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結婚ルサンチマン

〇中年で独身
46歳独身(女)だ。誇れるものは自由だけである。
いわゆる世間からずれていることは自認しているし、受け入れている。
学生時代の友人達は全員結婚し家庭を築いている。
中年になると世の中のシステムの多くが夫婦や家族向けの単位ばかりだと感じている。
若いころは特に感じなかったが、世の中のシステムに合わず、不自由に感じることが多くなった。社会システム(賃貸、割引などなど)は使えないことが多いし、税制も中年独身には厳しい。
男性と二人でいれば「奥さん」と呼ばれ、「奥さん?」と聞かれる。
中年男女は夫婦しか人間関係の選択肢がないのか。それはなんて貧しい人間関係なのだろう。

30代後半まではよかった。「そういう生き方もあるよね。」と許容されていた。
なぜ結婚しないのかと無邪気に質問されたりもしていた。
だが、40歳を超えたあたりからみんな何も聞かなくなる。
「なにかあるのだろう」という雰囲気をビンビンに感じる。
結婚「しない人」から「できない人」という分類になる。
急に結婚の話題はタブーになり、触れられなくなる。既婚者は特にそうだ。
言い訳するチャンスもない。
個人的には、40歳というラインは出産が可能かどうかというラインなのだろうと思っている。結婚=出産という日本の文化なのだろう。
じゃあ結婚しようと思う人はとっくに若いころにしている。
中年になって急に世の中のシステムに合わないなんてひどいじゃないか。
それでも結婚しようとはならないし、そんなに簡単じゃない。

2020年の国税調査によると、
40歳未婚男性が45歳までに結婚する割合(結婚できる確率)は、
3.57%(未婚率の減り)÷31.40%(40歳時未婚率)=約11.4%
つまり、結婚したことのない40歳男性の10人に1人以上が5年以内に結婚していることが分かる。女性だと11.1%と同じような数字だった。この数値は年齢があがるにつれ小さくなっていく。20歳代が43%なのを考えると少ないが、思っていたより少なくない。
個人的な見解としては、結婚は誰でもできると思っている。
強い欲求さえあれば。

〇でもバツイチ
実はバツイチだ。
バツイチだと言うと大抵の人は「そうなんだ!」という安堵感を如実に出す。
「1回結婚したならいいよね!」必ず言われる。
何がいいのか分からないが、「1回はした人」に分類される。
多くの場合、私はバツイチであることを言わない。どっちでもいいと思っているし、現在の状況は独身なので説明の必要性を感じないからだ。
ただ40歳を超えたあたりから、「バツイチであること」を公表すると一定の信用を得ることに気が付いてからは状況に応じて伝えることにしている。
相手の思考の中でどういう変換が行われるのか分からないものの、ハッキリと違うのだ。
一度は結婚という型にはまったという安心感なのだろうか。
多様性はどこに行ったんだ。
元会社先輩男性は「人と暮らした不自由さを知っている。一度、型に収まった経験があるということはある程度の協調性を感じる」と言う。確かに。
そこに安心感を感じるのか。なるほど。

以前の会社は未婚男性は出世できないというルールがみんなの認知の上存在していた。
新入社員研修でも説明されるほどだ。社内報にのる新入社員の自己アピールは「家庭をもって」だの「家族を養えるよう」だの「子供は〇人欲しい」だののオンパレードだ。
30人全員が家族に触れたコメントをするのだ。
男尊女卑で体質の古い建設業界とはいえ私には異常にみえた。
家族云々の前に仕事に対する若々しい意気込みが聞きたい。
この会社は極端かもしれないが、大人は家庭を築いて一人前。
これが世間の「常識」だ。
世間の「常識」の強さは絶対なのだ。

そんな私も中年独身と知り合うと「なにかある」と思うし、結婚しない理由はなんだろうと考える。世間の「常識」の強さは絶対だ。
私の場合は自分も同じ境遇なこともあり「なぜ結婚しないのか」と聞いてしまうけど、納得できる答えに出会ったことはない。

世の中、「結婚していること」は信用ですか?


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