底辺ユーチューバーを目指してみる話

VGS-ZeroでNSF形式をサポートしましたが、FamiStudioの操作に慣れる目的で東方紅魔郷の全17曲をRP2A03(拡張音源無しのファミコン本体音源)縛りで作ってみました。

当初、純粋なFamiStudioの練習目的で始めた試みですが、折角なのでFamiStudioの動画エクスポート機能を使って出力した動画(東方NSF)をYouTubeで公開してみました。

  1. 赤より紅い夢

  2. ほおずきみたいに紅い魂

  3. 妖魔夜行

  4. ルーネイトエルフ

  5. おてんば恋娘

  6. 上海紅茶館 ~ Chinese Tea

  7. 明治十七年の上海アリス

  8. ヴワル魔法図書館

  9. ラクトガール ~ 少女密室

  10. メイドと血の懐中時計

  11. 月時計 ~ ルナ・ダイアル

  12. ツェペシュの幼き末裔

  13. 亡き王女の為のセプテット

  14. 魔法少女達の百年祭

  15. U.N.オーエンは彼女なのか?

  16. 紅より儚い永遠

  17. 紅楼 ~ Eastern Dream...

1日1〜2曲ぐらいのペースで公開したところ、(私のYouTubeチャンネルとしては)かなり良いパフォーマンスが得られました。下図は全17曲中11曲を公開した時点のアナリティクスですが、東方NSFを開始(=毎日動画投稿)してから顕著に伸び始めていることが分かります。

全17曲中11曲公開時点の視聴回数
(過去28日分)

YouTubeチャンネルを成長させるコツとして「毎日動画を投稿すること」と色々なところで解説されていますが、データ的にも実際その通りのようです。

という訳で、底辺ユーチューバーになるためのYouTubeチャンネルのグロースハックについて私が今回得られた知見を記してみます。(例によって長文注意)


毎日投稿すると伸びる理由

毎日投稿すると伸びる理由は、動画の流入経路を見て何となく理解しました。

動画流入経路
(2024.07.08時点の私のチャンネル)

最も流入数が多いのは「関連動画」です。

関連動画とは多分、スマホやタブレットでYouTubeアプリを開いた時のホーム画面に表示される動画や再生中の動画の画面右側に表示される動画の総称(レコメンド動画)かと思われます。

そして、恐らく投稿間もない動画はレコメンド動画としてピックアップされる可能性が高いため、毎日投稿することで露出チャンスが増えて結果的にチャンネルが成長しやすいと考えることができます。

サムネについて

毎日動画投稿することと同様に動画サムネイル(サムネ)も重要視されていますが、これについても同じ理屈で、レコメンド動画を再生するユーザーの意思決定にサムネイルの内容が大きく影響する為だと考えられます。

私はサムネについては全く力を入れない形(自動生成サムネイル)にしてますが、なるべくユーザーの興味を惹きつつ動画を見なくても動画の内容が分かるものが良いと思っています。

サムネに扇動的なキーワードを組み入れるのも効果的らしいです。

ただし、私の経験上そういったサムネの動画を面白いと思ったことがないため、そういうサムネイルの動画がレコメンドされたら問答無用でブロックしていて、同じようなことをしている人も多分それなりに居ると思われます。

レコメンド動画の選定アルゴリズムは日々変化していて、ディープラーニング(AI)が発達すればエンゲージメント(満足度)が低い動画を貴重なレコメンド枠に表示することは無くなっていく筈です。

サムネを見るだけで(好意的な意味で)「またお前か」と思って貰いつつ再生して貰えることが重要だと思っているので、サムネに力は入れていない(コストを掛けない)ものの、その点についてだけは意識しています。

投稿頻度について

頻度としては毎日投稿するのが望ましそうですが、試しに1日に2〜3本の動画投稿をしてみたのですが数字のリニアな増加傾向は見られなかったので、投稿動画は1日1本ぐらいの頻度が良さそうです。

むしろ、投稿頻度が多すぎるとチャンネルの登録解除率も若干増加傾向が見られたので逆効果(チャンネル登録者へのエンゲージメントを下げる可能性がある)かもしれません。

ショート動画を組み合わせる場合の頻度についてはまだ検証中なので正直よく分かりません。

当初、「ショートは別腹」と考えて通常動画+ショート動画を1日1本づつ(合計1日2本)公開もしてみたのですが、それでも既存チャンネル登録者のエンゲージメントという観点では微妙な(悪い)数値データが見受けられたので、私のチャンネルの場合はショート or 通常動画に関係なく投稿は1日1本のペースが良さそうです。(この点はチャンネル登録者の傾向などにも左右されるのでコンテンツフォーマットによってベストな投稿頻度が異なってくるものかもしれません)

