無知ゆえのごぼう

畑の片隅に生姜を植えた。植えただけ全ての芽は出なかったけれど、秋にはかなり大きくなり花も咲き、花の後には葡萄のような実も成った。秋も終わりの週末そろそろ収穫時期かと土を掘り起こすも、生姜の姿はなく掘れども掘れども根は深く、私の力尽きる頃を見計らったのか、その根はぽっきり折れた。残った根をそれ以上掘る気力はなかったので、掘り起こした生姜ではないその根を香ると、まさしくごぼうなのである。私は知らず知らずのうちにごぼうを育てていたのだと、それもかなり立派ごぼうを。今夜は採れたての新鮮なごぼうできんぴらにしようかと考え、それでもとふと「ごぼうの花」をYahoo検索してみたら、ごぼうの花は我が家の畑で咲いていた花とは全く違う、あざみに似た花なのだ。しかも花の後には葡萄の様な実などならない。ふたたび「ごぼうに似た植物」でYahoo検索。 「ヨウシュヤマゴボウ」がすぐにヒットした。正にこれ!葉も花も実も根もこれなのだ!読み進めると有毒性で嘔吐、下痢、痙攣、死亡。恐ろしい文字が羅列している。今夜食べていたかもしれない。そして救急搬送されていたかもしれない。新聞沙汰になっていたかもしれない。            ごぼうの花を知っていたら筋肉痛になる程必死になって土を掘らずにいたのに。          無知ゆえのごぼう 食べなくてよかった。

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