EC Talks About Duane Allman

Eric Clapton talks about Duane Allman
an Exclusive interview from Hittin' the Note(2000年頃にABBのファンクラブ雑誌HTNに掲載されたインタビューを和訳しています)

HTN:初めてABBを聴いた時のことを覚えていますか?あなたはどんな反応をしたのでしょう?

EC:そうだね.... あれは確かCoconut Grove inでのこと、1970年だった。当時DEREK&DOMINOSを結成したところで、マイアミのクライテリアスタジオでレコーディングを始めたところだったんだ。「Layla」アルバムだよ。最初の2,3週間のところだったんだけど、少し行き詰まっていてね。そんなある日、トム・ダウドが「ABBがライブをやるけど、見に行くかい?」と聞いてきた。その時僕はDuaneのことを、Wilson Pickettの「Hey Jude」で知っていた。アトランティック・レコードの連中に「あのギター・プレイヤーは一体誰なんだい?」って聞いていたから、彼が何者か分かっていたしすぐにでも会いたかったんだ。ある晩オフの日があって、Bobby WhitlockとJim Gordon、その他大勢連れてABBを見に行ったんだ。野外のセッティングでね、信じられなかったよ。僕達はステージのまん前の芝生に案内されて座ったんだが、間違いなくDuaneはこちらを指差して.....

HTN:彼があなたを見つけて凍てついた、という話を聞いたことがあります。

EC:そう聞いたよ。よく分からないけど、とにかく奇跡といっていいよね。天気も完璧だったんだ。薄暗くて湿っぽい、そして強い風が吹いていた。彼らは皆腰まで届こうか、っていうような長い髪で、それが風になびいていてとても絵に
なっていた。音楽は信じられないものがあった。DuaneとDickeyはあのハーモニーを奏でていて、ソロでない時にも全てが調和しているような感じだったんだ。素晴らしく決まっていて、力強かった。

HTN:ローリング・ストーン誌のフィルモアのレビューでは、彼らは「過去5年にアメリカが生み出した最高のバンド」と評されていました。

EC:そうだね。

HTN:あなたはその当時既に人生を歩んでいましたが、私はまだ生まれていなかったんです。その表現については誇張だと思いますか?

EC:全然!彼らは表現するということにもの凄く力を注いでいたし、また彼らはラジオの力にも頼っていなかった、という印象を自分も感じていた。彼らはよく練りこまれた素晴らしい音楽を作ることに静かに成功していったんだ、そんなに
チャンスに恵まれていなかったのに。もちろん当時からGreggは、若いソウル・シンガーとして活躍していたと思うけど。
彼はとてもシャイで、エゴに振り回されるようなタイプではなかったね。凄まじい潜在能力を秘めた、Steve Winwoodのような表現力を携えてね。

HTN:初めてGreggの声を聴いた人が、やはりSteveを思い起こさせる、と言ってました。

EC:そうだね。色々な点で彼らは似ているな、と思っていたんだ。彼が弟だったということを除けば、二人は性格的にもよく似ていると思うよ。

HTN:彼らがどの程度、ロックが進むべき道を変えたと思いますか?そして彼らはあなたの音楽に影響をもたらしましたか?

EC:そうだね、当時は影響されたよ。そして彼らは、ライブ・バンドの全ての概念に影響を及ぼしたと思うよ。要するに、今Aerosmithがやっていることを聴いても、それはツアー中心という概念自体ABBから影響を受けたものだということが
判るよ。ABBはバンドは常にライブをしていてもOKなんだ、という概念を作ったんだ。彼らのやっていることは、思うにスタジオよりもライブ活動に重きをおいているんだよね。

HTN:この間ABBをはじめて聴いた人の印象を聞いたら、Creamが残したものに近い感じだ、ということを言ってました。

EC:その通りだね。

HTN:そんなことを考えたことがありましたか?

