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そしてミコちゃんはナルミさん

N銀村の友達の話、番外編。
5年生のクラス替えで仲良くなったミコちゃんとの思い出。彼女とは中学生になって学校が違っても少しの間つき合いがつづいてた数少ない友達の1人。
独り思い出し大会絶賛開催中でダラダラと長いので、適当に読み飛ばして下さい。

昭和45年頃、武田京子さんという漫画家の「誰もわかってくれない」という作品が『りぼん』で連載された。

小学6年の貧しくても底抜けにあっけらかんな性格の少女ジュンが、盲目の弟に聴かせてあげようとステレオも無いのにレコードを万引してしまうところから物語は展開し、

それを意地悪な学級委員の五味さん(母親が教育評論家で仕事に忙しく本当は淋しい)が目撃したことでジュンは学校中から不良のレッテルを貼られてしまう。

そんなところへ、何も知らず転校して来た裕福な家のナルミは、ジュンと友達になろうとするが、五味さんに弱みを握られ脅迫されてしまい五味さんの友達になる。

このあと更に色々事件があり、ジュンが本物の不良仲間に入ったり、五味さんまでも巻き込まれたりと、話せば長いとてもドラマチックなストーリーなのだけれど、

今では単行本も手放してしまい、細かい場面が思い出せない所があってとても残念。
元々持ってたものをネットで高値で買うのも悔しいし。
気長に待てばそのうち古書店に出てたりするかしらん。読みたい。


実は私は当時この漫画にハマってしまい、小5で不良少女に憧れた。
と言っても別に不良を目指したわけではなくて、
小6の主人公ジュンが、拾った玉でパチンコをして取った「チョコバー」をもぐもぐ齧りながら歩くところや、手提げかばんを肩に担ぐ持ち方とか、そういう細かい所作にワケもなく惹かれた。

そしてジュンを真似をして(パチンコはしないけど)夜、塾帰りにチョコバーを買って食べながら、かばんは肩に担いでちょっとイキがって(るつもりで)歩いたらすごくいい気分だった、という程度だ。

もちろん、ジュンの純粋で屈託のない性格がとても魅力的だったし、物語は素晴らしいハッピーエンドで幕を閉じるので、私は不良にはならなかったし、
この作品は「りぼん」史上に残る名作だと今でも思っている。

と、ここまでが前置きです。
長い。


さてミコちゃんは、4年生の頃に兵庫県から転校して来て、5年で同じクラスになったマンガ友達だ。
私の「ファイト!!バレー」というスポ根マンガはこの人が描いていたバレーボールマンガのタイトルをそのまま引き継いだものだった(何をエラそうに、ただマネしただけ)。
まあそれはどうでもいいとして。

ある日、社宅にお邪魔したら、
ミコちゃんの部屋に飾ってある前の学校の友達から貰ったという「寄せ書き」の中に、見覚えのある名前をみつけた。
あの、絵の上手な「エナリさん」だった。
ミコちゃんは兵庫県の学校にいた時、エナリさんと同じクラスだったそう。
社宅の転校生達にはこんな再会もあるのね。

そしてお母様は、
「ちゃんと宿題してから遊びなさいよ!」とやっぱり怖かった(笑)。
ミコちゃんは「はいっ!」と返事してちょっとピリピリしてたけど、
勉強も真面目だしマンガも面白いミコちゃんが私は大好きだった。

その頃の私は、前述の漫画「誰もわかってくれない」にすっかりカブれていたので、つい自分の身にそのキャラクターを重ねてしまう。
そして、自分のようにナンチャッテ不良少女の気分でチョコバーの齧り歩きなんかは絶対しないような、どことなく上品でお嬢さんぽく、かと言って気取らない爽やかなミコちゃんは、
さしずめ転校生の優しいお嬢様「ナルミさん」だ、
と妄想も甚だしくイメージしていた。

さらに、漫画の中で意地悪な同級生に不良呼ばわりされていたジュンが、優しいナルミさんとの友情に目覚めて、自分の宝物である夜店で買った鎖の切れたペンダントをあげるシーンを思い浮かべては、

私も、オモチャ屋で買った小さなベルが2つついてたうち1つが取れてしまったけど大切にしてたペンダントを、ミコちゃんにあげたりした。
ミコちゃんはちょっとヒイてたけど。


そんな6年生のある日、そろそろ卒業アルバム用の文集づくりや写真撮影が始まる頃、
担任の先生が前年度のアルバムを教室に持って来ていた。
私とミコちゃんは、休み時間にそぉっとそれを開いて1年上の卒業生達の写真から、私の好きだった児童会委員のA君や、ミコちゃんが好きだった同じ社宅のM君の写真をみつけた。

児童会や朝礼で会う時に「カッコいいなー」と思う程度の?片思いだったけど、もう顔をはっきり思い出せなかった
A君(写真)を、卒業以来久々に見られた私は小躍りして喜んでいた。
するとミコちゃんは、M君とA君は友達だと教えてくれた。

わ〜、なんか青春ドラマが始まりそう?!!
と今なら思うかもしれないが、
現実はそうは行かなかった。

ミコちゃんはM君とA君と同じ中学へ進むことが、私は少し羨ましかった。でも私が公立に行くとしても中学の学区は違うし、、
まあ人生にはいろいろ分岐点があってひとつの道しか行けないということを身をもって感じた、大人の階段のぼるはじめの一歩の中学進学である(ほんとか?)


卒業後しばらくミコちゃんとは週一の英語教室で会う機会があって、その度にM君とA君の情報を聞かせてくれた。

M君とA君はサッカー部で、たまにA君が社宅の庭にやって来て2人で仲良く練習して(というか遊んで)いるとか、
A君には3年に生徒会長で学校で一番人気があるお兄さんがいて、A君はその次の二番人気だとか。

私は6年の時からカッコよかったA君なら「さもありなん」と思い、
自分が出る幕など所詮無かったなぁと清々しかった。笑

ミコちゃんはその後M君に想いが通じたのかなぁ、2人とも転勤族だからなぁ。。
と心配をしても、今となればどうでもいいことだけど。

自分が通らなかった道をもし少しだけ辿れるなら、
ミコちゃんと一緒に、M君とA君がいる中学校へ通ってみたい気がする。3日くらいだけでいい。笑

漫画の世界と現実がゴッチャになる私なら、そんな事やりかねないかもしれない。

そして、3日間をヨシさん(も同じ中学にいる)にストーリー化してもらって3人でマンガにする。画力がついていけないかもしれないけど、3人なら何とかなるか?1人くらい漫画家になっててもよかったのに、、??(今なら何とでも言える)笑

、、と他人事のように空想はどこまでも自由勝手に止まらない。