ロスコを見る2つの視点

抽象画というものを見て、初めて感動したのがロスコなのですが、なぜ感動できたのか、とい考えてみました。

六本木の森美術館でやっていた、ワールドクラスルームで奈良美智さんの大きな人物画を見ました。巨大なサイズで、ぼんやりとしたタッチで描かれており、じんわりと感じるものがありました。


https://www.mori.art.museum/jp/collection/6103/index.html



その解説を読むと、マーク・ロスコを連想させる・・・といったことが書いてあり、マーク・ロスコって?と調べたのです。

調べてて興味をひかれた点が2つ。

ひとつはロスコの言葉。私は人の感情を描いている。だから、人が私の絵を前にして泣き崩れるのだ、みたいな事を言っています。

もうひとつは生前、ロスコは自分の絵だけを展示する空間を望んでいて、現在世界にロスコルームが3つ、ロスコチャペルが1つあるということ。

ロスコルームのひとつは、私が住んでいる東京の隣、千葉県にあると知り、すぐに向かいました。

千葉県佐倉市にある、DIC川村記念美術館のロスコルームに入り、最初の絵を目の前にした時、身体の奥底が震えるような、嗚咽が湧き上がってくるような感覚を感じました。抽象画どころか、絵画を見てここまで強い感覚を得たことが無かったので驚きました。

おそらく事前に、私は人の感情を描いている。だから、人が私の絵を前にして泣き崩れるのだ、という言葉を知らなければ、こんな感覚は得られなかったでしょう。私の中で、それを感じ取ろうという無意識的な見方があったのが良かったのだと思います。これがロスコの見方の#1。

以前から絵を見るときは、いくつかの視点を持っていました(主に風景画)

A. 絵の中に身を置いたら、どんな感じがするかな? 爽やか〜、この道を奥に進んでみたい、怖い・・・など

B. ここには何が描いてあるんだろう? 風が強いんだな・・、この人は何をしているのかな? など

C. 画家はこの絵をどんな風に描いているんだろう? ここは細かい、こっちはざっくり描いている、とか。

ロスコの見方の#1は、Aに近いのですが、泣き崩れるほどのものが感じられるという前提知識=見方が、それを感じさせてくれたのだと思います。

ロスコの見方#2は、Cと同じで、ここは色が均一だな、ここは火山の噴火のような輪郭だな、とか。

B. は抽象画なので考えていなかったです。

#1の視点を持って見ていると 、様々な感覚、感情が湧き出てきて、1枚の絵の前で10分も20分も過ごせてしまいます。

パリまで行って本当に良かった。4月の会期中にもう一度行くのは難しそうだけど、作品はロンドンやワシントンなどに戻っていくと思うので、それぞれの場所を訪ねてみたい。








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