EC:うん、Creamがやっていたことの拡張だとは思ったね。つまり、例えば自分とCreamの問題は、ステージの上でできることが限られていたということなんだ。スタジオに入れば、オーバーダブで素晴らしいレコードを作ることも出来た。自分がリズムを弾いて、その後ハーモニー・パートを重ねて、というようにやれば3人のギタリストがいるような感じさえする。
オールマンがそれをライブでやっているのを見たら......

HTN:そしてその多くはインプロバイズされていますよね。

EC:そうだね。

HTN:Duaneはあなたのスライドにどのぐらいの影響を及ぼしたのでしょうか?

EC:少しだね。多くはないよ。何故なら、僕は単に吸収することができなかったからね。彼はスタンダード・チューニングでも弾いていたからね。

HTN:そうですね。私も無理ですね....

EC:理解できなかったんだよ。なんて説明したらいいのか... いつもDuaneはあの7thの音を出しててね、でも僕はそれを認めていなかったんだ、実際。いつもそんな議論を繰り返してたんだ。何故なら、僕は今までの伝統に習って演奏するべきだと思っていたからね。だけどそんな考えは、彼がインプロバイザーだという事実がもの凄く好きだったから、吹っ飛んでしまったよ。多くの時、彼は伝統なんてものをとっぱらってくれたけど、当時は僕にとってそれは、適当だとは思えなかったんだよね(笑)。知っての通り、彼は素晴らしく才能に溢れていたよ。


HTN:あなたは彼を、バンドを引っ張るエンジンと考えていたのですか?それとも、純粋に魔法のようなコンビネーションだったのでしょうか?

EC:う~ん。難しい質問だね。変な風にとられたくないんだ。全てのことをさしおいて、彼のキャラクターなんだと思う。Duaneは本当に強力で、人を引っ張る力をもったアグレッシブな男だった。やせっぽちという言葉がぴったりで、「タフ
ガイ」という言葉が似合わなかったけれど、彼は本当に強い奴だったし、彼は確かにバンドを引っ張っていたと思う。

HTN:ABBの音楽は、彼が亡くなった後どのように変わったと考えてますか?

EC:そうだねぇ、彼らは方向性を失ったと思うね。知っての通り、彼は音楽性も持ち得ていたんだ。彼は、ブルースやサザン・ミュージックというジャンルを直接知っていたからね。彼は、僕が思うに、弟と共にバンドが進むべき道について責任を持っていたよね。

HTN:私は、Dickey Bettsについて、Duaneと同じバンドでなかったらもっと彼の実力に見合った名声を手に入れた筈だ、という意見に賛成なのですが...

EC:そうだね。そうだ。

HTN:「LAYLA」アルバムの世界的成功を考えると、ABBはイギリスでは思ったほど成功していませんよね。私も「LAYLA」から彼らを知って、もっとDuaneを聴きたくなったんですよ。

EC:(笑)..... そうだねぇ... 僕が彼をバンドに引き抜こうとしていたことは知ってるかい?彼はDerek&Dominosとツアーしてたんだよ。

HTN:今まさにその質問をしようとしてんたんですよ!彼は何日か一緒にコンサートをしたんですか?

EC:そうだよ。本当に沢山ね。で、僕は実際、彼を引き抜こうとした。つまり、彼を盗んでしまおうとした訳だ。彼は本当に早い決断をしなければならなかった。ある晩のギグのあとにね。僕は「わかるだろう?本当に君をバンドに入れたいんだ。4人組でやるのはもううんざりだよ。入ってくれるかい?」と彼に尋ねた。彼は、「できるとは思わないな。」と答えたよ。その時点で、彼はまっすぐABBに戻っていったのさ。

HTN:簡単に決められることではなかったでしょうね。

EC:う~ん、僕には分からないさ。もう少し時間があったらね.....

HTN:ABBの「Idlewild South」と「Layla」は同じ時期に作られましたよね?

