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ジロ・デ・イタリア2022 第16ステージ

第2週の振り返りはこちらから

全長202㎞、総獲得標高5,250m。3つの1級山岳を越える今大会のクイーンステージ。総合争いが巻き起こること必至の、最重要ステージである。


この日も大規模な逃げ集団が形成。最初の1級山岳ゴレット・ディ・カンディーノ(残り142.8㎞地点、登坂距離19.9㎞、平均勾配6.2%)を経て、20名の先頭集団が出来上がる。

ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)
フィリッポ・ザナ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
ウィルコ・ケルデルマン(ボーラ・ハンスグローエ)
レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)
ギヨーム・マルタン(コフィディス)
マッティア・バイス(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)
ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)
ロレンツォ・フォルトゥナート(エオーロ・コメタ)
ヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ロレンツォ・ロータ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
クーン・ボウマン(ユンボ・ヴィズマ)
シルヴァン・モニケ(ロット・スーダル)
アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
マウリ・ファンセヴェナント(クイックステップ・アルファヴィニル)
サイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
テイメン・アレンスマン(チームDSM)
クリス・ハミルトン(チームDSM)
ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)
ダリオ・カタルド(トレック・セガフレード)
ダヴィデ・フォルモロ(UAEチーム・エミレーツ)


さらに続く1級山岳パッソ・デル・モルティローロ(残り72.1㎞地点、登坂距離12.6㎞、平均勾配7.6%)。2015年の「コンタドール怒りの30人抜き」を見せたあの登りとは反対側のルートであり、平均勾配11%というそちら側の登りほどの凶悪さはないものの、それでも十分に厳しいこの登坂において、先頭集団から7名が抜け出した。

ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)
レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)
ヒュー・カーシー(EFエデュケーション・イージーポスト)
ヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
クーン・ボウマン(ユンボ・ヴィズマ)
アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
テイメン・アレンスマン(チームDSM)

サイモン・イェーツやジュリオ・チッコーネらはこの7名から突き放され、やがてイネオス・グレナディアーズが牽引するメイン集団に飲み込まれる。

モルティローロの「悪名高い」厳しいルートの「下り」でこのメイン集団も20名弱にまで絞り込まれ、さらに総合5位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォも落車するという混沌とした事態に。

だが、次のスプリントポイントの登りを前にした平坦区間でポッツォヴィーヴォも復帰。集団も数を戻しつつ、いよいよ、最後の戦いの舞台へ。


まずは登坂距離5.1㎞、平均勾配8.7%のスプリントポイント。残り30㎞地点で山頂を迎えるこの登りで先頭7名からはボウマンが脱落。

メイン集団も先頭牽引をイネオスからバーレーン・ヴィクトリアスに交代し、一気にペースアップ。5分以上を維持していたタイム差が一気に3分台にまで縮まっていく。

さらにこのスプリントポイントからの下りで先頭6名からケムナが抜け出す。稀代の逃げスペシャリストによる独走と、50秒差で追いかける4名(プールスが脱落・・・というかメイン集団のアシストに)、そして3分20秒差で追いかけるメイン集団という構成でいよいよ最後の1級山岳サンタ・クリスティナ(残り6.2㎞地点、登坂距離13.5㎞、平均勾配8%)へと突入する。


残り13㎞。追走集団からテイメン・アレンスマンが単独で抜け出す。これを追ってヒルトが追撃。カーシーとバルベルデは突き放される。

アレンスマンとヒルトは残り8.6㎞で先頭ケムナに合流。と、同時にアレンスマンが加速。ヒルトは食らいつくが、ケムナはもう精魂尽き果てていた様子で力なく崩れ落ちていった。

そして残り7.9㎞。ヒルトがアレンスマンを突き放し、独走を開始。

そのままサンタ・クリスティナの山頂を単独で越え、雨でぬれた危険な下りヘアピンカーブも落車なく攻略し、最後は8秒差で独走フィニッシュを飾った。

2017年、当時プロコンチネンタルチームであったCCCスプランディ・ポルコウィチェのエースとして初めてジロに挑み、いきなりの総合12位で終える大活躍をして見せた。

その才能を買われ、翌年アスタナでワールドツアーデビュー。山岳アシストとして獅子奮迅の活躍を見せワールドツアーチーム化したCCCチームにエースとして復帰するが、1年でチームは解散。

今年はアンテルマルシェ2年目。シーズン序盤にはツアー・オブ・オマーンで総合優勝するなど、確かに今年は調子が良かった。今年31歳。この勝利が一瞬の輝きではなく、この先のさらなる飛躍へと繋がるかどうか。楽しみだ。


そして、総合優勝候補たちの争い。

まずは残り14㎞。総合7位のエマヌエル・ブッフマンが脱落。

残り13㎞。総合5位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォも脱落。

そして残り12㎞。リッチー・ポートも集団から脱落し、先頭は8名に。

リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)
パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)
ヴィンツェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザフスタンチーム)
ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
ペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)
ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)
ジェイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ)
ジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)

直後、総合6位ペリョ・ビルバオがランダとハスった? 不可解にバランスを崩し、一時的に遅れるが、すぐさま追いついて先頭を牽引。

が、落車の影響があったわけじゃないだろうが——むしろ、すでに限界だったからこそあのようにバランスを崩したようにも思えるが——直後に脱落。

そして残り11㎞。

ミケル・ランダが一気にペースアップ。ここにカラパスとヒンドリーもすぐさま食らいつき、第9ステージ終盤でも抜け出した今大会最強の3名がこの日も抜け出した。

互いにアタックを繰り返しながらも、決して離れようとしないこの3名。

最終的に逃げからこぼれてきたアレハンドロ・バルベルデを吸収しながら、3着のボーナスタイム4秒を巡ってのスプリントをヒンドリーが制した。

これにて総合首位リチャル・カラパスと総合2位ジェイ・ヒンドリーとのタイム差は3秒に。

そして遅れながらも相変わらず最終的にはそこまで大きくは突き放されないようにフィニッシュしてみせた総合3位ジョアン・アルメイダはまだなんとか44秒差に食い下がっている。最終日TTでどうなるかまだまだわからないタイム差だ。総合4位ミケル・ランダは59秒差。

クイーンステージを終えてのこの僅差。この先、第20ステージが最後の山頂フィニッシュに激坂が用意されているなど、大きな動きが必至となるステージ。

かつ、第19ステージも、見た目以上に危険な香りがぷんぷんするステージで・・・。

第3週の詳細なコースプレビューは下記を参照のこと。


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