マジシャンが嫌がる有権者になる方法

何かしら政治的な方向性を持った作品を普段から作っていると勘違いされたくないので
選挙とか政治とかに関しては基本的には何も書いたり言ったりしないようにしているのですが、
今回はちょっと「ずるいなぁ」と感じることが多かったので
少しだけここに書いてみようかな、と思います。

小説のミスリーディングや、手品師がタネと関係のない方の手を大袈裟に動かすのと同じように、
「今回の争点は景気回復。つまりアベノミクスへの審判です」
「当たり前でしょ?知らなかったの?」
という風潮で今回の選挙は進められています。

今回の選挙に関する報道やらアピールのやり方を見るにつけて
その「人々がこれからも安全に平和に暮らしていけるかどうか」っていう分岐点がこの選挙だということに気づかせないための
なにか安っぽいトリックを見せられているようで
国民はこんなにも馬鹿にされたままただ操られてゆくのかと、その将来が少し恐ろしく感じるほどです。

たとえば「景気回復、この道しかない」という某政党が掲げたキャッチコピー。
この中には二重の仕掛けがあります。
まずひとつめが、
「当然分かっていますよね?この選挙は景気回復に関することを訊いている選挙なんですよ?他のことは今は関係ないですよ?」と、このキャッチコピーを目にした人に自然に思わせること。
そしてもうひとつは「この道しかない」ということで、
無限にある可能性の中から方法を模索するのではなく「この考えにYesですか?Noですか?」と、反対派までも含めて二択問題であるかのように思いこませること。

あと、それによって追加される付随的な効果として
あまり政治に詳しくない人や物事に波風を立てたくない人を
とりあえずまとめて取り込んでおく、ということ。
「日本は今現在、まだ決定はしていないものの、とりあえず既にこの素晴らしい案が主流派として中心に据えられている状態なんですよ?わかってますよね?」という
「『1つの意見』をさも『前提条件』であるかのように思わせる書き方」を使って
投網漁のようにそんな人たちに一気に網をかけているわけです。
実際に既に絡め取られてるご年配の方は多いのではないでしょうか。

つまりこのキャッチコピー自体には「特に中身は何も無く」って、
「これを目にした人がどういうふうに思うか」ということだけのために、これは作られているわけです。

今までもそういうやり方はたまに目にしましたが、
今回は何かにつけてやり方が下手すぎるからか
「先入観に働きかけて、自分たちの思う方向に視線を操作する」ということに力を注いでいるのがあからさますぎて、ちょっとうんざりです。
党のブレインの方たちが何かメンタリズムの本でも読んだのでしょうか(笑)。
(ん?そういえば前に何かで「歴史上の独裁者のやり方とそっくり」という記事を読んだことがあるのですが、もしかしてそういう「印象や視線の向かう先を操作する」ということも含めてのそれだったりする…?)

自分の主張したいことを真正面からぶつけあうことに力を注げば良いのに、
そういった深層心理や先入観に働きかけるやり方に力を注ぐ、っていうのは、ちょっとフェアじゃないなぁ、と感じます。

でも報道を見る限り、そのトリックも、もう既に完成しつつあるようです。

さらに投票所にちゃんと足を運ぶご年配の方を中心に、
「またお願いしますよ」的に、今までの恩やら付き合いやらをちらつかせればその布石は盤石になります。

ただ、それを覆す真っ当な方法もまだ当然あるわけです。

投票に行く気がしない、どうせ変わらない、面倒くさい、家から出ること自体が自分にとってはとても重労働、当日になってなんか急にそんな気分じゃなくなった…
等々、さまざまな理由があるでしょうが、
そんな「今まで投票に行かなかった人たち」が期日前投票などを使ったりして投票すれば、計算上、簡単に今の日本の政治はひっくり返ります。

投票率が低い日本だからこそ出来る、簡単で無暴力な市民革命のようなものです。

いちばんシンプルに考えるなら、可能性の余力がいちばんあるのは、
現段階で悲劇的に投票率の低い若い世代です。
二十代の投票率が他の年代を圧倒して低いということは、
その投票に行かなかった人たちがこぞって投票すれば、まるっきり日本の状況は変えられる、ということです。

たぶんそういう年代の人たちは心の中で思っているでしょう?
「アベノミクス?関係ねーよ。っていうか知らねーよ。とりあえず大事なのは平和で安全な暮らしだろーが」って。
そういう言葉こそが本来は大事なことなのだと思うのです。
そしてその意思を分かりやすい形で反映させることの出来る、ほんとうに数少ない機会が、今回の選挙だと思って間違いないと思います。

憲法やら秘密保護やら自衛権やら原発やら復興支援の終了やら、
こういった、多くの声を無視した強引なやり方、危険な行く先、嘘の発表…。
与党が勝てば当然この先もずっとこのやり方を続けてゆくことになります。
景気回復だアベノミクスだと耳に残りやすい選挙用の看板を掲げていても、
もし選挙に勝利したならばその瞬間これらのことも全部ひっくるめての、「安倍政権のやり方を国民が支持した」
ということを声高に彼らは叫ぶはずです。
自分の好きなようにこの国を変えてゆく大義名分を彼らはこの選挙で手に入れたいわけです。

それをこのままずっと続けさせても良いと思っているのか、
それとも突然巡ってきたそれをストップさせることのできるチャンスを、ここでしっかりと生かすのか、
それがこの選挙の本来の意味です。

