#001_傷だらけの満月

傷だらけの満月
朝陽が昇らなければいいのに

花はいつも同じ場所に
沈黙の根をはって
月を眩しく見上げてた

叶わぬ憧れ
いつか月に咲いてみたいな

穏やかな太陽の光浴びて
輝く花の憧れは
煌めく星屑を連れて歩むお月さま

いつだって夕暮れが迫る頃
会えることを望んでた
白く輝く月に惑う刹那さ

花はいつしか枯れていく
見上げたその可憐な顔が曇っていく

白く輝く月に触れた気がした

月は満ちては欠けて
姿が見えなくなっていく

白く輝く月に触れて凍えた

月の旅
道を歩み地球(ほし)を廻る
旅を続ける月の心は

まるで満ち欠けみたいに
傷つきながら
癒されながら

動けない花の想像

まるで無くした言の葉
傷つきながら
癒されながら

地の果てに咲く枯れかけた花の声は
月にはきっと…

叶わぬ願いかもしれないけどね
花は月に
月に花を咲かせたい

傷だらけの満月に
一輪の花を

そう
ある日こんな夢を見たんだ

ⓒ2019 akiyoshi suzuki

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