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『名のない花は斯く語る』を終えて。

皆さんこんにちは、ちうねです。
今回は舞台の終演ご報告の記事となります!

2023/11/16〜19 舞台公演
11/24〜12/8 アーカイブ配信
両期間を終え、正式に終演を迎えることが出来ました。
全員無事に一つの公演を終えられたことがこんなに有難いんだなと改めて感じました。

ご来場・配信にてご観劇いただいた皆様、SNSでの反応や応援してくださった皆様、本当にありがとうございます。

僕自身、約3年ぶりの役者としての出演だったので様々なことを感じました。
有難いことに来年へ繋がったご縁もありますので、今回の公演をしっかりと活かしていきたいと思い、言語化してみようと思います。


さて、どこから振り返ろうかと悩みましたが、まずは僕がいただいた役『星崎カケル』ついて、どんなことを感じていたのか、書いてみますね。

カケルくんの大前提として、『アイドル』という象徴と『純さんへの想い』この二つはより強く意識しました。

最初はあんなかっこつけて入ってきておいて、どんどん崩れていく様に関しては、周りのみんなのおかげで哀れになっていきました。 
純さんが女優であったことへの橋渡しと、
征市郎先生の浮気→あすみちゃんターンへの情報提示。改めて仲野識の脚本は見事ですよね。

劇中アイドル要素が必要になるわけではなかったので、純さんとお付き合い&不倫関係にあった過去への説得力として、役が決まってからビジュアルはかなり意識しました。

純さんがというより、鈴さん自身がお綺麗で優しい方なので有難いことに苦労しましたよ。。

でもその分、純さんへの憧れだったり、今でも引きずっているという点に関しては、一切無理することなく素直に思うことが出来ました。
終始、ムリ…シュキ…状態でしたとも。想像つくでしょ?ってかみんなそうでしょ!??

カケルくんにとって絶対的な存在である純さん。
鈴さんも仰ってましたが弟のように可愛がってもらったのでしょう。
そんな日々が幸せであると共に、男としてみたいな余計なことを考えて一番大事な存在を大切に出来なかったんだと思います。やめろ、俺にも刺さる。

どんな関係になろうが、例えこの世にもういない存在だと思おうが、純さんの一番の味方であることだけはやめなかったんだと思います。
もちろん生きてますが、僕にもそんな存在の先輩がいました。役者のことエグりすぎだけど活かせたなら何でもいいです。

純さんと親密な関係である。ということが彼にとっての最大のステータスだったんでしょうね。
アイドルや、今をときめく人気俳優という肩書きよりも大事に守っていたプライドだったと思います。

そんな彼が物語が進むにつれ、純さんの計画のコマの一人であったと知った時がありました。
これは僕自身が嫌な感情を持ちたくなかっただけなのかもしれませんが、怒りよりも寂しさや無力さの方が勝っていました。

木下さん演じる石神さんが優しく渡してくれたおかげでもあると思います。
あんなにしっかりと渡されたら受け入れざるを得ないですよ。流石です、兄さん。
一緒に芝居をする目標が一度叶って凄く嬉しかった!

カケルくんにとって一番敵対していたのは、小田さん演じる司さんでしたが、小田さん自身の人柄もあってどうしても嫌うことが出来なくて、沢山引っ張ってもらいました。
恥ずかしくて言えませんでしたが、小田さんが千畝って呼び捨てで呼んでくれるのが、凄く嬉しかったです。

この流れで他の役とキャストさんにもふれていきましょう。

波多野さん演じる圭さんは、すいれんチームの方で主軸を担っていたので、ばらチームの時は楽しそうにいろんな仕掛けをしてくれました。
いつもリズムを狂わせてくる存在だけど、自然に溶け込んでしまうのが流石すぎる。
普段から柔らかくて優しいお兄さんです。

慶香さん演じる祥ちゃんにもだいぶ苦しめられましたね。それはもう辛辣でしたよ。
あの鋭い言葉のおかげで場がかなり引き締まりました。何度も空気を戻してくれてありがとう。
本人も芯が強い女性ではありますが、普段はかなりおっとりしてるというか可愛らしい方です。

奈穂さん演じるあすみちゃん。
本番に入ってからもネタの追求はやめずに、稽古中は細かく丁寧にシーンを作ってくれました。
知り合ってから長い仲になりますが、ようやく共演することができて嬉しかったです。
結果的に座組からもお客様からも愛される存在になりましたね。彼女の積み上げてきたものを近くで見ることができて良かったです。