EC:そうだね。

HTN:そして、プロデュースした人も同じ、Tom Dowdですよね。

EC:その通りだ。間違いないよ。

HTN:彼はMaconとMiamiを飛行機で行ったり来たりしなければならなかったんでしょうね。

EC:そうだね。僕たちが二人でやることにはものすごい喜びがあったんだよ。何故なら、僕たちは全く違う場所から来た訳だからね。当時僕は、シカゴ・ブルースに入れ込んでいたが、彼は、南部の、ジョージアのカントリー・ブルースに熱中していた。だけど、彼がバンドに入らなかった理由の一つは、イギリスは今まで、そして今もそういった音楽の伝統に根ざしたことはなかったからかもしれないね。

HTN:でも、人々はそういう音楽を聴くのではないか、と思ったんですよね... あなたはここでは超有名ですし、Laylaは多くの人々に聴かれた。そして....

EC:そうだね。

HTN:人々は、「いったいこの男は誰なんだ?」と思い、「もっと彼の音楽を聴いたほうがいいんじゃいないか?」と思った...

EC:うん.... 正直に言うと、そんな風に思ったのは、ここではごく僅かだったんだよ。モダンといわれるバンドを見てみると、Beatlesや、Kinksのあたりに戻ってそこでお終いなんだ。彼らは、「Beatlesは何を聴いていたんだろう?」なんて
風には考えないんだよ。

HTN:例えば、殆どブルースの歴史を綴ったといえるあなたの1993年のShowなどによって、そのような多くの人々が気付かされたのではにか、と思うのですが....

EC:うん。でも、人々は自分達の為にそういうことができなければならない、と思うけどね。ここではそんなことは大したことではないんだ、ということを知って、いつもがっくりするんだけどね。

HTN:あなたも分かるように、僕はいつも、そのような音楽はどこから来たんだろう、ということが知りたいんです。

EC:それなら君はごく一部の珍しいタイプだね!(笑)

HTN:「Layla」アルバムについて少し話して頂けないでしょうか?

EC:全然構わないよ。

HTN:Duaneと一緒に演奏することはどんな感じでしたか?彼を影響し、彼からまた影響されるということは?

EC:素晴らしいの一言だよ!ある晩のコンサートから全てが始まったんだ。彼らが全員で、Showの後にスタジオまで戻ってきてくれたんだ。

HTN:ボックスセットに記されているのは、その晩のことなのですか?

EC:その通りだよ。

HTN:あのJamですよね....

EC:うん。あそこですぐに始めたんだ。彼らと接触するまで、僕たちはスタジオで本当に煮詰まっていたんだ。2、3週間スタジオに居たが、何もできてなかったんだ。ただ単に僕がギターとともに集中していただけだったんだ。4人組で、曲を
書いたりしていたんだけど、実際に演奏をはじめてみると全然エキサイティングではなかったんだ。その後、彼らがやってきて、特にDuaneと僕の二人きりのときは、ただただやることを考え、過去の曲をやることを考え続けて、結局二人でやることが可能になったんだ。「Nobody knows you...」「ハイウェイへの関門」「Why has love....」といった曲から
始めたんだけど、これらの曲は僕達が単にjamする為のものだったんだ。終いには互いにjamを続けることで、アルバムに必要な沢山の曲が出来ていったという訳なんだ。

HTN:Gregg Allmanは、殆どのセッションを見ていたと言っていました。その状況を覚えていますか?

EC:彼はそこによく居たよ。そうだね。

HTN:彼を呼んで歌ったり演奏させようという気にはならなかったんですか?

EC:そうだね... そんなには興味がなかったんだよ。悪く思わないで欲しいけど、僕はとにかくDuaneに惹かれていて、殆ど恋に落ちていたと言っていい。分かると思うけど、自分のバンドさえ殆ど無視していたんだ。衆人環視の中で、彼と
音楽の情事に耽っていたんだよ。Greggはそんな状況を見ることを楽しんでいたかもしれないけど、僕はそれすら気付いていなかったんだ。

HTN:人として、Duaneはどんな感じだったのでしょうか?

