自選 自由律俳句

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今までにtwitterや「スゴつぶ」等に気まぐれに発表してきた自由律俳句ですが、その中から幾つかをピックアップしてまとめてみました。

自由律俳句の何たるかも知らずに書いているものなので、
難しいことは考えずに目で追っていただけたなら嬉しいです。



『諏瑛ニレ 自選 自由律俳句』


いっそ犬になりたいと思っても朝


足りない1メートルを持っていく


輪郭を記憶するような仕草でした


雪が誰のためでもなく散っている


100円の皿を包んだ古新聞で新刊を知る


だから今日は転がり続けられるケーキを


北極星ただ指先に渦


雪は舞い上がるものだと風の声


逆光に白い息揺れて途方も無く


つまりだからけれどやっぱりの私


白い犬まわれ食パン味気なし


靴下片方失くして明け方


ヘッドフォンに包まれソファでさなぎになる


天上から落ちてくる身勝手な自己犠牲のかけら


動けないほどに自由の女神だ


夢の続きが気になって眠れない


簡単に充電されてゆくスマホを眺めている


胸の穴に毛布を押し込んだら突き抜けて寒空


目の前は昨日の足跡


奥歯でアモンド砕き体育館でバッシュ響く


落ちてくる時の粒に埋葬されつつある


カーテン越しに春の幻像


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い雨も夢も電話も


どこかへ行きたい思いをどこかに追いやったら笑顔が追いやられた


ただ眠りたいだけの自分へ言い訳3つ


やり直したい年齢にすら気を使っている


フライドチキンを食べるのに理由など要らぬ


ソンブレロにアンブレラでジャンバラヤな夜


コントラバスなら投げつけられることもなかった


エレベーターガールが交代して響くブザーの永遠


針を目で追っている2週目半の私


白い雪は痛い


テレビの灯りで深海魚になってゆくあの子


指先からひとのものになってゆく


北極星放り投げた手のひらは痺れたまま


栞の裏側から結界に入る


騒がしいほどの吹雪をつかまえて静けさの海に沈む


まだ が もうになって雪解け




※以降に文章はありません。「投げ銭」歓迎です。

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