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ねむねむニャンコ
「ねむねむでニャンコになっちゃったニャ~」
そう言った君が布団から転がり出てきた。ニャンコの姿で。
私は目を細めて、紅茶を二人分淹れるか尋ねた。
「ニャンコは寝るニャ~」
眠そうな声で、そのまま君は布団に戻っていった。
177、東京地方の天気は雨。
「ニャーン」
君は今日もニャンコのまま、布団にくるまっている。
177、東京地方は強風注意報。
「今のうちに買い出しに行くニャ」
わたしも。何買うの?
「ビールを飲むニャ~台風のときに飲むのは最高だニャ」
そうだねえ。コロッケでも買おうかな。
「いにしえの儀式だニャ~」
君はキレイな声でうれしそうだった。
177、台風が関東に近づきつつあり。
精肉コーナーの新人さんがコロッケの包装に手間取り、飲料コーナーに向かった私を出迎えたのは、地面に転がるビール缶――500mLの、君がいつも飲んでいるやつ――だった。
どこを探しても君はいなくて、あきらめて帰宅した。家には君が万年床にしている布団が丸まっており、君の姿はなかった。
177、東京地方は暴風警報。
2週間後、新しい彼女だというその人に連れられて、君は帰ってきた。
その姿はもはやニャンコではなく、元のヒトでもなかった。
その胴はあきらかに君のお腹――ビールの飲みすぎで内蔵脂肪が気になりはじめた――だった。
ニャンコでなくなっても、君はキレイな音を出すんだねえ。私は目を細めた。
177、東京地方は曇り。北北東の風。1008ミリバール。
(下記ツイートから編み出された駄文)
ねむすぎてにゃんこになってしまった君が、猫捕りにさらわれて三味線に加工されるのを、ぼくは黙って見るしかなかった
— すずかぜ/Suzukaze (@SuzukazeSu47) November 15, 2023
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