そして征市郎先生を演じた稲村さん。
敢えて難しい役作りをしたなぁと思ってましたが、今までのご経験からくる観点と、ご本人が人間を見る視点を上手く交えて、樫原征市郎という人間を作り上げていました。感服です。
ご自身の経験や思想を沢山話してくれる面倒見のいいお兄さんです。

すいれんチームの皆様まで書くと文字数がとんでもなくなってしまうので、泣く泣く全体にまとめてしまいますが、逆半という距離間もあり、凄く可愛がってくれる先輩たちでした。本当に全員が。
これを見てくれてたら、自分のことかな?
って思う心当たりがあるでしょう。その通りです!!
またどこかでご一緒できる機会を作れるように頑張ります。


劇中+その後に関して、純さんに対してどんな気持ちの整理を持っていったのかだけ書いて、このお話は終わりにしようかな。

作家として昔から征市郎先生のことが好きで憧れていた純さんが、彼の作品に影響を与えたこと。
女優としてではなく、彼の作品の一部になったこと。
それが叶った貴方は幸せだったんですね。
僕が貴方にとっての一番の幸せになることが出来なくてごめんね。
貴方が遺してくれたものを胸に、僕はここからも俳優を頑張るよ。

 カケルくんはきっと、これからアイドルは辞めて、俳優として頑張っていくんだと僕は思います。
役に背中を押されてしまったので、僕自身も頑張らなくてはならないですね。

あすみちゃんと再会するショートショートも書いてもらいましたが、今後の彼が人として、成長を重ねてくれることを願ってます。
君が必死に走ってきた輝きを大事に、これからも素直なおバカであってください。
ただ女関係だけはどうか穏便に。週刊誌に撮られるなよ!!


ここからは僕自身が俳優として感じたことを書いてみます。

数年ぶりの出演でしたが、思ったより衰えることも上達してることもなかった。というのが正直なところです。
それでも前を向けばいいやと思えたから、この機会はプラスだったと感じています。

見られ方だったりプランのようなもので外側を固めすぎず、その場を素直に生きること。
目の前の相手に興味を持つこと。
それが僕にとってなかなか理解しにくい課題であり、怖くて俳優から離れていました。

 今回で分かった!なんて単純なものではないですが、過去では考えられないぐらいの脱力感と、その場で自分の中に流れてるものを優先して出来たかなとは思います。

ばらチームは初稽古の通しから、パワーとガッツが目立っていました。全員アドリブ苦手とか言ってたことだけは認められません!
ほーんと大変だったんだから!!!!

 そんなばらチームの一番好きなところは、誰かが困ったら誰かしらが絶対にすくい上げるところ。
全員が自然に一丸となって、空気感を作り上げることがブレたことはないと思ってます。

僕が舞台上に現れる頃には、場が温まっていますし、全員が頼れる先輩たちです。
とにかくついて行くだけだったので後輩させてもらったなぁと感謝してます。

本当に少女蘇生の作品なのか…?と思うぐらいのコメディ感。仕掛けるのも拾うのもキレが凄い。
僕にも仕掛けるシーンがありましたが、ちゃんと受け止めてくれるので純粋に楽しかったです。
笑いを堪える方が大変だったよ…

一つだけ供養しておくと、カケルくんがアリバイとして見せる共演者の女優さんとの写真ですが、実際に僕のスマホに入っていた数少ない女の子とのツーショットです。(健全なやつ)

男性陣にだけ見せる前、『あー本当に嫌だ』とか零した回もありましたが、あそこは千畝の感情が強くて思わず出ちゃったやつです。失礼しました。
よりにもよって配信の回(ゲネプロ)が小田さんが強めに吹き出したので、大成功です。
身を削った甲斐がありました。

ただですね、普通に悩んでいたこともありまして、僕らはつい笑っちゃうシーンが多々ありましたが、コメディ感やネタシーンという存在の瞬間的パワーに甘えすぎてないか?と思っていたわけです。

よりにもよってカケルくんターンの導入がコ○ンだったのであそこは大苦戦しました。気持ちが追いつかんと、何度も稽古させてもらいましたし、間もたっぷり使わせてもらっちゃいました。
ゲ○タ状態で耐えてくれた波多野さん、本当にありがとう。

