自分を責めるのは、もう、やめにする。そう、決めたから。
体調を崩した。
悪化して、休んで、少し回復して、しばらく経ったらまた悪くなって。
の繰り返し。
もう疲れた。
なんでこんな貧弱な身体なんだろう。
ただ、人並みに、元気に生きたいだけなのに
なぜか、世界中でわたしだけがそれを許されないような感覚。
最初は貧血かと思ったけど、血液検査も異常はなかった。
原因も分からなければ、いつこの体調不良のトンネルから抜け出せるかも分からない。
不安と恐怖。苛立ちも徐々につのる。
そしてそんな負の感情は、ぐるぐると私の脳内をのたうち回る。
なんで早く治らないの!?
なんでこんな弱いの?
ちょっと長い時間外出するだけでフラフラになるなんて。ありえない。
何も無理させてないのに、普通の人なら普通に過ごせる、全然無理のない予定を立ててるのに。
なんで? どうして?
理由なんて知らない。ただ身体がつらい。それだけだった。
ベッドの上で休みながら、涙が滲んでいく。
「たぶん、私の脳と身体がちぐはぐになっているんだな」
「土台が噛み合っていないから、こういうふうになるんだな」
とはいっても、これといった分かりやすい原因は本当に見当たらなかった。
働いてる職場は最高に居心地がいいし、日々のスケジュールは、体力がない自分に合わせて、無理のない範囲で組んでいる。むしろ、余裕を持たせすぎているぐらい。
ブラック企業に勤めているわけでもなく、過酷な状況に晒されているわけでもない。
無理は、していない。
でも、体の調子が悪い。
おかしい。なんなんだ。何がずれているんだろう? 何が噛み合っていないんだろう?
考えたけど、答えは出なかった。
今日も一日、ベッドの上で寝て過ごした。
体調不良なことをいろんな人に伝えると、皆揃いも揃って
大丈夫だよ、ゆっくり休んでね。
動いてるあなたも、休んでいるあなたも大好きだよ
こんな、温かいメッセージをくれる。
なんだ。ここは天国か。
身体はきついけど、心の中はポカポカだった。
そんなある日、私のことを心配した知人からメッセージが届いた。
その知人にはとてもお世話になっていた。ただ、私のこの体調不良の波のせいで、しばらく連絡できずにいた。
『連絡できず、すみませんでした。実は~』
正直に、事情を伝えた。
そしたら
「メッセージありがとうございます。大丈夫ですよ」
と返信が来た。
そのとき――あれ? と思った。
この人も、あの人も、みんなみんな、私のことを許してくれる。
こんなに体調に波がある人間なのに。寝込んでばかりの人間なのに。
――ここにいていいよ。大丈夫だよ。ゆっくりでいいからね。
そんなふうに、受け入れてくれて、待っててくれてる。
あぁ――
私は、分かってしまった。
自分のことを、許していないのは、自分だけだった。
周りの人は、私を責めたりなんかしない。
なのに、自分だけが、自分のことをずっと責め続けていた。
なんで早く治らないの!?
なんでこんな弱いの?
ちょっと長い時間外出するだけでフラフラになるなんて。ありえない。
何も無理させてないのに、普通の人なら普通に過ごせる、全然無理のない予定を立ててるのに。
なんで? どうして?
苛立ちと不安は、容赦なく私の身体にぶつけられた。こんなふうに、四六時中罵声を浴びせられていたら、そりゃ、心も身体も疲弊する。疲れるし体調崩すし、寝込むに決まってる。
私の脳内は、ブラック企業と化していたのだ。
――ただ、人並みに、元気に生きたいだけなのに
なぜか、世界中でわたしだけがそれを許されないような感覚。
そう。この言葉通り、私のことを許していないのは、私自身だった。
――もう、やめよう。
そう、思った。
もう、責めるのはやめにしよう。
自分が自分の一番の味方になるんだ。
どんな自分でも、受け入れよう。
降参するよ、全部全部。
だって、私が私を守りたいから。
もうこれ以上、悲しい目に遭わせたくないから。
たくさんのごめんねをかけて
それ以上の大好きと愛してるを伝えて
今日から――また私は、生まれ変わる。
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