また、1日1本というペースも必ずしもベストとは限らないかもしれません。場合によってはインターバル(投稿しない期間)も設ける方が結果的に数字が最大化される可能性もあるかもしれないので、色々な投稿頻度のパターンを試しつつ、数値データの変化状況を分析しているところです。

仮に「隔日で1本」(2日で1本)のペースがベストだったとしても、コンテンツフォーマット(CF)は「毎日投稿可能なもの」にしておくのが良いとは思いますが。(ストック確保という意味でも)

毎日投稿できるCFを考える

現時点(2024年7月時点)のアルゴリズムでは新しく投稿された動画(新着)と直近の視聴数が伸びている動画(バズ)がレコメンドされる優先度が高いようですが、後者(バズ)は狙ってできるものではないので、「新しい動画を投稿し続けること」が自発的な活動でレコメンド掲載率を増やせる唯一の手段だと考えられます。

とはいえ、毎日動画を投稿し続けるのはかなり難しいですが…

毎日投稿するには毎日投稿可能なコンテンツフォーマット(CF)を見つけることが重要になってきます。

例えば、おしゃべりが得意な方なら雑談の生放送、おしゃべりとゲームが得意な方ならゲーム実況の生放送、わがままボディの持ち主ならキワドイ衣装でヨガ動画の配信などなど…少し前は切り抜きとかも流行ってました(最近はあまり見ません)が、切り抜きも「定期的に作り続けるCF」として見れば中々よくできた仕組みだと思います。ただし、切り抜き動画は客観的に見てエンゲージメントが低いものが多かった印象があるので、恐らく単なる「類似コンテンツ」(スパムに近いもの)と判断されプライオリティが下げられているのかもしれません。(類似コンテンツの検出はディープラーニングの十八番)

2022年頃、東方VGSで一時的に新曲追加のタイミングで並行してYouTubeに動画投稿をする試みをしたのですが、東方VGSの場合1曲作るのに耳コピに2〜3日、MML化に1〜2日程度の時間が掛かるので、どんなに頑張っても1本の動画投稿に3〜5日程度の期間を要します。(実際には週1ペース)

結果的にその時は数字があまり良くならなかったので継続を断念しました。

今回(東方NSF)は、東方VGSのMMLを見ながらFamiStudioで打ち込んでいるのですが、東方VGSのストックがある曲であれば1日1本以上のペースで動画投稿できます。

ストックに限りがある(現時点で169曲しかない)ので恒久的に続けることはできませんが、ある程度チャンネルを成長させることができれば新規の動画投稿をしなくても過去ストックだけで十分回るとも言われているらしいので、ストックが尽きるまでの間に可能な限り成長させれば少しぐらいなら「お小遣い稼ぎ」ができるかもしれません。

収益化の条件

YouTubeでお小遣い稼ぎをするには次の条件を全て満たす必要があります。(2024年7月現在)

  1. チャンネル登録者数500人以上

  2. 90日あたり3本以上の動画投稿

  3. 365日あたり3,000時間以上の総再生時間(or 90日あたり300万回以上のshorts再生)

私のYouTubeチャンネルの場合、チャンネル登録者数はもうすぐ達成できそうですが、再生時間の条件達成が中々厳しそうです。

収益化条件の達成状況
(2024年7月2日時点)

ですが、Twitterの収益化条件(3ヶ月で500万インプレッション)と比べればかなり簡単そうに見えます。

収益化の条件達成のための作戦

総再生時間を伸ばす作戦としてYouTubeのプレイリストを利用した作業用BGMとしての利用というユースケースを想定したコンテンツフォーマットにしてみました。

各動画の概要欄の先頭行に再生リストへのリンクを掲載していますが、そこから再生することでループ再生やシャッフル再生などができ、YouTubeプレミアムに加入すれば多分バックグラウンドで再生もできると思われます。(私はYouTubeを主にPCブラウザで視聴しているため、プレミアムに入らなくてもバックグラウンド再生できます)

再生リスト
(PCブラウザ)

