途方に暮れる

自転車をこぎながら青空を見上げてふと、「あ〜、途方に暮れる」と思ったことありますか。

夕方のファームでひとり途方に暮れるってつぶやいてるその言葉の響きがなんだか気に入って何度もつぶやいてみる。『あぁ、途方に暮れるな』。
言葉に出してみると途方に暮れるほどでもないかな、案外たいしたことではないかなと思ってみたり。でもやっぱり目の前にあるこの現実、「建設途中で放棄された工場」を見ると途方に暮れる。


(建設資材もごみのように放置されたまま)

今年の3月に「お金がなくなりこれ以上建設は続けられない」と建設業者に突然通告されてそれから放置されたままの建設途中の工場。契約では今年の1月には建設が終わることになっていて、4月にはマンゴーワインの試作がスタートしていたはずだった。カンボジアでコロナの影響がではじめたのは今年の3月くらいなのでお金がなくなったのはコロナが原因では全くない。1月に建設完成する予定の工場の資材も3月時点で購入していないのだから。。。

私が依頼した建設業者は日本人経営。3年前くらいからの知り合いで全幅の信頼をおいてお仕事を依頼し、建設費用はすでに100%支払い済みでした。本来カンボジアのやり方では建設費用の支払いは、契約時に30%、基礎工事完了時に30%、屋根や柱ができて20%、完成後に20%という感じで分割して支払います。私はすぐに人を信じてしまうダメなところがあり、相手から早く支払ってと言われて「どうせ最終的に支払うのだから」と全部支払ってしまいました。建設費用、果物の冷凍保存のための冷凍ルーム、消化器設備などを合わせると工場にかかった費用は600,000ドル以上。

建設業者の日本人の言い分は、一緒にやっていたカンボジア人がお金の管理ができなかった、
これ以上はお金がないので工事はできない、あとは自分で業者を探してやってください。お金もそちらが支払ってください。いつかそのお金は返します。

そう言われても。。。いつかっていつ?私たちはすでに工事費をすべて支払っていてそんなに余裕なお金はない。しかも工事をすっぽかした人を、いつか返すなんてそんな口約束で信用できますか?
私としては、建設業者のほうがどこからかお金を借りて工事を続けるのが当然ではないかと言いましたが、相手は私から借りたいと。(他に借りられるあてがないのでしょう)それならば、返済計画をだしてほしいと言いましたが、「いまお金がないのに返済計画なんてだせるわけがないだろう!」と私からしたら逆ギレのようなことを言われ、それ以来はこちらから連絡をするのはやめました。(もちろん相手からはいっさい連絡はありません)

最後の会話の際に、「そんな感情的に大げさにことを荒げて。。」というようなことを言われましたが、その言葉がとても残念でした。その方にとったら小さなお金なのかもしれませんが、私にとったら人生で一番大きな投資でした。以前やっていた事業を売却し、その資金はすべてこの農業事業に使っています。カンボジアで産み出した資金ですから、カンボジアのこれからに繋がる事業に投資をしようと考えていたので、農業からの産業づくりのため加工食品工場をつくることを決めました。その一歩となる工場建設がとん挫してしまいました。クラウドファンディングで応援してくれた方たちにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

建設がストップする前から、建設途中段階からたくさんトラブルがありました。お金のトラブルもありました。工場の建設資材を卸している資材業者から『建設会社が資材のお金の支払いをしてくれない』と私たちの会社宛にクレームがきたことがありました。その時の日本人経営者の回答は、「あの業者は支払いにうるさいから業者を変える」とのこと。購入したら支払うのは当たり前じゃない?と思いましたが、そのままにしてしまいました。

土砂を販売している会社からも『建設会社が支払いをしないのだけれど、むこうの経理がお姉さんの会社が直接うちに払うことになっていると言われたけれど、本当か?』という連絡がきたり。土砂会社は私たちの会社も依頼したことがあり知り合いだったため、うちがお金を払わないなんておかしいと思い、建設会社の経理が『マダムサチコが直接払う』と言っているボイスメッセージを転送してきてくれて発覚しました。もちろん土砂については私はすでに建設会社に支払い済みでした。この際も日本人の経営者に伝えたところ、「経理の勘違い」との回答。不誠実と思いましたが、それ以上何か言っても言い返されるだけだと思ったのでそのままにしてしまいました。

お金のトラブルだけではなく、施工管理にもたくさん問題があったのに、それでも信頼してしまい仕事を依頼し続けてしまった自分の浅はかさを本当に反省します。そのせいでいっしょにファームを運営してくれている仲間に本当に迷惑をたくさんかけてしまいました。

今回のこの出来事を自分自身の中で消化して前へ進むためにも、いつも私のトラブルの際には一生懸命解決に尽力してくれる友人のためにも、事実ともう一度しっかりと向き合おうと思います。

もし工場建設がストップしてしまっただけならば、なんとかなるか!!とすぐに前向きに動き出せたのだと思いますが、途方に暮れる出来事は工場建設のとん挫だけではないので、長くなるので次に続けたいと思います。





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