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ハイブリット給湯器とLPガス販売店の未来

はじめに


私は愛媛県四国中央市という地方でLPガス販売店の代表を務めています。
私が本気でハイブリット給湯器の拡販に取り組んだのは2019年からで、そのころに設定した目標は、「戸建て消費者件数の1割」までハイブリット給湯器の導入を進めるという目標でした。
その目標のゴールが見えてきたので、いま私がハイブリット給湯器とLPガス販売店に思うことを書いていく。
メーカーや住宅関連事業者にも是非読んでもらいたい。

ハイブリット給湯器は武器にしろ

ガス機器メーカーでハイブリット給湯器を製造しているのは、リンナイノーリツの国内2社あるが、メーカー担当者が我々販売店向けにプレゼンするときはいつもこうだ。
「電化対策として既存のガス需要の大きい客先に・・・」
言っておくがこのプレゼンで前向きに取り組む販売店は無い。
そもそも、出発点の1丁目1番地が、防衛、守備、撤退を思わせる敗北ありきのプレゼンに誰が耳を傾けるだろうか?
ハイブリット給湯器は武器にすべき。
メーカー担当者に強く言いたい。
ハイブリット給湯器を扱ってほしいなら、販売店へのプレゼンは勝利や明るい未来を思わせる言葉と内容にしてほしい。
人口減少局面に戦い、勝利するのだ!
他熱源給湯器から置き替えよう!
ガス業界の未来はハイブリット給湯器から始まるのだ!
と、訴えてほしい。
今までガス以外の給湯器を使っていたエンドユーザーに届け、その優位性をアピールする。
その結果、自社やLPガス販売店、引いてはガス業界全体の優位性をアピールすることにもなる。
次に私の答えを具体的に示す。

ハイブリット給湯器を進めるべきお客様とは

①自社ガス+他熱源給湯器(エコキュート、電気温水器、石油ボイラー)
②オール電化(エコキュート、電気温水器)
③新築戸建て(給湯関係含むリフォーム工事も良し)
この順番は私が考える取り組み安さであり、特に深い意味は無いが参考にしてほしい。
ちなみに、弊社でも取り組みにおいて、自社ガス給湯器からハイブリット給湯器への置き換えは最初の1件のみである。
それ以外は全て①②③のどれかに当てはまる。
①´として他社ガス+他熱源給湯器(エコキュート、電気温水器、石油ボイラー)を自社ガス+ハイブリット給湯器へという切り替えも含む案件も少ないが存在する。
これはハイブリット給湯器を推進した副産物として、自社の優位性をPRした結果であり、想像に難くない。
尚、最もポイントになるのはリースの活用だ。
詳細は割愛する。

具体的な行動を起こせ

まずは自社でチラシを用意し、既存のお客様や地元供給エリアに広く配布する。このあたりはメーカーも協力してくれるはずだ。
ここで絶対に勘違いしてほしくないのは「買ってくれそうな客先だけに案内してみよう」というやり方だ。
そもそも初めから買ってくれそうなのが分かるほど営業センス抜群なら、ガス機器なんか売ってないでもっと高単価で高収益なものを売る方がいい。
それが何かは知らん。
まずはとにかく知ってもらうことが必要である。
消費行動にはAIDMAの法則というものがあり、まずは最初のステップであるA:Attention(注意)「商品を知ること」から始まる。
どんな商品でもまずは「知ってもらう」ことから始まるので、第一段階の認知活動はとても重要だ。
自社ガスのお客様の他熱源給湯器からの置き換え、いわゆる燃転(燃料転換)に成功したら、貴方の成功はもう約束されたと言っていい。
あとは、顧客の信頼を得て②③のステップを踏むだけだ。
ここでは②③のステップについて具体的な説明はしないがイメージを持ってもらうために書いておく。
何故なら、私がたまたまうまくいったパターンには再現性がなく、あなた自身の環境に応じた取り組みが求められるからだ。
まずは給湯器なら全ての熱源を取り扱うこと、その知識を得て販売施工することができれば②はそう難しくない。
③は工務店など新築戸建てを扱う業界、業者さんへ営業をするしかない。
普段から取引があるなら、まずそこへ訪問してみよう。
無ければとにかく飛び込み営業しかないが、そんなに難しくない。
地元の工務店を調べ上げ「ハイブリット給湯器を扱ってほしい」という一言と共に訪問営業するだけだ。
やれば出来る。
やらなければ出来ない。
行動を起こすのです。

