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「2020年8月11日のこと:猛暑、ゴミブルーを強行する」 (スウィング・木ノ戸)

東九条で4度目のゴミコロリを実施したのが8月11日。今日は20日だから、もう9日も経ってしまった。このレポートはできるだけ間を置かずに、少々冷静さを欠いても鮮度の高いうちに書くことを心がけているのだが、あの日、すべてが終わってスウィングに帰ったときにはそんな体力は残っておらず、家に帰ってもとにかく眠くって眠くって、そうこうしているうちにあっと言う間に今日になってしまった。

昨日は昨日で上賀茂での142回目のゴミコロリだったが、40度にも迫らんとする猛暑の中、ゴミブルー完全体になるのは(例年どおり)やめ、「一部ルー」を選択した。まあ暑いには違いなかったが、スーツを脱いだ体は軽く、比較的楽な感じでゴミ退治に挑むことができた。

あ、「一部ルー」についてここで説明すると、スーツを脱ぎ皮膚呼吸を確保しマスクだけかぶるのが「顔ブルー」、さらにマスクを鼻までめくり、口呼吸もフリーにするのが「一部ルー」です。ほんの一部(顔半分)しかゴミブルーの気配が残っていないので「一部ルー」です。一方スーツだけを着用し(皮膚呼吸を諦め)、マスクはかぶらないスタイルを「体ブルー」といいます。つまり顔が普通のおっさんなので誰もヒーローであることには気づけません。いずれも夏だけにしか現れない、見た目が非常に危ういヒーローたちです。

ところが8月11日、同じような猛暑日であったにも関わらず、僕たちはゴミブルー完全体となって、京都ダルクの皆さんが慣れた手つきで草刈り機を操り刈り取った雑草を、次から次にゴミ袋に詰め込み続けた。

8月のゴミブルー完全体は熱中症のリスクが推定800倍にまで高まると言われる。だからこれは12年に及ぶゴミコロリ史上においても初のチャレンジだった。もちろん熱中症予防のためにスポーツドリンクを十分に飲んでいたし、ヤバければ顔ブルーにも体ブルーにもなれる準備もしていた。でも誰一人として、完全体であることをやめなかった。その理由はわからない。リーダーである僕がやってるから「やらなければいけない」という強制力が少なからず働いていたのかもしれない。……いや、どうだろうか。「ムリなもんはムリ」とあまりムリはしない人たちだから、やはりそれぞれ、それなりの思いがあっての選択だったのだろう。

僕は今回、「ゴミブルー完全体でなければならない」と考えていた。この間、このプロジェクトに「映像」という新たな視点が加わることが結構なスピード感で決まり、さっそく片山達貴さんが撮影にやって来てくれた。また9月に出産を控えた成田舞さんが一時現場から離れる必要があるため、バトンを引き継ぐ堀井ヒロツグさんも来てくれていた。もちろん身重の成田さんも。そんな状況で、顔ブルーとか体ブルーとか、中途半端な姿を見せるわけにはいかない。撮られるわけにはいかない。

また、あえてアホみたいに無謀なルックスを保つことで、京都ダルクの皆さんや他の参加者の方と、「だからこそ」のコミュニケーションや笑いが生まれんじゃないかという期待もあった。その成果を数値で測ることはできないが、「その格好はキツいで~!!」とダルクの皆さんには笑ってもらえたし、多文化交流ネットワークサロンのスタッフさんは「参加できる人でのんびりやろうとはじめたのに、こんなにたくさん来てくれるなんて思ってもみなかった」と、僕たちの体をメチャクチャ心配してくれながら、嬉しそうに話してくれた。

失われた水分以上に、得たものは大きかったようだ。

2020年8月20日
木ノ戸昌幸

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