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【column #5】 家賃二万円 / ポロポロ書店しらたき


約3年前に延岡から宮崎市に移り住んだ。
ちょうど宮崎市の四つ目食堂で殺人事件が起こった頃だった。
その四つ目食堂の近くのアパートを借りた。

アパートに住んで2年半経った時に異臭を感じる日が続くようになった
その時期はコロナ禍が始まった時でひどく疲れていた。またか、、みたいな感じで疲労の方が優っていて異臭は受け流していた。

その後ベランダに洗濯物を干す時に激しい異臭を感じるようになっていた。
ある夜、寝ていたら天井裏をネズミの足音がトコトコトコと鳴り響いて起こされた。
今までこんなことはなくて足音の数的に一匹じゃなく数匹走り廻っていて、本当にうるさくて眠れなくてネズミの騒音と異臭の件を不動産屋に電話しようと思っていたら
急に次の日あたりからネズミの足音と異臭が無くなった。

そして数日後の午前中に玄関の前で2、3人の男たちの声が聞こえてトラックを横付けして何か作業を始めたようだった。
"それっあれじゃないかー!
うわぁーもしかしていつものやつやじー"
気になって玄関から出ると男たちが一斉にこっちを見て
"あっ。すいません"
どうやら隣の住人の荷物を運び出しているようではしゃぎ過ぎたみたいだった。
車は有名な清掃会社の名前が入っていた。
耳を傾けていると、いつものやつとは
おしっこペットボトルみたいで
"ヤベーくせ〜"
子どもみたいな盛り上がりをみせていた。
そういえば隣のひとは70歳くらいの男の人で最近は姿を見なかった。
その日は半日くらい部屋の中の荷物を運び出す作業をしていた。いわゆるゴミ屋敷状態だったみたいで沢山のゴミが見えた。

自分が数年前に千葉県で働いていた時に住んでいたアパートの隣もゴミ屋敷だったことを思い出した。
夜中に通路をハイヒールみたいな靴音で歩く音が聞こえていたので、女の人が住んでいたみたいだったけど実際に顔を合わせることはなかった。
ある日玄関前が騒がしくて通路に出てみると
隣の女の人と親御さんと思われるひとが引っ越し作業をしていて、はじめて隣の女の人を見たけど綺麗な女の人だった。
そして駐車場を見て驚いた。
大量のゴミ袋30個以上が積み上げられていて
ゴミ袋の中身はペットボトルと空き缶だった
隣の女の人は片付けられない人だったみたいで衝撃的だったのを憶えている。

宮崎に話を戻すとアパート近くにあるコーヒー屋さんの店主に
"清掃会社の人が来てましたよね〜
ゴミ屋敷だったみたいですよ"
と言うと
"そういえば2、3日前に警察が来て何かやってましたよ"
これは単なる引越し作業じゃなくて事件性を帯びてきた。考えられるのは孤独死か行方不明だろうか。何日か続いていた異臭とネズミの騒音が孤独死とつながるかもしれないけど 
当然ながら死体の匂いを嗅いだことないので
あの匂いのがそうとは断言できない。
わざわざ不動産屋に確認は取っていない。

清掃後の部屋は窓が2週間くらい全開で換気を行なっていた。夜中に部屋の中をを覗くとちょっと寒気がするような気がした。
数日後に内装工事が入り部屋の床をやり直しているようだった。
ニュースではコロナの自宅療養で亡くなった人や孤独死した後で調べてみたらコロナだった人が多数いるみたいだ。
隣のひとが孤独死したどうかはわからないけど、自分も独り者なのでこの先何が起こるかわからない。
今もこのアパートに住んでいる。



            ポロポロ書店しらたき

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