思い出をありがとう #架空ヶ崎高校卒業文集

2020年
3年C組 山田 真司

架空ヶ崎高校の三年間は、私にとってかけがえのないものでした。
毎日が楽しい日々の連続でしたが、特に思い出に残ったのは演劇部での活動でした。

私は幼い頃から時代劇を見るのが好きでした。高校生が見るようなものではないということは理解しておりましたが、演劇部の先輩に同じく時代劇好きがいた事で、毎日のように時代劇談義に花が咲きました。

先輩が卒業した後も時代劇の熱は演劇部全体に残り続け、今年の虚像祭では私が脚本を書いた自作時代劇を発表することができました。私は舞台に立つことは叶いませんでしたが、感動で涙が止まりませんでした。

実は、私は昨年まで長い間ずっと入院しており、日常生活を営むことですらままならない体でした。高校進学も無理を言ってお願いしたのです。家族には迷惑をかけてしまいました。みんなの前では薬で誤魔化して学校生活を送っていましたが、自分の体のことは自分が1番よく分かっています。書くべきか迷いましたが、このような私でも受け入れてくれた高等学校があったという事を、記録として残して置きたかったのです。

私には、もう未来がありません。しかし、共に学んだ学友のみんなには、まだまだ未来があります。そんな皆にどうか、輝かしい未来が訪れることを、私は草葉の陰から見守っていこうと思います。

最後に繰り返しになりますが、本当に有難うございました。齢70にして、先立った婆さんへの最高の土産話ができました。

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