自分の意志を託す「勇者のような存在」が候補者掲示板の中に見あたらないのなら、
とりあえず今の、自分が思う、日本にとってのフリーザやら魔王やら世界政府やらに「立ち向かっている人」たちに票を入れれば良いだけのこと。
今回に関してはそれが特に大事。
おそらくそういった人たちの顔もミスター・サタンやメレブ(笑)ぐらいにしか見えないのでしょうけど、そこはどうかミスター・サタンかメレブで手を打って下さい(笑)。

あと、今回の選挙には間に合いませんが、前々から言われている大事なことが「投票方法の改善」。
若い世代が投票に行かない理由のひとつとして「投票所に足を運ぶのが面倒くさい」というのがあります。
ならば投票が面倒でないシステムを作れば良いようなものですが、
この「若者がもっと投票しやすいシステム作り」も、若者に投票されては困る政党が主導権を握っている以上、今の国会では真剣に審議されることはないことでしょう。

例えばよく話題に上る「コンビニでの投票を可能にする」ということ。
これは「店員が常に居る、出入り口が1つの閉鎖した空間」という時点で、JR駅構内設置案よりも安全性が高いと思われます。
ただ、開票後にいつも何人かの立候補者が選挙法違反で逮捕されるのを見てもわかるように、
多大な資金を投入して、法律ぎりぎりの様々な手段を講じるのが今の日本の選挙なわけですから、
当然投票所よりもセキュリティの甘いコンビニを狙った「投票箱の強奪事件」ぐらいは予想されることでしょう。
そのためのセキュリティ対策(投票箱を埋め込み式にしてしまう、専門スタッフの配備等)は必要です。

また、郵送での投票を身体障害者手帳所持者(等級指定あり)と戦傷病者手帳所持者だけでなく、
一般の誰でも出来るようにする、というふうにすれば多大な効果が出ると思います。
レンタルDVDのポスト返却がもし手数料0円だったら、店頭で借りるときにまずそっちを選びますよね?
郵送投票の一般化はそれぐらいの大きな心境の変化を促すと思われます。

あとはネット投票。
もし指紋認証機能が今よりもっと普及すれば、投票案内ハガキに個別のQRコードを印刷して送付→その読みとり+指紋認証で本人確認関連はOK。
各自のスマホで投票の全てを行うこともできるようになるでしょう。
ただ問題なのは、ネットのセキュリティはどこまでいっても完璧にはならないという点と、「投票用紙」という目に見える投票結果の証拠が残らない、ということ。
投票後に結果の操作がされやすいわけです。

ただ、こういった投票方法の改善も、先ほど書いたとおり「恩や付き合いで丸め込みやすい高年齢層の票を主食にしている人たち」にとっては、自分たちの足場を脅かす邪魔な雑音でしかありません。

だからこそ、まずは今の選挙システムでしっかりと若者を中心に投票をして、変えていかなくてはいけないわけです。

…と、色んな案やら自分なりの考えやらを書いてみましたが、
これは自分の考えの中の突出してる表面的な部分だけをピックアップして書いたものなので、この文章にも既に突っ込みどころは満載になっています(笑)。
例えば「コンビニ店員なんて簡単に買収されるだろう」とか「郵送OKにしたらその封筒の売買が始まるぞ」とか。

別に議論好きな方に不毛な言い争いの場を提供するために書いたわけではないので、そういった反論はご遠慮いただけたなら幸いです。
ただ、これを読んで友人たちといろいろと話すネタにしてもらえたなら、それはすごく価値のあることだなあ、と思います。
また、ここまで読んで頂ければ分かることだと思いますが、私自身は政治に関してはまったく詳しくはありません。
どちらかというと「苦手」なぐらいです。
今回は普通に見聞きしていて「人としてフェアじゃないな」と感じたことを書いただけです。おそらくこの先、再びこういったことを書くことは無いのではないかと思います。

大事なのは、まず投票をする、ということ。
そして、各党の選挙PRで右手を高く掲げるのを目にしたなら、そのとき見るのは左手ですよ、ということ。

日本はこうなってほしいなぁ、っていう自分のイメージに近い候補者や政党を簡単に探せるサイトも今は充実しています。

【えらぼーと 2014衆院選】
自分の気持ちに近いほうをポチポチとクリックしていくだけで、自分がどの政党、候補者と考えが近いのかを数値化して表示。
http://vote.mainichi.jp/47shuinsen/

【朝日・東大谷口研究室共同調査】
各政党および候補者の、諸問題への方針を、びっくりするほど分かりやすく図示。
高校生クイズの地方予選○×問題のように、目の前で候補者のアイコンが右に左に動いてどっちの意見に賛成なのかを示してくれます。
http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo47/asahitodai/

自分が素直に思った考えに近い人や政党はどこか。
またその逆に、どの人、どの政党にだけは勝たせてはいけないと感じたのか。
投票に行くか行かないかを決めるのは
このサイトでそれを見て確認してからでも、
決して遅くはないと思うのです。

※実際に若い年代の人が何人ぐらい投票に参加すれば結果を覆せるのか、数字で示されたページがありました。
【案外少人数】『若い人が投票に行けば世の中変る』と言われるけど、本当に変るのか計算してみた【友達一人でおk】
http://nihon-jyoho-bunseki.seesaa.net/article/307990760.html

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