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2021シーズン最強「パンチャー」ランキング

2021シーズンの「全1クラス以上のレース」のTOP10に独自のルールでポイントを付与。その結果出された、今シーズン最も実績を出した「最強パンチャー」を発表していきます。

いわゆる「丘陵」ステージが対象レースとなるが、丘陵レースといっても最後だけ登る「登れるスプリンター」向けからコース全体のアップダウンが激しく総獲得標高も大きいアルデンヌ・クラシック風コースまで幅広く扱っている。

そのあたりを総合的に見た「登れるスプリンター~パンチャー」のランキングとなっているのであしからず。

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20位~11位(名前のみ)

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ザ・パンチャーというべきモレマ、ウリッシ、ヒルシ、ウッズらはもちろん、ブルターニュ・クラシックでジュリアン・アラフィリップを打ち破ったコヌフロワ、元々高い実力を持ちつつも今年さらなる躍進を遂げているアランブル、ミラノ〜サンレモを制したストゥイヴェンなどがランクイン。

さらにグランツールレーサーとして登坂力・TT能力も高いアルメイダも、ツール・ド・ポローニュでの勝利など、激坂系/登りスプリント系フィニッシュでも活躍し上位に入った。

同じようなパンチャー系オールラウンダーも最近は珍しくなく10位以下にも何名か。

今年最強の「パンチャー/登れるスプリンター」は一体?


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2019年のツール・ド・ラヴニールで、トム・ピドコックと共にイギリス代表として出場し、彼とワンツーでフィニッシュすることも(そのとき勝ったのはヘイター)。

その後2020年にはピドコックより一足先にイネオス・グレナディアーズでのプロデビュー。同年からいきなりジロ・デッラペンニーノで勝利するなど、才能の高さを見せつけた。

とはいえ、同年にピドコックがベイビー・ジロで総合優勝するなどもあり、さすがに彼の方がより才能豊かだろう、と思っていたが・・・

今年はなんと、ツアー・オブ・ノルウェーでステージ2勝&余裕の総合優勝、さらにツアー・オブ・ブリテンでは、ワウト・ファンアールトとのギリギリの総合優勝争いを演じてみせた。

しかも、最終的には負けたとはいえ、最終ステージ開始時点での総合リーダージャージを着ていたのはヘイターの方だったのだ。

今や、登りスプリントフィニッシュにおける優勝候補の1人としての地位を確立したヘイター。トラック競技でも活躍し、国内TT王者にも輝いた上で、今後の英国チームにおける中心人物として、さらに重要な役割を担っていくことになるだろう。


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大きな期待と共にオージーチームへと出戻ったマイケル・マシューズ。しかし、1勝もできなかった今シーズンは、彼にとってさぞかし辛いシーズンとなったであろう。

と、いう印象とは裏腹に、蓋を開けてみれば決して「最悪」のシーズンではなかったことが、上記データからも分かる。

一応2年ぶりの出場となったツールでは2位には入り込み、その後も積極的な逃げも見せてポイント賞ランキングでは2位。ブエルタ・ア・エスパーニャでも3位を2回獲るなど、あと1歩のところにまでは迫っている。

確かに高すぎた期待に対しての結果としては振るわないが、一方で来年復調する余地は十分にあるとも言える。逆に言えば来年こそは何とか結果を出さないと・・・。

来年は地元オーストラリアでの世界選手権も待ち構えており、今年以上に重要なシーズンとなるだろう。


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今年はツール・ド・フランスで2勝した逃げスペシャリストであると共に、上記丘陵系のレースで上位に入り込み続ける一流パンチャーとして大いに活躍した。

ただし、この点に関しては、アレックス・アランブルやニキアス・アルント、そしてジョアン・アルメイダらを相手にして最後のスプリントで負けるという勝ちきれない様子を見せ続けた。

よりパンチャーらしいパンチャーでありスプリント力も十分にある上記面子に負けるのならまだしも、クラシカ・サンセバスティアンではニールソン・ポーレスに対しても一騎打ちで敗北。それだけポーレスが強かったということではあるが、勝てばクラシカ・サンセバスティアン制覇という彼のキャリアにとっても大きな1勝だっただけに悔しい。

その意味で、彼の真骨頂はやはり逃げ。一騎打ちに持ち込まず、抜け出して独走勝利するパターンを今後もひたすら狙っていくことになりそうだ。


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プロ生活20年。御年41歳。人生の半分を自転車に捧げてきた男が、それでもなお、3つの勝利を含め、数多くの成果を積み重ねて衰えぬ強さを見せつける。

とくにクリテリウム・ドゥ・ドーフィネの第6ステージでは、山頂フィニッシュのラスト300mから飛び出した昨年のジロ覇者テイオ・ゲイガンハートを、集団から単独で加速して追い抜くという滅茶苦茶強い勝ち方で2年ぶりのワールドツアー勝利を飾る。


ルツェンコとサンチェスを突き放して勝ったGPミゲル・インドゥライン、今年イケイケの23歳アレッサンドロ・コーヴィをスプリントで打ち破ったジロ・デ・シチリアなど、とにかく年齢を感じさせない走りで今年も駆け抜けた。

そんなバルベルデだが、ついに2022年いっぱいでの引退を表明。もちろん、またこれが翻ることもありうるが・・・2022年も、最後まで、その圧倒的な強さを見せ続けてほしいものだ。


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何をしても強い真性のオールラウンダー。自転車ロードレースシミュレーション「Pro Cycling Manager」でも全能力値がとりわけ高い能力であることを示す「色付き」になっていることからも、異様な存在であることがよくわかる。

今回のこのランキングでも、ザ・パンチャーのためのレースともいうべきアムステルゴールドレースでの優勝からティレーノ〜アドリアティコでの登りスプリントフィニッシュでの連日の表彰台(そのうえで第1ステージの平坦レイアウトでピュアスプリンター相手に勝ってもいる)、そしてこれもパンチャー向けのステージレースであるツアー・オブ・ブリテンでの3勝。

それでもこのランキングでTOP5に入れないのは、やはり重要なレースでなかなか勝ちきれないことが原因。ミラノ~サンレモは制しているものの、来年こそはいよいよロンド・ファン・フラーンデレンやパリ~ルーベを狙ってほしいところ。スプリンター向けかパンチャー向けになりそうな世界選手権だってまだチャンスはある!

名誉シルバーコレクターで終わらないように・・・すでにして異様に強いが、そのうえで本当の意味での「最強」を手に入れられる2022シーズンであることを願う。


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