見出し画像

「20201215のこと」 (成田舞)

ダルクさん達と集合して、自己紹介をし合って、出発する。いつもいく北岩本児童公園には行かず、団地の前の公園を清掃してから二手に分かれる。どちらについて行こうか迷い、片山くんが映像を撮るグループの方はその記録が残るから、もう一つのグループの方についていく。
ダルクのメンバーの人たちが着ているカラフルなつなぎと、曇りの日でもよく目立つ青色のゴミブルー。灰色と茶色の冬の景色の中だとかなり目を引くカラーリングだなと思う。

道中で見たもの、浅い川の中に落ちている白くてまだ新品のスニーカーの片足、少しの瓦礫と土が盛り上がっている家と家の間にできた空き地、道路の隅で土埃と同化しかけて拾うことができないボロボロのビニール、せんべいの缶とその中から出てきた空き缶。消化器や蛍光灯など危険なものを見つけたダルクのメンバーの人が、「これどうしよう…」とつぶやく、ゴミブルーに聞いてみると、「これは危険物やなー」とゴミブルーでも拾えないものがあることを知る。
ゴミ拾いの中で、拾われなかったゴミ、見過ごされるゴミがある。そのゴミ達はたぶんそうやってずっと人の目と手から逃れてきたんだろうと思う。そしてこれからもきっとそうなんだろう。

鴨川沿いの道まで来ると突然「おーい!!」と叫んで走ってくる人がいる。全員の動きが止まる。ゴミ拾いに怒った人が何か言いに来たのかなと思っていると、ものすごい笑顔で「やった!会えた!」と言って一緒に写真を撮ろうとスマホを出してみんなを集めている。すごい。聞くと、前から活動を知っていて、いつかゴミ拾いに参加しようと思ってくれていたと言う。真っ赤なカーディガンのその人はゴミコロレンジャーにはいないアカレンジャーのようで、写真の中心でものすごい明るい顔で笑っている。

いつもは行かない南の方へ足を伸ばす、家も少ないし静かな通りだ。九条通りまで来たらまたE9の方に向かって歩いていく。途中で別れたもう片方のグループと合流して、より一層カラフルなかたまりになる。北岩本児童公園の横を通ると、近所の保育園の子供達が遊んでいた。ゴミブルーに気づいて話しかけに来てくれる。喜んでいるみたいだけど、もう特別感はあまりないみたい。馴染んだということなのかな。

帰りにはみぞれが降り始めていた。事務所では赤子を見ながら仕事をしなきゃならなくて佐武郎くんがジリジリ焦っているだろうなと思い、冷え切ったまま自転車で急いで帰る。

2020年12月23日
成田舞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?