稽古中に、千畝くんがやりにくくないようにでいいよって先輩たちから、善意で気を使ってもらったのに、それを言わせている自分が許せなかったりもしました。

正体が完全にバレるのが、カケルくんが一番手で、作品の本題へと入っていく起承転結の承の部分だったので、この作品が浅くならないかどうかは僕にも大きな責任があると思っていました。

だからこそ純さんに対する想いの強さが必要だったし、自分のターンを回す技術も必要でした。
表に出てくる台詞の音も過去をなぞらないように、その場の心身から出てくる自然でやっていました。

 発声的なことだったり、音の深みをもっと増せるようにしないといけないなというのが、分かりやすい課題になりました。どの劇場でも適切に出来るように今後改めて意識していこうと思います。

技術的なこともしっかりバランスをとった上で、その場に本当にリアルタイムで存在しているような厚みと深みがある俳優さん。今回の座組にも沢山いましたし、今までご一緒してきた中でも何人も浮かびます。

その人たちとぶつかりあって面白い!って感じてもらえるような俳優になりたいなと、目標も出来ました。

仲野識作品は、2019年に表現集団蘭舞さんでやらせてもらった『カナリア』ぶりの二回目。
あの時は主演をやらせてもらって、沢山悔しい思いをしました。
 烏滸がましい話ですが、主演としてもっと引っ張ってあげたかったし、役に対してもう一段階深いところをしっかり表に載せてあげたい。

 会話劇においての心地よいナチュラルさを人工的にならないように出したかった。
脚本・演出の仲野さんには細かい点を何度もお聞きして、僕がやりやすいようにしてもらいましたし、劇団員の木下さんには、今こうなってるよとアドバイスをしていただきました。

カケルくんは色が濃い方ですが、彼の生きる意味みたいなものに多少は触れることが出来たのかな。今後も精進します。

仲野識作品特有のリズムだったり、見せたい箇所をもっと表現できるようにもなりたいです。


気付けば4000文字オーバーになってしまいましたのでそろそろ締めに入りますね。

俳優に対する苦手意識はすぐに消えないとは思いますが、来年有難いことに2本出演の機会をいただいています。

一つは4/3〜4/7 劇団宇宙キャンパスさんの公演内で森山幸央さん演出のチームに出演します。
ゆっきーさんは、少女蘇生の過去公演に出演していたのを拝見していて、今年の3月公演の際に、
 お話してもらい、花語るを観た上でお声がけしてくれました。

 俳優として凄く嬉しいパターンのお声がけで、もう是非!!とすぐお返事をしました。
先日のゆっきーさん主演の公演も拝見したので、演出としてのゆっきーさんがとても楽しみです!

もう一つはまだ情報解禁されていないのですが、
5月末〜6月頭の公演で1日だけ出演させていただきます。
これも凄く楽しみな公演です。もう少しだけお待ちください。

その後に関してはまだ決まっていないのですが、
スタッフのお仕事も引き受けながら、もう1本ぐらい出来たら嬉しいなぁと思っています。
一緒にやってみたいと思っていただける俳優になれるように、この二公演を大事に頑張ろうと思います。

 そして来年のうちには、主宰・演出公演の準備を進めようと考えています。
どれぐらいの規模感であっても、もう一度公演を主宰する。ということに集中して、創作活動も行っていければと思いますので、どうか支えていただけると嬉しいです。

数年間活動をお休みしていた僕が、こうして前向きに未来の話を出来るようになったのは、お声がけしてくれる団体さんのおかげですし、ここまで長い記事を見てくれてる皆様のおかげです。

年中様々な公演が行われている小劇場。
きっと皆様の推しの方も沢山頑張っていて、お客様自身も全部は行けなかったり、時には疲れてしまうこともあるかと思います。

どうかそういう時は無理をせずに、観劇が楽しい趣味の一つとして、残り続けてくれたら嬉しいです。

いつも支えていただき本当にありがとうございます。
これからの僕もどうか楽しみにしていただけると嬉しいです。
 面会が出来ない公演もありますが、また劇場で皆様のお顔を拝見できることを願っています。

改めまして、
少女蘇生 『名のない花は斯く語る』にご来場いただきありがとうございました。

 ばらチーム 星崎カケル役 
鈴木千畝


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