RX <外伝> メインイベント④ ♪Better Demons


あらすじ

悪役レスラーRXの壮絶過去 17才の成長物語
少年時代 学校生活 精神病院 そして闇は光へ
<本編>
1章 病弱な少年は、レスラーの強さに憧れる
2章 事件が起きて居場所を失い、独りで苦悩
3章 ストレスで絶望感に襲われ、精神病院へ
4章 退院後、うよ曲折を経て希望を見つける
5章 再びレスラーの夢へ、デビューを目指す
<外伝>
10年後 RXは人生を懸け、運命の決戦に挑む


前回はこちら ↓



RX 〜悩める若者への処方箋〜
⭐️<外伝>メインイベント 第4話




-15分経過-


レフェリー負傷のアクシデントにより、

 リング上は混沌とした波乱の展開に。


だが、ゴングが鳴らされない限り試合は続く。


実況は、絶対王者・剣国ムサシの、

 輝かしいスポーツキャリアを語る。


大学時代、

 名門レスリング部のキャプテンを務め、

世界大会にも出場したスーパーエリート。


この地でベルトを獲得して実に10年、

 記念すべき、第30回目の今大会まで、

一度も敗れることのなく、

 王座を防衛し続けてきた。


そんな無敗の最強チャンピオンが、

 数々の強敵を沈めてきた必殺技、


<ベンケイ・ブレード> の体勢へと入る。


ところがRXは必死に抵抗を続け、

ポケットに忍ばせていた、

 小さな凶器を指に装着し、

王者の顔面めがけてパンチを放つ。


なんとか免れたRXは、

相当なダメージによって腹這いになりながら

リングの端まで移動し、

腕を伸ばして再びパイプいすを手に取った。


王者の頭部へ向けて、思いきり振りかぶる。


しかし間を取って辺りを見回すと、

 RXの動きがぴたりと止まった。


アリーナ後方の客席が目に入る。

 10年前、17才の自分がいた場所だ。


当時の自分が今の自分を見たら何を思う。

こんな悪行をしでかすために、

 プロレスラーになったのか。


「・・・・・・」


立ち止まったままの長い沈黙、深い葛藤の末

RXは驚くべき答えを出した。


パイプいすを床に置き捨て、

 正面から立ち向かったのだ。


ファン時代に憧れていた相手に向かって、

正々堂々と殴り合う。

 男同士の真っ向勝負。


無謀とも言えるパワーの差により、

 当然、簡単に倒されてしまうが、

床を叩いて奮起し、何度でも立ち上がる。


決して投げ出すことなく、逃げ出すことなく

あのとき誓った夢を捨てずに立ち上がる。


やられてもやられても、何度も何度も、

立ち向かっていく挑戦者・RXへ、

 やがて観客は声援を送り始めていく。


気迫のこもったヒジ打ち。

 ぶつかり合う意地と意地。


余計なものが削がれ、むき出しになる野心。


ついにRXは自ら、

ガイコツのマスクを取り、

 リングの外へ放り投げた。


<つづく>


♪イメージソング

グッド・シャーロット「ベター・デーモンズ」


次回は 5/5(日)に投稿予定
⭐️メインイベント 5話⭐️


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