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ボアアップ車のメンテナンス

最近、ボアアップ車の不具合が多くなって来ております
ボアアップは危険なカスタムだということを、事前にお伝えしているつもりですが
改めてnoteにまとめたいと思います

オーバーヒート

排気量アップにより元々オーバーヒートしやすい状態になっています
50ccエンジンを想定した冷却系ですので
熱量が多くなった分だけ、冷却しにくい状態なわけです
たった10cc、ではなく20%も排気量が増えた訳ですから
かなりハードなチューニングであると認識していただきたいと思います

オーバーヒートの原因

色々な原因や要素が考えられますが、1番の原因は
エンジンに高負荷を掛け続けることです
高負荷、つまり高回転と置き換えてもほぼ同義かと思います
高回転連続走行、つまりバイパス等で全開で走り続けることなどが挙げられます

スクーターは構造上、変速は自動変速なので
駆動系のセッティングで変速回転数を決めます
また、元々50ccの駆動系ですからそもそも最高速度が60km/h前後になります
125ccなどですと、最高速度100km/hくらいを想定した駆動系になっていますので
60km/hで巡航したとしても余裕があるわけです

元々50cc、60km/h程度の性能しかない駆動系で
60km/h巡航をすると、ほぼ全力で走り続けることになります
駆動系のセッティングを変えて65km/hくらいまで
変速比を変えていますが
それでもかなり厳しいと言わざるを得ないのです

さらに問題は、ドライブベルトの摩耗です
駆動系は色々と相関関係があるので一概には言えないのですが
一般的にはベルトが減ると最高速度が落ちます
そして加速力が上がります
これはギア比がハイギアからローギアに落ちていく現象です
自転車に例えると、フロント側(ペダルがある方)のギアをインナーギアに落とす【沢山漕いでも前に進まない】ということです

ローギアになり加速力や登坂力は新品ベルトより上ですが、スピードは出ません
自転車ならペダルを回す限界まで回せても速度が上がらない
エンジンも同じで限界まで回ってしまうのです

実は50ccだと限界回転数近くまで回す力は
よほどベルトが減らない限り回らないのです
更に回転リミッターが掛かります
排気量アップすると回す力が大きくなるので
少しローギアになっただけでも限界回転数まで回ってしまいます
そして回転リミッターも通常よりも高めに設定してあります
ある程度最高速度を伸ばすためであり、高回転連続走行をするためではありません
ベルトが減っているローギアな状態では、街中巡航速度であっても高回転になっていきます
そしてさらに回し切る力がエンジンにはありますので、限界回転数を超えて巡航してしまうことになります

元々のコンセプトは街中での快適な走行を目指したカスタムです
街中道路で車と同じ様な速度までストレスなく加速、維持
そして必要十分な登坂能力です
30km/hから50km/h、この速度域でストレスなく加速して、50km/h程度の巡航を余裕で出来る
決してバイパスを法定速度以上で巡航したり
交通の流れをリードしたりする能力ではないのです

駆動系をメンテナンスしてフレッシュな状態で
純正駆動系であってもセッティング次第では70km/h近くまで最高速度が出ます
ですから30km/hから50km/h付近はエンジンに余裕を持って走れることになります
この状態からベルトが1mmほど消耗するだけで
最高速度は60km/h以下に落ちます
50km/hでも高負荷になってしまうことになります

駆動系メンテナンスの重要性

MT車のように変速回転数をライダーが選べるのならばこのような問題は起きません
CVT構造のATである以上、駆動系が狂うとエンジンを壊しかねません
駆動系がフレッシュな状態であれば、バイパスを長時間爆走するような無茶をしない限り
エンジンに高負荷が掛かることはありません
しかし、ベルトが減ることにより高負荷になる速度が下がっていくことになります
出来るだけハイギアな状態を作り、回転数を下げることが重要になってきます
そのためには早めのベルト交換と最適なセッティングが必要になってきます

その他、50ccには起きにくいトラブルがボアアップ車には起きております
こまめなオイル交換は勿論のこと、駆動系や車体等も
定期的なメンテナンスを行い、快適に稼働していただけたらと思います

ボアアップについて、ご質問やご不明なことがありましたら
遠慮なくご相談ください

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