適切な導線設置さえできていれば、コンテンツ数が増えれば自然とそのユースケースで使う人がでてくる筈なので、それにより総再生時間の条件を満たすことができるかもしれません。

ただし、確度はそれほど高くない(あまり一般に認知されていない方法)とも思っています。例えば、YouTubeに再生リストをニコニコ動画のマイリストのような形でブックマークしたりSNSでシェアできる機能があれば良いのですが、無いものは仕方がありません。

そこで、YouTubeでチャンネルを成長させるには「もうひと工夫」が必要だと考えた結果、YouTube shortsの動画も並行して投稿してみることにしました。

YouTube shorts対応

FamiStudioの動画エクスポート機能はポートレイト形式で出力でき、1分を超える場合は途中フェードアウトすることで最小限の手間でYouTube shortsに対応することができます。

曲を途中でぶった切ることには若干の抵抗がありつつ、YouTube shortsは飽くまでもチャンネルへの誘導を促すためのプロモーションツールだと割り切ることにしました。

YouTubeの肝はレコメンド機能だと(これがニコニコ動画よりも圧倒的に優れていると)思っていますが、ショート動画はレコメンドの新機能としてのポテンシャルを感じます。

ショート動画の収益性については若干疑問ですが。

TikTokとかも人気がありますが、そんなに儲かっていないだろうと想像しています。なお、ByteDanceは公開企業ではないので決算の詳細は不明です。ただ、TikTokにせよYouTube shortsにせよ、少なくとも私はショート動画なら広告が出てもマッハでフリックアウトするので、これが広告というビジネスモデルでは上手くいくイメージが湧きません。

ショート動画プラットフォームのビジネスモデル的な意味での存在意義についてはさておき、YouTubeがショート動画に力を入れている今ならこれを活用しない手はありません。TikTokは政治的な事情で米国から締め出されつつあるらしいので、ショート動画の重要性は以前よりはトーンダウンしている気がしないでもないですが、とりあえずその点は気にせず。

下図が全17曲中13曲を公開(2本のshortsを公開)した時点のアナリティクスで、明らかに視聴回数が伸びたことが分かります。

2日間YouTube shortsも投稿してみた結果

プラスアルファの手間が増えてしまいましたがチャンネルを成長させるための短期的な手段としての効果は絶大かと思われます。

動画1本あたりの平均視聴時間がおよそ1分なので、1日平均300回再生されれば1日あたり5時間、365日あたり1,852時間になります・・・まだ収益化の条件達成(年3,000時間)には微妙に足りませんね😅

もちろん、やらないよりはやった方が(数字的には)良いことは確かなので、余力があればショート動画もやるのが吉ですが、無理してやるほどのものではないかなと。(一応しばらく続けてみますが)

私の本命はやはりショート動画ではなく、想定ユースケースで使う方々が増えてくれることです。

想定ユースケースの元ネタ(?)

想定ユースケース(YouTubeのプレイリストを利用した作業用BGMとしての利用)とは、要するに東方VGSのユースケースです。

参考までに、東方VGSの現時点(2022.01.01〜2024.06.30)の平均DAUは約390人(MAUは約4,000人)、Firebase Analyticsで測定した1アクティブユーザあたりの平均利用時間(セッション時間)は約24分です。

東方VGSのDAU
(2022.01.01〜2024.07.01)

これをYouTubeの視聴時間に換算すると1日あたり約156時間(9,360再生)で、これなら年3,000時間を楽々と達成できます。

もちろん、スマホアプリ(東方VGS)とYouTube(東方NSF)では色々と勝手が違うので同列で考えることはできないかもしれませんが、東方NSFならYouTubeでも東方VGSに近い土俵で戦えるかなと。

とりあえず、東方VGSの時と同様、地道にコツコツとコンテンツを蓄積していくことが目標達成のための最善手だと思っています。

ギャンブル or 投資なら投資の考え方に近いです。(一発ドカッと当てるのがギャンブル、地道にコツコツと資産を蓄積して複利で稼ぐのが投資)

まとめ

簡潔にまとめると、どんな勝負でも自分の土俵(得意とする戦術)に持ち込むことが重要で、自分の土俵に持ち込むための策(戦略)も重要ですが、作戦を続行するには安定的なコンテンツ供給ラインの確保(兵站)が最重要だということです。

底辺ユーチューバーになるのも中々大変ですねぇ…

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