽られてる記憶しかない)、あれは歌の世界なのか…と。
いつの間にか歌のことも忘れていた。

それが先日のほんの数分だったけど朝日の中を細かい雪粒がきらきらと舞っているのを見て、すぐに思い出した。そしてSpotifyですぐに聴ける今は便利。
念の為、あとでLPも出してみたら、
歌詞の中に、当時は気にもとめなかった思川(おもいがわ)という川の名前が出て来るのをみつけた。JR両毛線の駅名にもある思川は、利根川の支流で栃木県を流れている。
この歌の舞台はここだったんですね、今頃になって気がついた。
やっぱり風花=栃木県というイメージは合っていた…。

両毛線といえば「秒速5センチメートル」の岩舟もあるし(アニメでは物凄く豪雪地帯に描かれてしまってるけど…笑)なかなかにイメージがふくらむ沿線だと思う。
私は一度しか乗ったことがないし、私の勝手なイメージだけれど。

「風花によせて」を知ってから40数年たって、やっと歌のルーツが見えて来た気がする。作詩は山本コウタローさんだしどんな背景があるのかはわからないけど、歌は聴いた人の中で気づきがあって勝手に育って行くものなのかもしれない。私も育った。

何十年もたって、自分が今その場所の少し近くに住んでいるということも素敵な偶然だなぁ。