施工ができれば信頼も得られる

ガス機器の販売には、ほぼ施工が伴う。
販売店の規模や運営のやり方によっては、工事や施工は全て外注している販売店もあると思うが、あえて自社施工にこだわりたい。
建設業、設備工事業からすれば専門性の高い施工は専門の工事部隊や職人さんに任せるのが当たり前でも、エンドユーザーにとってはそんな事情は関係ない。
やはり、エンドユーザーに目線としては、機器のプロとして販売した担当者自ら施工現場に立っているという安心感は何物にも代えがたい。
もちろん、営業、セールスの専門としてなら施工はお任せしていくのが正しい。だけどガス販売店でハイブリット給湯器を主としてセールスで結果を出しているものはそう多くない。
ならば、せめて高額な機器のハイブリット給湯器の施工現場くらいは顔を出しておく位はしてほしい。

尚、弊社では100%自社施工だ。
ハイブリット給湯器は基本的に一人施工は無理なサイズなので搬入作業などで応援を呼ぶことはあるが、弊社が販売、設置したハイブリット給湯器の現場ではすべて私も施工に関わっている。
施工に自信が付くと、販売にも自信が付く。
施工に不安の無い販売担当者のトークは、人生に1回か2回の給湯器買い替えのお客様を安心させる重要なポイントとなる。
そういう所まで想像力を働かせていくのが我々の仕事ではないかと思う。
ハイブリット給湯器を多く施工した副産物として良い事もある。
エコジョーズ、エコキュートの施工力が大幅にレベルアップした。
ハイブリット給湯器を施工するためには、エコジョーズ+エコキュートを同時施工するのと同じ意味の施工力が求められる。
部材の選定や機器の特性、撤去、搬入、各種配管配線接続、試運転までの流れを繰り返すうちに、エコジョーズだけ、またはエコキュートだけの施工はハイブリット給湯器施工の半分以下の時間でこなせるようになった。
従業員一同、鍛えられたのだと思う。
次は施工しやすい機種を教えよう。
これはメーカーも目から鱗の特選情報だから有料級だぞ。

施工しやすいハイブリット給湯器ランキング

1位:リンナイ160Lタイプ
2位:リンナイ100Lタイプ
3位:ノーリツ140L(130L)タイプ
4位:リンナイ50L(70L)タイプ


暖房回路付き(床暖房、浴室暖房など)別端末の機器接続については考えないものとし、あくまでふろ給湯回路までとします。
また、寒冷地仕様、屋内設置、マンション用なども除き、屋外標準設置を基本にしています。
各地域のニーズに合わせて検討する上での参考になると思う。

そして、気になる理由も書いていく。
前提条件として、基本的に二人以上での施工を条件としている。
まず、1位から3位は運搬、搬入に最低二人が必要であるからと、4位の小型タンク機種は一人施工が可能とのうたい文句だが、実際に一人でやると分かるが、配管7種類、電源線信号線8本という手数を一人で行うのはめちゃくちゃ時間がかかるのだ。メーカーは言わないし知らないけど。

1位の160L タイプはタンクと熱源の連結と設置時において、左右勝手が180度変える事が可能な2パターンしかない。
配管カバーなどの追加部材も無く、発注ミスも無い。
熱源機とタンクのバイパス配管の接続も間違えて繋ぐこともない設計になっている。
また、タンク側と熱源機側に分かれて作業者を2名配置し、それぞれが配管、または配線の作業に当たることが出来るので、時間の無駄がない。
配管や配線の接続位置もGL+1200くらいの高い位置で作業でき、立ったままの作業が多く、地べた付近の配管、配線の作業は少ない。
これらのメリットが2位以下の機種には無い。

排気延長タイプのエコワンを四国で初採用しました(写真は2件目)

