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スプーンとカップを持って旅に出る

’70年代フォーク・ニューミュージックの鉄板曲(あくまでも個人差はあります)からの、当時の思い出というにはどうでも良すぎる話を独断と偏見で美化して?(笑)語ります。

その③「ケンとメリー愛と風のように」
作詞・山中光弘、高橋信之
作曲・高橋信之
歌・BUZZ(バズ)


旅支度がスプーンとカップだけだって、
歯ブラシとか着替えは?

中学生の頃、車のCMを見てそういうツッコミをしながらも、フラッと旅に出るその風景にあこがれたのは、
たぶんこの「歌」のせい。

見なれた時計を部屋に残し 
今が通りすぎて行く前に 
道の向こうに出かけよう...

ここがまたいい。
こんな気ままな旅がしてみたい。


そう思ったこのCMは、私が高校生になってもまだ続いていて、映像が何パターンもあった。
海岸から流木を拾って来て砂の上をズルズルと引きずって車に乗せるのとか、
草原で、気をつけをして斜めになってカメラに収まるシーンとか(わかる人にはわかる?)好きだった。
あの、気をつけをしたまま体を斜めに傾けるポーズは友達と写真を撮る時に流行ったような気がするけど、ただの夢だったかしらん。

本当に、とにかく別の世界というか、夢の世界みたいな映像だった。
今思うと絶対にあれはメルヘン。

でも、決して笑うところでもツッコむところでもなくて、
昔、映画「小さな恋のメロディー」が初めて?日曜洋画劇場で放送された時に解説の淀川長治さんが、
お花畑をトロッコで二人が行くラストシーンを、
『これはメルヘンなんですねぇ』
と言ったのと同じような感覚かもしれない。
今、私が勝手にそう思った。

そして、綺麗な景色の中でモデルさん達が美しく絵になってた、あの映像がもし無かったとしても、
この歌からの空想は一人歩きをして、自分の中だけの気ままな旅を心に描いていたと思う。
べつに愛のスカイラインが無くたってだ。

私は、ここ数十年の間でも旅行に行くことは滅多に無いけど、
たまに乗った電車がたまたまボックスシートだったり、久々の場所や初めての街を歩いたりすると、それだけでもう旅の途中の気分になる(時々、時空の旅にも)。
ふとこの歌を思い出して、バッグの中にはスプーンとカップが入ってるつもりで。

ところで、このCMの後期には、オフコースがこの歌を歌っていたことを最近知りました。

そういえば昔、チンペイさん(谷村新司)のセイヤングにBUZZが出た時、
「テレビで色んなCMソングを聴いて、BUZZとオフコースのどっちが歌ってるか当てっこをしている」とチンペイさんが言っていた。
その頃はCMの画面に歌ってる人の名前が出なかったので、BGMが誰なのかあまり知られないことが多かった。
当時、オフコースとBUZZは人知れずたくさんのCMソングを歌っていたらしい。

当時の音源でオフコースとBUZZのCMソング集なんてあったらいいのになぁ。