EC:Duaneは...(笑) 彼はいつもそこに居て、前にも言ったように、彼はやせっぽちの割にはとても強く、カリスマ的な仮面をかぶっていたんだ。沢山酒も飲んでいたし、きついドラッグに二人とも入れ込んでいた時だった。今振り返るの
は悲しいけど、Duaneは本当にタフな奴だったよ。

HTN:しかしながら、ABBのアルバムは、それ無しではあり得なかったでしょう。

EC:うん、いい時期だったんだと思うよ。そうだったかもしれないね。でもそのすぐ後に、ドラッグはほとんど僕達の限界を超えるようになっていった。つまり、Dominosはそのために駄目になってしまったんだ。機能しなくなってしまったからね。でも、「Layla」の時は、うまくコントロールが出来ていたんだ。Duaneが死んでしまったのはドラッグのせいでもあるんだと思う。その当時みんなが一斉にドラッグにのめり込むようになって、その影響たるは凄まじいものがあったんだと思う。


HTN:Duaneとそのアルバムのことを考えると、あなたは誇りに思うに違いない...

EC:その通りだよ。とても誇りに思っているよ。

HTN:当時はあなたにとってあまり良い時期ではなかった、ということを本で読んだことがありますが....

EC:僕にとって?個人的に、ということ?

HTN:そうです。

EC:いや、違うな。僕の人生には、沢山の複雑なことがあった。誰かの妻と恋に落ちてしまったり、こんなことの全てだよね。そんなことを僕は曲にしている訳だけど.... だけど、その一方で計り知れない絆が生まれたりしたんだよ。つまり
Dominosについては、ほとんど一年半をツアーの前に一緒に生活して、他のミュージシャンとは無かったパートナーシップを経験することができたんだ。また、Duaneと出会ったことも同じようなレベルの出来事といえる。だから、実際
にはとても、本当に幸せな時期だった、と言えるんだよ。

HTN:ABBのメンバーが、あなたの二つの成功したアルバムの重要な要素になったということを思うことはありますか?あなたはDuaneと「layla」アルバムで、Chuck Leavellと「Unplugged」アルバムで共演していますよね。

EC:そうだね。

HTN:それは偶然の一致なのですか?それとも当時あなたは「オールマンの味」というものを意識的に加えようとしていたのでしょうか?

EC:そうかもしれないね。うん、無意識のうちにそうしようとしていたかもしれない。ChuckがABBにいたことも知っていたし..... 彼がそんな要素をもたらしてくれることは分かっていたし、直接的ではなくてもね。だけど....

HTN:そうですね。Greggの「Laid Back」アルバムとあなたの「Unplugged」を繰り返しこの間聞いていたので....

EC:そうだったんだ。

HTN:そして二つには似たようなピアノの雰囲気がありますね。

EC:そうだね。

HTN:確かに、その二つは同じ人が弾いていますよね。

EC:その通りだね。

HTN:「Laid Back」アルバムを聴いたことがありますか?

EC:どうだったかな?

HTN:あなたがGreggのソロ作を聴いたことがあるのかなぁ、と思ったのですが....

EC:彼のアルバムは持っていないと思うね。

HTN:DuaneとBerryの死後、ソロとしてのGreggにはとても興味深いものを感じます。音楽的にABBそのものよりも....

EC:そう。じゃあ、そのアルバムを買いにいくべきかい?

HTN:そのとおりです!1973年発売の「Laid Back」ですよ!

EC:わかったよ!

HTN:オリジナル編成のABBのアルバムで、あなたが特に好きなものはありますか?

EC:全部好きだよ。本当に。

HTN:わかりました。今日は本当にありがとうございました、エリック。

EC:とんでもない。Good Luck!!

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