2位の100Lタイプは狭小地設置や分離設置も選択でき、幅広い現場で使いやすいが、その分左右勝手の違いなどで選定する部材パターンも多くなり、発注ミスが起きることもある。
熱源機とタンクの接続も、設置パターンに応じて配管の取り回しも変わり、間違えやすい。実際に1回間違えたことがあり、試運転が走らずに困った事がある。
作業は160L と同じく高めの位置で立ったまま作業が多く、熱源機とタンクそれぞれに作業者をアサインできるのは同様だ。
分離設置など幅広く使いやすいのは間違いない。

3位のノーリツ140L(130L)は同着とする。
設置パターンはリンナイ160と同じく180度回転させる2パターンしかない。また、現場で熱源機とタンクの連結が不要な一体型なので、搬入は重量があり難易度が上がるが、設置してしまえばすぐに繋ぎ込みに移れるメリットはある。
ただし、配管、配線の接続部分が地面に近い位置で1方向からの作業しか行えない為、機器に貼り付ける作業者は基本的に1名である。
しかも地面近くで、う〇こ座りか胡坐、立膝などの腹の出た中年男性には難易度が高く、立ったり座ったりが多くなる。
これはつらい。

4位の50L(70L)も同着。
これも左右勝手や分離設置、狭小地設置など幅広い現場に対応しているが、その分、配管の取り回しパターンは多い。
70Lは熱源機とタンクのバイパス配管こそ1本少ないが、正直そんなに変わらない。
まず、本体の設置、連結には160Lタイプや100Lタイプの倍の時間がかかる。
位置だし、水平だしがとにかく手間がかかる。
そして、接続工事も地面に近い低い位置でスクワットが多くなる。
設置条件では2名作業も可能だが、ずっと地べたで作業なのでとにかく効率が悪い。
繰り返すが腹の出た中年男性にはキツイ。

多くの実例と共に紹介したので、かなり説得力があると思うのですがいかがだろうか。
質問があれば、可能な限り応えます。
踏み込んだ質問は、所属、ご氏名を頂戴できれば、ガス消費量の実データや施工研修なども承ります。
ガス販売店、ガス機器メーカーさんからのご依頼も申し受けます(実績あります少しだけ)
行ける範囲でなら施工もお手伝いします。
ご依頼、ご質問はこちらのメールアドレスに。

最後に

ガス業界全体でも他熱源給湯器、特にエコキュートは大きな脅威なのは間違いないし、共通の認識だと思う。
考えれば電気式給湯器としては、まず古くは電気温水器があった。おそらく50年以上昔からあったはずだ。
エコキュートが登場したのは20年少々になるが、エコキュートは近年では2割程度の家庭に普及し、間もなく3割に達する日も近いと聞く。
電気温水器のほうが沢山電気を使うから、エコキュートなんて売らない!とはならかった。
もちろん、業界の構造も違うし時代背景も違うが、我々ガス業界全体としても、ハイブリット給湯器発売から12年ほど経つ今、本気で取り組んでいくべきなのではないかと思う。
ガス量が減るから、高額機種だから、施工が大変そうだとやらない理由を述べるのは簡単だ。
だが、人口減少の局面で顧客を獲得するための武器としてハイブリット給湯器に並ぶものは少ない。
今までガス販売店はストック型ビジネスで、安定した収益に支えられて来た。
危機感は他業種に比べ少なかったと思う。
その足元の顧客数は人口減少と電化商材に押されて瓦解している。
危機感が麻痺した古い頭のガス販売店共よ、目を覚ませ。
既存のやり方は通用しない。
時代の波はもう足元まで来ている。
濁った水がくるぶしを洗い、膝を濡らすころには身動きが取れなくなる。
あっという間に腰がつかり、胸まで濁流が押し寄せるだろう。
そうなってからではもう遅い。
行動を起こすなら今しかない。
ハイブリット給湯器、本気で取り組んでみたいと思うそこの貴方に何か言葉を送るとしたら、「今、率先して行動せよ、明るい未来の為に」とLPガスより臭い言葉を送り、ペンを置こうと思う。
キーボードだけど。


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